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第41話

「撃て―!」

 城壁から弩や魔法が巨大化した樹霊王へと放たれる。


 しかし、弩の矢や炎の魔法は樹霊王には無効化され、それ以外の魔法も耐性付与の魔法ではじき返される。


「バカな!?」「炎が効かないだと!?」


 樹霊王には『金属武器』と『炎熱属性攻撃』から受けるダメージを無効化する能力(アビリティ)があり、倒すには強力な氷雪属性魔法かドラゴンのような強力なモンスターの素材を使用した武具でなければ難しい。


 もっとも、そんな武器があったとして、強化を施した樹霊王に真正面から戦って勝てるのはLv90以上。

 私はマトモに相手なんてしたくないし、戦うとしてもパーティー揃えて戦うのが最善。


「≪通信(コンタクト)≫」

 圧勝気味なので樹霊王に指示の変更を伝える。


「障害を排除しつつ王城まで前進。王城の城門を破壊した後は、防衛設備の破壊を優先」

『グォ!』

 了解の意思を受け取り、≪通信≫を切って飛行して箒で防衛戦線を飛び越える。


 箒で飛行しながら『占い師』の探知系統魔法で他にプレイヤーらしき反応が無いか探ってみるが・・・反応無し。

 トール・・・レッドも捕捉できたし、合流するか。

 どうやらちゃんと壁内に侵入できたみたいだし。


「二人とも、無事に入れたみたいですね」

「エ・・・ゴホン、グリーン殿!」

「建物の上から援護するんで、目標まで進んでください」


 この世界、制空権の概念も無いらしく、上空はがら空きだ。

 おっと城壁に向かう一団を発見。あのままだと二人に鉢合わせするな。


「≪魔法薬充填≫≪2倍(ダブル)魔法射程拡張(レンジアップスペル)≫≪毒薬の霧≫」

 麻酔薬をセットして、鉢合わせする連中に浴びせかけて眠らせておく。

 一団も特に抵抗できずにグースカ寝てるし、このまま突破できるな。


 樹霊王は・・・問題無さそう。

 しばらく放置してても大丈夫だね。


 建物の屋根に着地して、二人の上から魔法で援護しつつ王都の街を駆ける。

 綺麗に区画整理されてて見栄えも良い街並み。

 こういう場所は、もっと観光とかほっこりした理由で訪れたかった・・・。


 建物と建物の間は箒で飛んで、敵の集団と鉢合わせしそうになれば魔法で援護しながらを繰り返す。


「≪居合抜き≫≪峰打ち≫!」

「≪ソード・スラスト≫!」

「20%≪魔女の一撃(ウィッチスマイト)≫」

 遭遇する相手が数人程度なら、レッドとブルーが戦闘して、討ち漏らしだけを倒せば良いので、MPは十分温存できている。


 最近は収集した魔法関連の書物から魔法の出力調整のやり方などを学んで、実戦で使えるようになった。

 これで攻撃魔法でうっかり死なさない程度に、相手を倒すことができる。


 生き死にで恨まれるのは面倒くさいし、血縁から復讐されるなんて話は元の世界でも歴史が証明してるから、できるだけ理由のない殺生は避けている。

 狩りなどは生きるためだから例外。

 今回は完全に私事であり、ブルーの為なので、それに巻き込まれる不特定多数を問答無用で最大出力で薙ぎ払うのは気が咎める。

 あと、手加減すると若干MP消費が軽いのも理由の1つ。


「≪人物追跡(ロケートパーソン)≫」

 ブルーから奥さんと娘さんの情報を詳しく貰っているので、追跡の魔法で探知してやれば・・・。

 あぁ、あそこか。


「≪通信≫。ブルー、二人はこの先の大通り200m先にある建物に居ます」

『そこは私の別邸だな。

 できれば敵の戦力なども知りたいのだが』


 えーっと


「≪生命力探知(ディテクトライフ)≫」


 範囲をブルーの別邸に絞って・・・


「Lv8~12くらいの人間が6人くらい。後はLv5以下の人間が10人程度で見分けができません」


 大雑把にHPを探知する魔法だから、個人の区別は難しいんだよねコレ。


『分かった』

「私、室内戦は苦手なんで派手に暴れて惹きつけます。

 救出が終わったらコレで合図を上げてください」


 そう言って2人に木筒に詰めた魔法薬を2つ落とす。

 村で集めた材料で作った打ち上げ花火。収穫祭でお祝いに作った物の余りだ。


 出来はイマイチだが、合図には使える。

 二人は≪通信≫が使えないから、これで合図してもらう。



『助かる。 気を付けてくれ』


 さて、狙いがバレないように少し離れて暴れるか。

 周りの人間より比較的レベルが高い人間が集まっている施設に目星をつけて。


「≪侵略する緑(グリーンインベーダー)≫≪植物巨大化(ジャイアントグロウス)≫」


 行使するのは巨大な蔦植物を召喚してエリア制圧する範囲制圧魔法。

 私が制圧されたエリアでは敵の行動は阻害され、私に対して有利をもたらしてくれる・・・のが本来の効果なのだが。


「うへぇー・・・」


 見事に蔦植物が制圧したエリア内の建物を締め付けて、出入りを封鎖している。

 オマケに窓やドアを太い幹が侵入して内部の人間に襲い掛かっている。


 ちょっとこっちの世界じゃ魔法の仕様が変わり過ぎなのが多いな・・・

 とりあえず、捕縛にだけ努めて絞殺しないように思念は送ってみてはいるが・・・コレは迂闊に使えないな。


 とりあえず、衛兵詰め所っぽいし敵の動きを制限できたって思えば良いか。


 再び≪生命力探知≫で衛兵詰め所のような施設を探っていると・・・


「ん?」


 他とはレベルが違う反応を探知。

 Lv36・・・この世界の基準で結構強いな。


 ブルーがLv28くらいだから、コイツの戦力は多分国内有数の戦力って所か。

 衛兵のような反応は集団行動を心掛けているが、こいつは単騎で移動してるな。


 向かう方向は・・・こっちに来てるな。

 誰かが≪通信≫みたいな魔法で連絡したからか?


 まぁちょっと遊んでやるか。

≪爆薬作成≫

種別:制作技能/制限

制限:Lv8以上の薬剤師、錬金術師など

属性:生産

射程:接触

文字通り原材料から『爆薬』を作成するスキル。

爆弾のような攻撃アイテムから花火のような娯楽品まで材料があれば自由に造り出せる。

爆弾は対象を識別できない代わりに安定した高火力の攻撃が可能となる。

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― 新着の感想 ―
見た目少女に弄ばれるわけですね( ˘ω˘ )
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