第40話
調子が出てきたので連投
さて、二人への復讐と外見問題はこれで解決だ。
「それで、具体的な策はどうする」
伯爵はまだ魔法少女のままだ。
「陽動作戦でいきましょう。
王都に到着したら、私が大型クリーチャーを召喚して注意を引きます。
王都の戦力が大型クリーチャーに集中している隙に、救出してしまいましょう」
「で、集まったら『猫の特急切符』でサヨウナラ。次の瞬間には人質はここパ・ブシカに匿われてるってワケか」
トールさんも魔法少女の姿である。
「この魔法の品なら看破系の魔法でも正体は見破れませんから、多少大暴れしても大丈夫です」
「エリシア、お前も当然変身するよな?」
・・・
「しなきゃダメですか?」
「お前が始めた事だろ」
しかたないなぁ。
「≪キュート・コズミック・デコレィション≫」
余ったリボンを使って魔法少女に大変身。
これ実際に変身するとすっごい恥ずかしいな。
スカート丈短いし、妙にフリフリな装飾が落ち着かない。
おい、二人とも笑うな。
◆
準備ができたので、伯爵邸の前庭に出て『猫の特急切符』が伯爵に渡される。
「さて、コードネームとか決めちゃいますか」
「適当に『赤』『緑』『青』でいいだろ」
「お前たち、妙に順応速すぎないか?」
話し合いの結果
トールさん=レッド
私=グリーン
伯爵=ブルー
と安直な名前に決定された。
「では、使用するぞ」
伯爵・・・ことブルーがチケットを破って使用すると
ポッポォーッ!!
と遠くの方から機関車の汽笛が聞こえてきた。
それと間を置かず、目の前の地面に線路が浮かび上がり、猫が運転する機関車が私たちの前に停車した。
「猫の特急路線のご利用、まことにありがとうございますにゃ」
車掌らしき猫が二足歩行で器用に歩きながらこちらへ歩み寄る。
「3名様でご乗車ですかにゃ?」
「あぁ。王都イデアまで頼む」
「畏まりましたにゃ。切符は既に受け取っておりますのでご乗車どうぞにゃ」
私達が客車に乗り込み、席に座ると
『ご乗車、誠にありがとうございますにゃ。
この列車は交易都市パ・ブシカ発王都イデア直通でございますにゃ~
扉、締まりますにゃ~』
そんな車内放送の後、客車の扉が閉まり機関車が動き出す。
「ほ、本当に大丈夫か?」
「大丈夫だ。こっちでも普通に発動したし、事故が起きる可能性もねぇよ」
伯爵は機関車なんて未知の乗り物だから若干不安そうだが・・・
見た目が美少女で破壊力がエグイ・・・
列車が動き出すと、車窓から見える景色がものすごい速さで移り変わっていく。
「な!?なんだこの速度は・・・!」
まぁ分りやすく言えば、新幹線並みの速度で移動してる。
機関車の速度じゃないでしょ・・・まぁ課金アイテムならこれぐらいやって当然か。
『間もなく、王都イデア。王都イデア~。
お忘れ物にご注意くださいにゃ~』
「な!?」
「お、もう着いたか」
「意外と早かったですね。流石課金アイテム」
体感時間にして・・・5分くらいかな?
地形や障害物を無視して新幹線の速度で移動すればこんな程度か。
テクノロジーって素晴らしいな。魔法使いのセリフじゃないけど。
「バカな!?王都まで早馬で2週間はかかる距離だぞ!?」
「馬なんぞよりこっちの方がウン倍も速いってこった」
「下りないと、目立ちますよ」
王都に到着・・・ってアレ?街じゃないな小高い丘に出てきた。
「あそこに見える防壁に囲まれた都市が、王都イデアだ」
あぁ、丘の上からよく見える。
巨大な二重の防壁に囲まれたかなり大きな都市と呼べるだけの大きさの建造群。
「では、レッドとブルーは先に王都に潜入しててください。
大型クリーチャーを召喚したら、後で箒に乗って合流します」
「分かった」
「じゃ、後でなグリーン」
王都へと向かう魔法少女二人を見送り、召喚魔法を起動させる。
囮にする以上、簡単に倒されるクリーチャーでは意味がない。
インベントリからエルドラド金貨を引っ張り出し、召喚魔法の魔法陣へ投入。
ん~~~大体200枚くらいで良いか。
「≪上位植物召喚:樹霊王≫」
召喚したのは私が今のレベルで召喚できる、単体戦力最強の植物系クリーチャー。
10mを超える巨大な人型の樹木の姿をしたクリーチャー樹霊王は伝承ではトレントの語源ともなった旧い存在でゲームではトレントの上位互換キャラになっている。
植物というより精霊に近い存在であり、物理攻撃力、耐久力がトップレベルの大型クリーチャー。
召喚時に金貨を投入したのは、一部の上級クリーチャーは召喚時にエルドラド金貨を追加コストとして支払うと、能力がパワーアップする。
アカネを召喚する時は、とりあえず戦力より人手が欲しかったのでケチった。
樹霊王の推奨討伐レベル80の大台に乗る。
簡単には倒せないだろう・・・が。今回は目立つのも仕事。
「≪植物巨大化≫」
植物を巨大化させる魔法を樹霊王に行使してさらに巨大化させる。
15・・・20・・・30m
まぁこの程度まで大きければ嫌でも目立つか。
あとついでに強化魔法を複数行使して能力をブーストさせておく。
「王都の城門を破壊して、邪魔する障害は排除」
『グォォォオオオオオ!!!』
私の指示を受けた樹霊王は、前進を開始。
ズンズンと巨体に似合わぬスピードで王都へと進んでいく。
さて、私も二人に合流するか。
≪植物巨大化≫
種別:強化/専用
制限:庭園の魔女専用
属性:強化
射程:0~30m
形状:対象指定
自身が召喚したか周囲に自生する植物を巨大化させる魔法。
巨大化した植物は普段よりも耐久性と強靭性が増し、攻撃範囲が向上する。
ちなみに木の実などの可食部を巨大化させると水っぽ過ぎてあんまり美味しくない