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第5話

「家が作れないィ!?」

「申し訳ありません・・・!」


 村長に呼び出され、真っ先に聞かされたのは『家が作れない』。

 そう私に告げた村長は、深々と頭を下げている。


「土地は有り余っているのですが・・・。ゴブリンの襲撃で破損した建物や塀の修理で石材が足りなくなりまして・・・」


 なんてこったい。


「商人とかから買い付けは?」

「ゴブリン共の襲撃が頻発しているせいで、行商人はすっかり立ち寄らなくなりまして・・・。

 この辺りは森が豊かですが、石材や金属が多くありませんし・・・町まで行って買い付けるしか・・・」


「土地はあるのね?」

「ございます」


 なら、金策はできるか。


「なら、土地を先に見せて」

「えぇ、村の西側にある林を切り開く予定です」


 村長の案内で村の西側にある林にやって来た。

「この辺りはまだ開墾が済んでいないので、十分な広さは確保できます」

「村でこの林を活用したりしてる?」

「時々、近場の人間が薪を集めたりするくらいでしょうか。

 山菜などは北側の丘にある森の方が採れるので」


 村の中心部から林の入り口まで徒歩で20分の距離って所かな。


「これから土地を切り開くとしてどれくらい掛りそう?」

「は、半年くらいでしょうか」

 この村に重機とか・・・あるわけ無いか。


「とりあえず、土地だけ先に貰うわ。 無い物は仕方ないし」


 村長と話し合い、村の地図に私の土地を書き込んでもらう。

 けっこう広く書いてるけど大丈夫かな・・・。ちょっとした自然公園くらいありそうな広さ書いてるけど。

 まぁ、後から切り売りすれば良いか。


「さて と」

 村長を家に帰し、私は林を見やる。

 自分の土地だし、試していない魔法やスキルの試し撃ちにはちょうど良いか。

 後で切り開くし、多少荒れてても問題無し。


「≪収穫の鎌(ハーヴェストサイス)≫」


 最初に試したのは収集に属する魔法。

 収穫の鎌は切ったオブジェクトから収穫物を獲得する魔法だけど、この世界でも通用するなら収穫作業が楽になる・・・と思う。


 魔法を発動させると、緑色に輝く大鎌が現れ・・・私の正面にある木々を薙ぎ払うように振るわれた。

 大鎌の刃が通り抜けた木々は、その直後に製材機で加工したかのように整った木材としてバラバラになった。

「ゲームだと自動でインベントリに収集されるけど、こっちだとそのままなんだ」

 木材の良し悪し・・・なんて分かる訳も無いのでとりあえず、次の魔法を試す。


「≪中位(ミドル)庭園作成(クリエイトガーデン)≫」


 次は庭師の魔女が持つ固有魔法≪庭園作成≫。

 インベントリの素材を消費して、自身の保有するマイホームエリアに畑とか温室とか作れる魔法・・・だったんだが。

 魔法を発動してみると、近場にある材木も素材として使えるらしいのかかなりのレシピが解禁されている。


 ・・・材木がもったいないし、柵と門を作ってしまおう。

 柵と門の作製を選択すると、地面に散らばった材木が浮かび、加工され、勝手に組み上がる。楽で良いね。


 金属とかが有れば金属製フェンスとか作れるし、石材が有ればオシャレな彫像とか設置できるけど・・・今は簡素な柵と門で良いか。


 うーん、収穫の鎌でもう少し切り開いておこう。

 木材も庭園作成に使えるなら、プランター程度なら作れるだろうし。


 収穫の鎌でザクザク切り開いて、庭園作成でガンガン作る。

 お、どんぐり入手。こっちは・・・分析結果は薬草ってあるけどゲームじゃ見たこと無いな。こっちはキノコ?分析結果は有毒か。


 収穫の鎌で切られた木は根っこも残さずに材木に替えられたのか、地面がガタガタになっているので、収穫した木材を庭園作成で消費してウッドデッキにし・・・コレ木材だけなら私だけで家ぐらいできる気がしてきたぞ。


 レシピを確認してみる・・・が。

 家を建築するとなるとやはりバカにできない消費量。

 広い屋敷になると大量の石材を含む建材を要求される。


 えーっと。家で消費が小さいのは・・・丸太小屋。

 広さ5坪くらい?ワンルームの小さな家。

 これくらいならもう少し収穫の鎌で切り開けば、作れそう。

 ・・・いや、流石に小さすぎる。 もっと妥協できる広さ・・・。

 5LDKくらいを参考にしてみる・・・。要求量がデカくなった。


 ダメだ、私単体ではどうにもならん。


「かといって召喚系・・・」

 使えなくはない・・・が、庭師の魔女で召喚できるのは植物系クリーチャー。

 都合のいいクリーチャー居たか・・・?


 頭の中にある魔法リストを掘り返してみる。

 ・・・というかゲームだと召喚したクリーチャーは適当に敵と戦うだけだが、役に立つかな・・・?

 召喚士(サモナー)なら生産スキルを保持するヤツを出せそうだが今はクラス変えられないから、今ある手札でどうにかしよう。


 とりあえず、手足が有って作業できそうなクリーチャー・・・。居たわ。


「≪上級(グレーター)植物召喚(サモンプラント)真菌の女王(クイーンマイコニド)≫」


 植物系に属する上級クリーチャーの召喚。

 真菌の女王は一定時間ごとに『真菌の兵士(トルーパーマイコニド)』を召喚する上に、自身も毒や麻痺、幻惑といった状態異常の魔法で戦う魔法系のクリーチャー。

 1体呼べば、数の不利を逆転できるので有難い・・・。


 しかし、召喚の途中で、ふと思った。


 ・・・私の言う事聞かなかったらどうしよう。


 真菌の女王の推奨レベルは70。

 真菌の兵士とセットで相手するとそれ以上になる。


 魔法が発動する・・・と、木々の様子が変わった。

 木の葉がいきなり降り注ぎ、木々が急速に枯れ始めたのだ。

 それと同時に木の根元から紅い笠のキノコ。

 それが大きくなりながら人のシルエットに変化していく。

 笠の部分が髪となって伸び、身体の凹凸がはっきりと女性のラインが生まれ、衣服も地面から糸のような物が伸びて繭を作った後、繭を裂いて完全な人型として現れた。


 白い斑点模様の有る赤い髪、背が高いモデル体型の女性。

 不自然な白い肌と、フリルで飾られたドレスも真っ白。

 元となったキノコの特徴・・・なのかな?

≪庭園作成≫

種別:制作魔法/専用

制限:庭園の魔女

属性:魔法/制作

射程:建築物の大きさに比例


庭園の魔女専用の拠点作成魔法。

材料を消費し、工程を自動化して建築物を作り出すことができる。

作り出せる建築物は等級によって制限されている。

下級:花壇、畑、あぜ道、小屋、木製の柵など

中級:家、噴水、プランター、彫像、石畳、金属柵など

上級:豪邸、温室、その他大規模な建造物。

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