第189話
無事に取引が終わり、ジャコウさんから金貨を預かった後
「あ、そうそう。変身リボンで変装してて正解やったで。
今日集まっとる国賓で何人かプレイヤー連れて来とるよ」
え゛
「まずウチやろ?あと聖帝国ってトコとヤハルタ首長国ってトコが1人ずつプレイヤー連れて来とったわ。後はなんか騒がしい3人組プレイヤーも聖女ちゃんとか呼ばれとる子が連れとったな。この大陸にプレイヤーは広ーく飛ばされとるみたいやなぁ」
「ジャコウさんは南大陸でしたっけ?」
「そやで~。密林で大人しゅ~しとったのに焼き討ちにあってなぁ。
腹立ったからボコって潰して・・・そしたらなんか知らん間にこうなったわ」
わぁ~。大変・・・
「まぁ。来とるヤツは全員顔も接点も無いから良く知らんヤツばっかりやけど、この機会に情報くらい集めといたるわ」
「良いんですか?」
「えぇよ。どうせ大した話もせぇへんし。もしかしたらそっちの知り合いが紛れてるかもしれんやろ?軽く世間話してくるわぁ」
ジャコウさんはそう言って晩餐会の会場へと戻って行った
他のプレイヤーかぁ・・・他国でどんな感じに暮らしてるのかちょっと気になるが・・・マーシャさんにもそれとなく話しておくか
「≪通信≫。マーシャさん。会場に何人かプレイヤーが来てるみたいですけど」
『えぇ。知ってる・・・ウゲッ!アイツも飛ばされてきてたの・・・?』
どうやらマーシャさんの顔見知りが居たらしい
「アイツって?」
『見れば分かるわ。全身タイツの変態野郎よ』
「え・・・」
見たいような見たく無いような・・・とりあえず≪千里眼≫で見ると、真っ赤な全身タイツを着た変態がドレスで着飾った少女に顔面に≪炸裂火球≫を撃ち込まれてた
・・・見なかった事にしよう
「えーっと。誰でしたっけ?」
『ゲームでウチのギルドと小競り合いしてたギルドあったでしょ?そこの主力よ。
見た目はアレだけど幻術系特化のめんどくさいヤツ。
逃げ足と判断が速いから何回か出し抜かれた事あるし、幻惑魔法でこっちの感覚狂わせてくるから対軍団戦でかなり手を焼かされたわ・・・』
「マーシャさんのライバル・・・ってトコですか?」
『向こうが覚えてるかは怪しいけどね。私もあのタイツファッションが無かったら思い出せなかったわ』
タイツの印象つっよ。ゲームの時からあの格好してたのか・・・
「と言うか良くあのファッションで会場入りできましたね・・・」
『アンタは≪千里眼≫越しだから分かんなかっただろうけど、アイツ3~4重の幻惑系魔法を重ね掛けして正体隠してるわよ。
目視で見たら高級スーツでバシッと決めたヤツにしか見えないと思うわ。
私も能動系の看破系スキル無かったら分かんなかったし』
げぇ。マーシャさんの常時型看破スキルを欺ける性能してるのか・・・私じゃ耐性あってもヤバいかもな
『あと・・・忍者ね。弟子なのか仲間なのか、ネコミミのクノイチ連れたヤツが居るわね・・・こっちと目が合ったわ』
瞬間、マーシャさんとの≪通信≫に割り込みがされた。
『オヌシ、何者!』
『あーハイハイ。タダの警備よ、気にしないで』
『ゲェ!その声!まさか「首狩り」マーシャか!!』
あ、しまった・・・≪通信≫は思念通話だから声はそのままだった。
マーシャさんの肉声知ってる人だとすぐに分かるのか
『うーっわ懐かしい呼び方されたわぁ。何年振りかしらね。
・・・で、アンタ誰だっけ?』
『忘れたか!『七忍連合』の霧隠れサイモンだよ!』
『 ・ ・ ・ 。ゴメン、覚えてないわ』
『キェェェーーーーーッ!!』
うるさっ!?≪通信≫越しで奇声を上げないでほしい・・・ってまた割り込み!?
『ウェーーーイ!テステース!プレイヤー同士で何≪通信≫してんのぉ!?』
『ちょっとアリア?誰と≪通信≫してんの?ウェ!?リアル魔法少女居るじゃん!!マジヤヴァ!スマホ有ったら写メ撮りたいんだけど!アンブル!ちょっと≪通信≫繋げてよ!ほらあそこ!』
『え?マジ!?・・・うわマジだ!ウェーイ!!見てるー!?』
『見えてるから。あとこっちはただの警備だから無視してくれると・・・』
あ。また割り込みが入った
『なんだ五月蠅いなぁ。バンバン≪通信≫飛ばすなよ。気が散って集中が』
「あ、すいません。すぐに切りますから・・・」
『あ、待て!ヴェリンス嬢!いや、ちゃんと説教は聞いてグワァーーーッ!!』
うるさぁ!?と言うか説教されてんの!?
『あ、全身タイツだ。リアルであーいうの居たんだ』
『ワロタ』
『ガチ説教されてて草ぁ』
『オイオイ、アイツもこっちの世界に飛ばされてたのかよ。
と言うか異世界にプレイヤーこんなに来てんのか!?
俺の周り全然プレイヤーの影も形も無かったぞオイ!』
『知らないわよそんなの。単純に運の問題じゃないの?
というか何時まで私に≪通信≫してチャットルームみたいにしてんのよ!
こっち仕事中なんだけど!』
「完全にたまり場みたいになっちゃいましたね」
あ。また割り込み・・・これはジャコウさんか
『なんや?随分活発に≪通信≫飛ばしとるなぁ・・・全員で一人に繋げとんのか。混線するで?マーシャ、アンタがホストか?』
『違うわよ。忍者が勝手に繋いだらみんな勝手に繋いできたのよ』
『サイモン!霧隠れサイモンだよ!』
『あー。そういえばおったな。そういうパチモンっぽい名前の忍者。
と言うか晩餐会中に護衛対象ほったらかしにして何喋っとるんよ』
『安心してくれ。≪精神探知≫で半径1キロ圏内に他のプレイヤーは確認できないし、害意も検知していない。
この晩餐会に参加している関係者は俺の魔法で精神動向も把握済みだ。
空間転移対策は既にカイって僧侶が既に結界の魔法で対策しているから、外部からの襲撃も無いだろう』
『なんやタイツ。さっきから探知飛ばしてんのアンタか。まぁええけど』
『めっちゃシゴデキタイツじゃん』
『タイツなのに』
『タイツ関係ないだろ!?』
『あーはいはい。なんかごちゃごちゃしてるから・・・エリシア聞いとるやろ、アンタがホストになって回線開けや。
アンタ「占い師」持っとるからそういう魔法使えるやろ?』
「名前出さないでくださいよ!変身で偽装した意味無いじゃないですか!」
『≪通信≫聞かれとる時点で偽装もクソもあるかいな。さっさとしぃ』
『横暴で草』
まったく・・・。仕方ないので通信系の魔法で便利なヤツの詠唱を開始。
直ぐにトーク用の仮想部屋を用意することになった
≪精神探知≫
種別:情報系魔法/制限
制限:幻惑魔法習得可能の最上位クラスLv7以上
属性:精神
射程:50m以上(術者の力量によって上下)
形状:視界
術者の視界に作用し、周囲にいる生物の「精神状態」を可視化する魔法。
敵意の有無や意識と関心の方向性、ストレスの有無や精神支配などの精神的状態異常も看破できる。
限定的に「心を読める」魔法だが、運用するには非常に高度な情報処理能力が必須であり、術者の力量によって範囲が決められる非常に難しい魔法




