第50話
ご愛読ありがとうございます。
皆様が知りたい設定情報などを感想で教えてください。
スキルから魔法や種族、地名やアイテムの解説まで頑張ろうと思います
アホ錬金術師は取り巻きを連れて壇上から降りた後、会場から出て行った。
「さて、次の発表に移りましょう」
壇上の道具が片付けられ、進行役のセリフと共に私も檀上から降りる。
私の発表も近いし、そろそろ準備をするか。
舞台袖近くへ移動すれば、発表を控えた魔法使い達が最後のチェックをしている。
私もカンペなどを確認。
必要な道具などはインベントリ空間にあるから盗られる心配もない。
「あの・・・」
「?」
カンペの確認をしていると、話しかけられた。
「中毒症状って本当ですか・・・?」
話しかけられたのは、ローブの代わりに防具としても機能する魔獣革のコートを着た女魔法使い。
見た目は17~18くらい?で赤毛と左目に泣き黒子。
腰のベルトには何本か魔法薬が入った試験管・・・私と同じ薬を使うタイプの魔法使いか。
観察してると、相手がはっとなって
「す、すみません邪魔しちゃって。私、冒険者のカーレィです」
なるほど、冒険者しながらも研究をしてるとは、なかなか感心する。
冒険者は収入が不安定な職業だから、研究費を出すのも大変だろうに・・・
「魔女のエリシア。ゲイリーウッズ村で薬屋してるわ」
「どうも。私は冒険者をしながら研究をしてるんですけど・・・
仲間がポーションをよく使うので・・・」
あぁ、それで心配になったのか。
「品質が悪いポーションを大量に使えば、そのリスクが高いかな。
高品質なポーションもリスクは低いけど、中毒のリスクは完全に無くならないし」
「私も、あんまり品質とか気にしたこと無かったので・・・その、リスクとか知らなくて」
この世界じゃ魔法薬のリスクはまだマイナーな話題だったか。
「ポーションは誰でも回復効果を得られるから便利だけど、頼り過ぎは良くないのは本当。
神官や僧侶が居ないなら、きちんと手当した後、自然治癒させた方がリスクは少ないはず」
共通スキルには自然治癒力を高めるスキルもあるし、外科治療や医学的治療を施せるクラスも存在してもおかしくないけど・・・
やっぱファンタジーだけあって魔法やスキルの存在が技術の発展を邪魔してるのかな?
「でも、最高品質で高位傷病治癒の水薬を簡単に作れるなんてすごいですよ」
「まぁ、材料があれば・・・ね」
「私も、薬の勉強はしてるんですけど・・・機材はやっぱり高くって。
でも冒険者でお金を貯めて、いつか自分の工房を持つのが夢なんです」
う、眩しい・・・
チート持ってきてゴメンナサイって謝りたくなってくる。
最近は変な事で躊躇とか罪悪感とか出てくるな・・・
「がんばってね」
こういうタイプが報われてほしいと思う。
「では、次の発表です」
「あ、私の番。では」
カーレィは軽く会釈して壇上へ上がる。
そういえばカーレィの発表ってなんだっけ?とパンフで確認すると・・・
「えーっと・・・『化合反応を利用した光源』?」
少しすると『おぉ~!』と感嘆の声が聞こえてきたので、覗いてみると・・・
カーレィの手には電灯にも引けを取らない輝きを放つ試験管。
おそらくあの試験管の中で、科学反応させた物質が輝いているのか・・・
素手で試験管を持っているから、おそらくだが発熱も無しにこの明るさを出せるのか。
カーレィの説明によれば、純粋な化学反応を魔法で発生させているため、魔力を込めれば誰でもこの輝きを再現できる道具にできると・・・。
また、中の材料の化学反応だけで発光しているので、酸素などの燃料も不要で、密封状態で反応させれば水中でも発光させることができると・・・
ケミカルライトをものすごく明るくさせたヤツか。
すごいな・・・後でレシピを買って研究してみよ。
発明した理由は・・・なるほど、冒険者の安価な光源としてか。
松明は使い捨てだし、光源としては暗いし片手が塞がり、真っ暗な水中探索は人間には不可能。
だが、アレを使った道具があれば、電源要らずで密封状態なので水中探索や目印には最適。
蝋燭より明るいから室内を照らす光源としても十分。
最終的な目標は・・・あぁ、コレ一度反応させると終わるまで発光させたままで解除できないのか。
つまりON/OFF機能を持たせて寿命を増やすのが今後の課題なのね。
カーレィの淀み無い発表が終わり、拍手で迎えられた。
きっと良いスポンサーが来るだろうな。
「では、次の発表です」
カーレィの発表は成功し、私の番が来た。
私は壇上に上がり、発表に入る。
う、緊張するが・・・度胸だ。
この発表を成功させれば、商品としてレシピが売れるのだ。
バレないようにカンペをチラ見しながら、材料を出して説明を開始すると・・・
「質問だが」
ギョエー!?
「このレシピは我々の知る『命緑薬草』を使用しているが、ボリスキ氏が使用していたあの赤い植物は使用しないのかね?」
「はい。『命血霊草』は近隣では私以外生産しておらず、使用頻度の高い低位治癒の水薬はあの薬草では中毒リスクが高いため、このレシピでは使用しません」
よし、この質問は想定内だぞ!命血霊草を使用するレシピは私も出そうか考えたが、この辺りでは私しか生産してないし、村に薬草を求めて押し寄せられても困るし、そもそもコレは普及させて質を底上げしてもらうために広めるから、手に入れやすい命緑薬草を使用しなくては意味がない。
ぶっちゃけると材料だけならこの世界で一般的に出回っている低位治癒の水薬と同じ材料だ。
問題は調合手順だ・・・!
≪変身の呪い:小動物≫
種別:弱体化魔法/専用
制限:上級魔女:Lv11以上
属性:呪い/変身
形状:対象指定
対象をカエル、ネズミ、リス、ヒヨコ、ミニブタ、などから任意の小動物に変身させる魔法。
変身させられた対象はスキルと魔法の発動は不可能になり、装備の効果を使用することができない。
この魔法の効果を受けてしまったら最後、解除されるまで逃げ回るしか生き残る道はない。




