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第48話

ご愛読ありがとうございます。

あとがきに書くスキル、魔法を感想にて募集中です。

「こんなスキルある?」から「この魔法の解説求む」まで募集中です

 学術発表会、最初の方は私も物珍しさで聞いていて楽しかったのだが、中盤に差し掛かると見習い研究員とかの発表が集中しており・・・


「えー、この結果により・・・」

「あー。素人質問で恐縮だが、その研究に何の意味があるのかね?」

「この説明に使われている資料の明確な根拠はどこにあるのかね?」

「そもそも、君の仮説には~」


 やめて!?それ以上あの若き研究者の精神ズタズタにしないで!?

 いや、ぶっちゃけ言ってる事は正しいんだけどさ!

 私もこの研究はぶっちゃけ「やる意味ある?」って感じだったけどさ!


「では・・・次の発表にどうぞ」


 こういう風にちゃんと回答や説明ができないと発表途中でも壇上から降ろされんのか・・・

 どこの世界でも偉い魔法使い(研究者)は研究の粗を指摘してくるのこっわ・・・

 う・・・。私も他人事じゃねーわ・・・これからあの異世界でも飛んでくる鋭い指摘を受けることになるんだから・・・


 それからも発表が続き・・・


「こ、このように・・・えっと、あの・・・」

「次の発表へ」


 緊張のあまり持ち時間が足りず、壇上から降ろされる子とか。


「ですから」「この分野には明るくないのですが、その研究は3年前のフルスネ派の実験によって、既に結論が出たはずでは?」「え!?」

「次の発表にどうぞ」


 情報収集の甘さを指摘されて下ろされる子。


「では、実際に調教を施した赤毛狼(レッドウルフ)による実践です。

 さぁお手!」

「ガァウ!」

 ガブリと調教したはずの魔獣に齧られたヤツまで居た。

 誰か助けてあげなよ・・・あ、師匠らしき人が引き剥がして檻に戻した。

 うーわ、血だらけ・・・アレを治すのは・・・あ、神官が来て治したか。

 貧血で青い顔してるけど、まぁ死んでないからセーフか。



 あーあ、次々と心折れる人が続出してるよ・・・



 異世界の学術研究って、こんな感じか・・・

 この発表でこういう未熟な人たちが出てる理由は、やはり何処かの有力者への顔つなぎが目的らしい。

 冒険者は当たればデカイが死ぬかもしれない危険な仕事だし、研究一筋では暮らしていけない。

 義務教育とか無いこの世界では、基本的には徒弟制で魔法使いになるため、師匠に教えてもらうにも、自前で資料を揃えるのにも何でもお金がかかる。


 私も初歩的な魔術書とか買うだけで、ダンジョンから回収した宝石やアクセサリー類を売り払ったお金でやっと買えたってレベルだし、この世界の書物は基本は手書きで写すから、安売りしてる本だと酷い癖字とか誤字脱字で読みにくいんだよね・・・


 だからこういう場を用意することで、研究にお金を出す商人や貴族などにアピールしないとやっていけないんだろう。


 国お抱えの魔法使い・・・いわゆる「宮廷魔法使い」ってヤツは国に縛られる代わりに魔法使いとしての研究権威の最高位扱いらしい。

 まぁそんなのになれるのは、大体は高度な教育を受けた貴族出身の魔法使いらしいけど。



「では、次の発表は・・・錬金術組合、組合長ボリスキ氏の「高位治癒の水薬」のレシピです」


 壇上の進行役に呼ばれて出てきたのは・・・あ。さっき私の事をデカイ声でバカにしてきたデブ。


 アイツだったのかよ・・・


「うぉっほん!では、さっそくレシピの公開とその手順を実践いたしましょう」

 デカイ咳払いのあと、テーブルに材料と調合キットを並べながら説明を始めた。


 ・・・ん?あの薬草・・・どっかで見たことあるな・・・


「えー今回、高位治癒の水薬の開発に成功し、発表することが可能となったのが、こちらの新種の薬草でありまして・・・」



 ・ ・ ・ あ!

 あれ、私が納税で出した薬草じゃん!!


 いや、もしかしたら他所のプレイヤーから買った物かも・・・?


「ネヴァン伯爵からこの薬草を入手できたのは偶然ですが、この薬草の効能によって・・・」


 やっぱ私が育てた薬草じゃねーか!

 それをさも「自分が発見しました」って顔で発表しやがって!

 ふざけんな!


「では、さっそく調合に移りたいと思います」


 ボリスキが調合を始め・・・ってオイオイ!なんだアレ!?

 あ!なんでその手順飛ばすんだよ!?

 オイオイその工程要らねーだろ!

 あと、なんでいちいち派手なパフォーマンスみたいな事してんだよ!?

 あー!ほら、火が強すぎる!劣化し始めてんじゃん!


 例えて言うなら、家庭菜園で大事に育てた野菜が、目の前で料理下手なヤツの手によって暗黒物質(ナマゴミ)に変えられてる気分。


 今すぐ壇上に乱入してぶん殴ってやりたいが、ここでそんなことすれば立場が悪くなる。



 脳内であのアホ錬金術師を闇討ちする計画を立てながら経過を見守ると・・・



「これで、完成です」


 こっそり≪薬物鑑定(リドルドラッグ)≫を行使して出来を確認すると


【高位治癒の水薬】

 種別:薬物

 ランク:☆☆

 品質:劣悪

 効果:高位傷病治癒-10相当の回復効果

 副作用:中毒症状のリスク大、中毒症状悪化、依存性大



 最悪だー!一周回って毒じゃん!!


「では、効果のほどをご覧いただきましょう」


 え!?アレ使うの!?


 なんか助手っぽいのが2人が運び入れたのは・・・檻に入れられた人?

 囚人か?なんか妙に顔色も悪いし・・・死刑囚で実験か?


「こちらの南大陸人奴隷で実際に効果をご覧いただきましょう」


 ファ!?


「ま」


 私が止める間も無く、ボリスキはナイフで檻に入れられた奴隷を刺し、そして引き抜く。


「御覧の通り、致命傷ですがこのポーションで完全に治癒します」


 そう言って、ボリスキが劣悪ポーションを振りかけると・・・確かに傷は治った。


「おぉ」「すごい効き目だ」


 ボリスキが賞賛を受けてドヤ顔を披露している後ろで、奴隷となっている人が痙攣し、泡を吹いて倒れた。


「なんだ?」「おい、治癒はしたんだろう!?」


 まずい!ポーションの中毒症状が出た!


「ご、ご安心を!元々彼は虚弱体質で」「どいて!」


 壇上へ乱入し、容体を確認。

 重篤なポーション中毒症状・・・日常的にポーションの実験台にされてたのか。


「おい小娘降りろ!私の発表だぞ!」


 うるさいな、治療の邪魔だ!


「≪変身の呪い(カースドシェイプ)小動物(リトルアニマル)≫」


 ボリスキに小動物に変身させる呪いを行使し、強制的にカエルに変身させてやる。

 それでもゲロゲロうるさいので


「黙れ。人間に戻れるかは私の気分次第と思え」


 そう凄むと静かになった。


 まったく私の薬草でこんな物を作りやがって・・・!!

≪浄化≫

種別:回復魔法/制限

制限:回復魔法習得可能クラスLv2

属性:神聖

効果範囲:術者を中心に半径20m

形状:波状

聖なる波動で周囲の空間と周辺対象を浄化する魔法。

周囲に満ちる毒ガスや呪いを無害化させ、生物であれば術者の実力以下の状態異常を解除できる。

あくまで無害化なため、物理的な汚れなどを消す訳ではないので洗濯や掃除には使っても意味がない。

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― 新着の感想 ―
出た! その研究にもっとも詳しい人からの「素人質問」や「その分野に明るくない」発言。 もうやめて! 駆け出し研究者のライフはとうゼロよ…。
「≪変身の呪い:魔法少女≫」 魔法少女に変身させる呪い、強制的に魔法少女に変身させる こんな呪いありませんかねw
トールさんだと、侍があるから居合抜き…だっけ?瞬時に鞘からサッと抜いてサッと戻して、時間差で相手の図体がズレ落ちるみたいなのがあったらとか思うし、暗殺者の君(名前、忘れてすみません。汗)は複数の矢を撃…
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