第21話
「≪魔法薬充填≫≪毒薬の霧≫」
負傷した人を集め、治癒の水薬を充填した毒薬の霧を浴びせて応急手当。
最初は充填する魔法薬を治療を受ける冒険者が持ち込んだ品を使うつもりだったが・・・話に聞いていた通り、品質が悪い。
これでは何本も使わないと治らないしMPの無駄なので、冒険者たちから同品質の同種のポーションを複数本集めて≪即席合成≫で合成してランクアップさせる。
中毒リスクも上がるけど、承知の上らしいのでそれを使って治療を施す。
強引に低位から中位に引き上げたポーションの回復量は、劣悪品質でもちゃんと治癒効果があった。
私が習得してる範囲回復魔法は≪魔法薬充填≫からの≪毒薬の霧≫のコンボか≪魔法対象範囲化≫からの低位から中位の≪傷病治癒≫しか無い。
治療費は1グループにつき、ポーションを患者全員負担で銀貨1枚。
ポーションを出さないなら、私か真菌の神官の範囲化させた≪傷病治癒≫で銀貨5枚を要求して納得してもらった。
MP負担だと≪毒薬の霧≫の方がアイテムを消費している分、負担が軽いので値段設定に悪意はない。
有料の治癒サービスは、真菌の神官による範囲化傷病治癒が人気だったのは、なんか納得できないけど・・・
MP回復加速ポーションを私と真菌の神官で一気飲みして、突入の準備。
ダンジョンの攻略は冒険者たちがチーム単位で別れて攻略するらしく、既にほとんどのチームが突入していた。
私&マイコニドチームは有料回復サービスで時間を取ってだいぶ後発だ。
冒険者たちの仕事を奪うつもりは無いが、私だって金は欲しい。
ダンジョンコアまで欲を出すつもりはないが、マジックアイテムがダンジョンの中には存在するらしいので、それを目当てに突入。
ダンジョン内部は、やや薄暗く奥が見通しにくい。
階層がどれだけ深いか分からないけど、先ずは定番の魔法からかな。
「≪経路発見≫」
MPを支払って最深部までのルートを脳裏に習得。
ぜんぜん広くはないな、五階層構造で階段の位置も把握。
画用紙にルートをメモして次の魔法を行使。
「≪罠感知≫」
罠を視覚化させる魔法を行使して、罠対策。
マイコニド達に順番に行使して、次の魔法。
「≪敵意感知≫」
敵意を感知することで、不可視状態の敵も対策。
これもマイコニド達に順番に行使、よし最後。
「≪魔法対象範囲化≫≪加速≫」
最後に私達を≪加速≫の魔法で移動速度を向上させる。
魔法で取得した近道を走り抜ける!
加速した私達は、ダンジョンを駆け抜けて1階層目。
冒険者が多く、出てくるゴブリンを湧き潰ししている。
お宝は期待できそうにないので無視して次の階層!
2階層目。まだ冒険者が多く、ここも湧き潰ししている作業中らしいので、出会ったゴブリンを潰して次。
3階層目。冒険者が疎らになってきた。
解除されていないトラップも見かけるようになった。
罠解除の魔法は宝箱とかに使いたいので、道や部屋にあるトラップは回避を優先。
この辺りで宝探しに入ろう。
「≪魔法知覚≫≪宝物探査≫」
魔法知覚は『魔法を知覚する目』で宝物探査は『誰の所有物でもない物品を示す矢印』を出す魔法。
宝物探査の矢印がグルグルと私の手の中で回転し・・・下を向いた。
・・・下の階にあるのか。
4階層目を目指して移動中、真菌の兵士が敵対者を感知したらしい。
曲がり角の先、覗き込んでみるとデカいメイスを持ったオーガ・・・いやオーガが金属鎧を装備してるからアレは『オーガソルジャー』か。
エルドラド・クロニクルではオーガよりタフで、攻撃に対して確率で怯まないスキルを持ってるから初心者には倒しにくい強敵。
オーガソルジャーが2体、通路奥で番兵みたいに道を塞いでいる。
なるほど、倒すしか無いか。
「オーガソルジャーが2体、通路を塞いでるから戦闘に入るわ」
『分かりました』
情報共有し、マイコニド達の息の揃った返事を聞いて戦闘準備に入る。
まだ気づかれていないようなので、突入前に私と真菌の神官で補助魔法を使用して真菌の兵士二人を強化。
まず私から。
「≪樹皮の鎧≫≪勇敢≫≪武器攻撃致命化≫」
続いて、真菌の神官。
「≪武器祝福≫≪鎧強化≫≪大いなる助力≫」
準備が完了し、いざ戦闘。
通路の角から出て初手は私の魔法で先制する。
「≪炸裂火球≫!」
接近する前に炸裂火球で範囲攻撃して2体にダメージを入れる。
流石に、ココで死ぬほど雑魚でもなかったのか、耐えきられた。
次に真菌の神官が真菌の弓兵へ≪武器祝福≫を付与し、強化。
弓兵が放つ矢が向かって左側のオーガソルジャーの額を射抜いた!
射貫かれたオーガソルジャーはその場で倒れて戦闘不能と判断。
次にオーガソルジャーが吠えて突っ込んでくるのを真菌の兵士二人が前に出てブロック。
振り降ろされた巨大メイスを一人が防御強化された鎧ではじき返し、反撃の一突きがオーガソルジャーの喉と胸をそれぞれ貫いて戦闘終了。
巨大メイスで叩かれた真菌の兵士だが、≪鎧強化≫と≪樹皮の鎧≫の重ね掛けされた防御呪文で無傷だった。
うーん。このレベルだったらあそこまで手厚いバフ要らなかったな・・・。
いや、油断は禁物。まだ奥がどうなってるか分からないし、油断大敵。
倒したオーガソルジャー2体をチェック。
≪魔法知覚≫では魔法の反応は無し。
マイコニド達はオーガソルジャーが持っていた鎧や巨大メイスを剥ぎ取っていく。
「出来は悪いので、持ち帰ってインゴットにしましょう」
≪金属加工≫の魔法なんて、この場の誰も習得してないので、剥ぎ取った戦利品はインベントリ空間へ放り込んだ。
オーガソルジャーが守っていた通路の先に4階層への階段を発見。
さぁ、宝探しだ!
≪武器祝福≫
種別:強化魔法/神官専用
制限:Lv2以上
属性:神聖/強化魔法
射程:0~10m
形状:対象指定
武器に祝福を与える魔法。
祝福を与えられた武器は神聖属性が付与され、攻撃力と命中精度が向上する。
祝福された武器の攻撃は非実体の敵にも命中し、不死者に対して大きなダメージを与えることができる。