第53話
ご愛読ありがとうございます。
皆様が知りたい設定情報などを感想で教えてください。
スキルから魔法や種族、地名やアイテムの解説まで頑張ろうと思います
ラーメン屋に戻り、皆に買ってきた米を見せてみると
「ジャポニカ米だな。よくこんなの見つけたな」
「西の方から入ってきたそうですよ」
「マジで!?西にはお米あるんだ・・・テンプレだったら東じゃない?」
そんなこと私に言われても。
「あ、お米ですか。故郷のとはちょっと違いますね」
ロージーはお米を知っているようだ。
「獣人族にもお米あるの?」
「あぁ、あったな。インディカ米みたいな感じのヤツ。
パエリア風とかリゾット風にしてたぞ」
「なんだ、それなら簡単に手に入りそうね」
獣人族が住んでいる所では、お米はメジャーな穀物らしく、ロージー達にとっては郷土料理として親しみ深い食べ物らしい。
「さっそく炊いてみるか」
「ですね。久しぶりの白米ですよ」
「トール、付け合わせどうする?こっちじゃ生卵ダメだからタマゴかけご飯とか無理でしょ?」
「フッフッフ・・・マーシャさん。私は≪浄化≫と≪洗浄≫が使えるんですよ?生卵を食べられるように綺麗にする程度朝飯前です」
「!つまり・・・」
「食べられますよ。卵かけご飯・・・!」
「うぇ・・・生卵食べるの・・・?」
ロージーは卵かけご飯にドンビキしてる・・・
まぁコレは日本人がやりたいことだから、無理しなくていいよ?
「じゃ、洗浄頼むわ。俺はこの米炊いておくからよ」
って事で、トールさんから生卵を貰い、≪洗浄≫と≪浄化≫を行使して、生卵を生食可能な状態にした。
「ホントに生で食べるの?お腹壊すよ?」
「綺麗にサルモネラ菌とか洗い落としたから大丈夫だって」
ロージーから見たら信じられないが・・・まぁ生卵食べようなんて考えるのは日本人くらいか。
異世界の卵は生食禁止なので、私も目玉焼きとかオムレツとかしか作ってないし。
カマドの炭火で炊きたてのご飯が完成し、付け合わせの卵焼きも焼きあがった。
「それと、チャーシューの端切れ」
トールさんが漬け込んでいたチャーシューの端切れも皿に出してくれた。
卵焼きとチャーシューというご飯のお供も出て、いざ実食。
・ ・ ・ 。
「なんか。思ったより感動は無いな」
「うーん、美味しいけど・・・思った以上に普通って感じね」
「本当に水で炊いただけだと、こんな感じなんだ・・・」
「そうですね。あと、なんだろう・・・記憶よりちょっと味が落ちる感じしません?」
「そこは品種改良の結果とかだろ。
そういうもんだって思えば割と気にならねーだろ」
まぁ・・・そういうものか。
まぁこの世界にお米はあるんだ。
いつか暇が出来たら、育てて品種改良でもするか。
久しぶりのお米の味は・・・割と普通だった。
感動とかそういう雰囲気は無く、ただ『あ、懐かしいのを食べたな』って思っただけで、それ以上の感情が湧かなかった。
「さて、晩飯は冷や飯で炒飯作るか」
「あ、良いですね。定期購入してメニューに入れたらどうです?」
「ラーメン屋に炒飯は絶対入れるべきよね~」
こうして、久しぶりの白米を食べ終えた私達は準備に戻る。
晩御飯の冷や飯で作った炒飯も美味しかったが感動というほどでもなく、お米に対して思った以上の感動が得られなかったのに自分でもびっくりした。
◆
数日後、私はマーシャさんを連れてゲイリーウッズ村へと戻る。
「じゃ、またな」
「はい。トールさんもロージーさんと仲良くね」
「じゃ、トール。元気でね、手紙書くから。あとロージーとの結婚式には呼んでね」
「そんな仲じゃねーよ!さっさと行っちまえ!」
マーシャさんは行商の荷車に乗り、私は箒で並走して出発。
出発から数時間すると・・・
「ぎぼじわ゛る゛い゛・・・」
マーシャさんが乗り物酔いした。
「まぁそうなりますよね・・・街道は整備されているとはいえ、全く揺れない訳じゃないですし」
「揺れで腰も痛いし、揺さぶられて気持ち悪い・・・。
エリシア、酔い止め持ってない?」
「無いです」
今更だが、普通にマーシャさんの高速移動スキルで私の箒と並走して走ってもらうという手段もあるが・・・
めっちゃ疲れるだろうし、この荷車には私が街で買い付けた物資も積んでもらっているので、黙っておこう。
「騎乗物系のアイテム・・・持ち歩けばよかった。マジで・・・」
ゲームだとエリア間の高速移動用のワープゲートがあったから、騎乗物系のアイテムはエリア内や戦場での移動にしか使わないからなぁ・・・
しかもマーシャさんは定期購入の課金サービスを買っていたらしく、猫の特急切符などの消耗品系の課金アイテムは大量に保有していたため、騎乗系アイテムを持つ必要が無かったのが仇となった・・・
「私は微課金勢ですから、あんまり有料プランは積んでませんでしたね」
ボーナスとかで有料のアイテムボックスガチャ回してたり、キャラデザインの有料パーツ買ったりとか、イベントセール品を買ったりとか、福袋買ったりとか・・・まぁそんな感じだ。
「っていうか、エリシアが私の切符使えば解決するじゃない」
「ダメですよ。いつか使う事もあるかもしれませんし、今後は手に入るか分からないんですから、節約です」
「ケチー!」
ケチで結構。
道中の道のりは特に問題無く。街道付近ではモンスターも現れずに順調に進むことができた。
「マーシャさん、もうすぐ到着ですよ」
「やっと?もう馬車はこりごりよ・・・」
ようやく、私達はゲイリーウッズ村に帰ってこれた。
アイテム
『猫の特急切符/キャットエクスプレス』
種別:消耗品/課金アイテム
形状:チケット
課金アイテムの1種で高速移動用アイテム。
使用者が訪れた事がある村や街を最大50人まで同時に瞬時に移動することができる。
行ったことのない場所は選ぶことができない。
譲渡販売可能で、他人が購入したチケットでも使用可能。
チケットを発行する「猫の特急鉄道」にはライバル会社として「犬の航空運送」が存在する




