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第39話

筆が乗ったので連投

「≪通信(コンタクト)≫」


 領主の館からラーメン屋までは≪通信≫の射程圏内。

 相手が使えなくても、片方が使えれば問題ない。


『んぁ?誰だ?エリシアか?』

「トールさん。ちょっと良いです?

 商税を下げる良い話があるんで、時間作って伯爵邸まで来てください」

『おいマテ』

 それだけ言って一方的に≪通信≫を切る。


「では、トールさんが来るまで待ちましょうか」

「本当に、大丈夫か?」


 なーに。ついうっかり死んだら、こっそり蘇生させればセーフ。

 実を言えば蘇生薬はまだストックが残っており、そしてゲイリーウッズ村でも蘇生薬の材料を量産計画中だ。

 この世界でもエルドラド・クロニクルの植物は問題無く生育できるから、後は養分とか季節天候の問題だ。

 時間をかければ、低位の蘇生薬くらい安定生産が可能になる。


 フハハハハハ!あのレベルの薬草をちょっと出せば人頭税と地税をぜーんぶ払えるんだ!

 蘇生薬などきっと国が動くレベルで買い求めるに違いない!

 ・・・想像したら大変な未来が見えたので、蘇生薬の事は黙っておこう。

 どうせロクな事にならないし、この世界基準で常識的なアイテム量産すればそれだけでお金が入るんだ。


≪通信≫から1時間程度。

「旦那様、トール殿がお見えです」

「あぁ、ここまで通せ」


 トールさんがようやっと到着したか。


「いきなりなんなんだ・・・

 商税が下がる話って何のことだ?」

「伯爵の奥さんと娘さんが王都で人質になってるっぽいんで、他の貴族の人質と一緒に助けに行けば、商税が下がりますよ」

「急だなオイ。 で、この話はホントか?」

「・・・あぁ、約束しよう」


 待っている間に実は伯爵に念書も書いてもらった。

 これで悪質貴族ジョークとか言われたら、私の反乱待ったなしだ。


「で、最短最速で行くならトールさんの『猫の特急切符(キャットエクスプレス)』を使いたいんですけど」

「あぁ。アレなら確かに最速で移動できるな・・・俺が行ったことある場所はな。

 悪いが俺、王都は行ったこと無いんだが」


「私でも、その『猫の特急切符』とやらは使えるのか?」

「こっちの世界のヤツに渡したこと無いから分らんが・・・譲渡できるアイテムだから、使えると思うぞ」

 なら、伯爵に使ってもらえば良いか。

 伯爵なら王都にも行ったことあるだろうし


「さて、正体がバレたら奥さんと娘さんが人質に出される可能性がありますし、変装しましょうか。

 正体不明の人物が人質を攫ってしまえば、追及も難しいでしょう」


「変装?」

「あー。確か魔女系って幻術系の魔法も使えるから≪変化(ディスガイズ)≫で姿を変えるのか?」


 確かに幻術系の魔法も使えるが、今回は違う。

「変装用の魔法の品(マジックアイテム)で姿を変えてもらいます。

 こっちは認識阻害の効果も持っているので簡単に正体はバレませんよ」


 そう言って、私はインベントリ空間からアイテムを伯爵に渡す。

 いやー。インベントリ空間を整理してたら偶然見つけてよかった


「なんだコレは?ずいぶん装飾が多いリボンのように見えるが・・・」

「このメモに書かれている呪文を唱えて掲げれば、姿を変えることができますよ」


 変身用の呪文を読みやすいようにメモに書いて渡す。

「オイそれ、まさか」

「ん?随分と変な呪文だな・・・こうか?

≪きゅーと・こずみっく・でこれいしょん≫!」


 伯爵の唱えた呪文に反応して魔法の品が輝き、リボンが解けて伯爵の姿をシルエットにして隠す。

 そしてリボンが巻き付くとフリッフリのリボンとレースで装飾された()()()()()()()()()()()()()()に伯爵は大変身した。



 よっしゃぁぁぁあああああ!!復讐大成功!!


「な、なんだこれはぁぁぁぁああああ!?」

 うっは!声まで原作アニメに変わってる!


「こ、これなら・・・ウププ・・・絶対に・・・ブフッ・・・ばれないと思います・・・」

 ヤバい、お腹痛い・・・笑い過ぎて・・・


 ネタバラシすると、伯爵に渡したのはエルドラド・クロニクルでタイアップコラボイベントをした、とある魔法少女系アニメの限定コラボアイテムである。

 使用すると、アバターが対応するアニメのメインキャラクターの姿に変身して冒険できる。

 ちなみに何度でも使えるし、ちゃんと認識阻害の効果も付与されてる。

 魔法少女の正体が絶対にバレないという原作再現度が無駄に高い。

 () () () () () () だ!


「おい!姿を変えると言っても限度があるだろう!なんだこの格好は!?」

「いや、すごく・・・お似合い・・・ブフゥ」

 ダメだ、元の外見から想像もできないくらい美少女に変身しててもうお腹痛い・・・!


 しばらく笑って慣れた後、一息ついて

「いや、コレふざけた効果ですけど≪変化≫は戦闘でダメージ受けるとすぐに解けちゃいますし、やり方知ってたら簡単に解除されるんで、これが一番正体がバレ難いんです」


「お前なぁ・・・」

「あ、トールさんの分もありますよ」


 伯爵は青のリボンで、赤と緑の同種のリボンが残っている。


「オイ嘘だろ・・・!?」

「私、売り上げの半分持ってかれた恨みと出自バラされた恨みがあるんで」

「・・・わーったよ。じゃー赤のリボンな!

≪キュート・コズミック・デコレィション≫!!」


 ヤケになってトールさんが叫べば、伯爵と同じように変身バンクを披露して、フリッフリの魔法少女に大変身。


「くっそ!マジで変身出来ちまった・・・!」

「お似合いですよォ・・・!」


 とりあえず、これで出自バラされた恨みは水に流してあげよう。

 いやー私ってやっさしぃー!!

≪変化≫

種別:幻術魔法/制限

制限:魔女系、幻術師系、魔術師系など

属性:幻術/付与

射程:0~5m

形状:対象指定

指定した物体や生物に幻影を被せて姿を誤魔化す魔法。

指定した物体や生物より大きなものであれば自由に姿を誤魔化すことができる。

ただし、かなり簡単な魔法なのでちょっとした攻撃などで簡単に看破されやすい。

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― 新着の感想 ―
蘇生薬がこの世界でちゃんと機能するかテストはしたのだろうか。
コスプレショー :)
くさぁ
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