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第187話

 さて、この世界で私は人間相手に精神支配の魔法なんて初めて使った。

 ぶっちゃけ何が起こるか分からない。

 ゲームだったら自動操縦で敵と勝手に戦ってくれるが、動物実験だと一応命令や指示は聞いてくれてた。・・・とりあえず最初の命令は


「これからする質問を全て正直に包み隠さずに答えてください」

「・・・ハイ」


 とりあえず、これで彼女は質問に全て正直に答えるはずだ


「3時間までしか効果が無いので、質問をお願いします」


 この魔法は永続じゃない。支配系の魔法にも制限時間は存在する。

 効果が切れる前に再封印したいから、質問は手早くしてほしい


「よし。まず最初に、聖域の本拠地はどこにある」

「・・・わかりません」


 断絶竜王の質問に「分からない」と回答する。正直に答える指示をしたから嘘ではないはずだが・・・本拠地が分からないって事がある?


「ふざけているのか!」

「いいえ」


「・・・本拠地はどんなところなの?」


 次はマーシャさんが質問した


「巨大な空中城塞です。空間操作系の魔法で異空間に隠して、専用の魔法でしか出入りできません」


 空中城塞!?そんなの作ってたの!?しかも異空間!?


「出入りする方法は?」

「専用の魔法を封入したスクロールだけです」

「手が込んでるわね・・・そのスクロールは持ってるの?」

「はい」

「エリシア、命令してスクロールを出させて」

「はい」


 リネットに命令してスクロールを出してもらうと・・・あ。コレヤバいな


「・・・使っちゃダメです。罠張ってます」

「そりゃ出入口に罠くらい仕掛けるわよね・・・解除できそう?」

「・・・無理です。レベルが高いのもそうですけど、失敗したらどうなるか・・・」


 最悪どこでもない虚無空間に放り込まれる可能性がある。

 見た感じ転移系の罠魔法だが、高度過ぎて私じゃ解析できないし、複製しようものなら罠が起動して大惨事だ。

 リネット本人なら使っても平気だろうけど、それ以外が使ったり、複製するならタダでは済まないだろう


「聖域の目的は?」

「・・・ 『神になること』 」


「なんか、思ったより小学生みたいな野望・・・」

「具体的には?」

「レベル上限を解除し、無制限にクラスを習得できる手段を模索しています」


 あ、それはヤバいわ


「悪魔武器はプレイヤーが持つLv100の制限を取り払うための試作ツールであり、現在多数の試作と失敗作からデータを収集、「完成品」の為にあらゆる工作を実行中です」

「ボスは誰や!そんなアホみたいな事やっとるヤツは!」

「我々の指導者は_」


 瞬間、リネットを中心とした床に魔法陣が広がった。これは・・・!


「なんだコレは!?」

「召喚魔法の一種です!誰かがリネットを召喚しようとしてます!」

抵抗(レジスト)させろ!ここで逃がしたらアカン!」


 抵抗を指示したが・・・ダメだ!彼女本人が弱ってて抵抗力が下がってる!

「間に合え!」


 ジャコウさんが袖口から何かを取り出しリネットに突き刺す。それと同時にリネットは召喚魔法で何処かに飛ばされてその場から消えてしまった・・・


「呼び戻せ!」

「無理言わないでください!()()()()()()()()()なんて私達も知らないんです!」


 断絶竜王が私の胸倉をつかんで怒鳴りつけるが、無理なものは無理だ。

 他人、それもプレイヤーを召喚する魔法なんて私は知らないし、少なくともエルドラド・クロニクルでは実装されてない魔法だ。

 恐らくこの世界で誰かが開発した魔法である事は確実だが、どこの誰が召喚したかまでは分からないし、声も届かない場所に移動されたら精神支配の魔法ではどうにもできない。

 分かっているのはリネットが「聖域」のメンバーに回収されたって事ぐらいだ


「いい加減、ウチの薬師から手を放してもらえる?」

「・・・チッ」


 マーシャさんが断絶竜王の腕を掴んで凄むと断絶竜王は舌打ちと共に私から手を離した・・・ふぅ。


「封印魔法でアレ防げると思う?」

「どうでしょう・・・実際に魔法を分析してみない事には」


 マーシャさんとも相談してみたが、アレは召喚系の魔法である事は確実。

 人間を召喚する魔法なんて見た事も無いし、あの効果を見るに物理的に身動きを封じた所で意味はないだろう・・・


「ジャコウさんの方は・・・?」

「あかんな。寄生させる前に逃げられてもうた。最初から打ち込んどけばよかったわ」


 手がかりには逃げられてしまったか・・・


「スキュラの悪魔武器の方は?」

「叩き壊したから問題ないわ」

「ふん。・・・ならばここにはもう用は無いな」


 散々文句タラタラだった断絶竜王はさっさと出て行ってしまった。


「ったく失礼なヤツね」

「ある意味ドラゴンらしいって言えますけどね」


 手元に残った手がかりは彼らの拠点に繋がるスクロール(罠付き)だけか


「でも大きな進歩よ。コレでアイツらのアジトに踏み込めるわ」

「罠だらけで使い物になりませんよ、コレ」


 カウンターを仕込んでるだろうし、安易な魔法解除の魔法は迂闊に使えない。

 マーシャさんの解除スキルは物理的な罠や仕掛けしか使えない

 専用の解除魔法を使わないとコレは無理だ


「コレ、解除できる人に心当たりとか・・・」

「あー。ゲームの時やったら何人か思い当たるけどなぁ」

「こっちの世界に来てるかどうかで結構ハードル上がるわね・・・」

「僕の方もちょっとコレはどうにも・・・」


 全員心当たり無し。当たり前か

 ダメ元でレーシアさんに解析を依頼するが、できたとして効果は分かっても解除するのは無理だろうな

≪罠解除≫

種別:探索スキル

制限:盗賊系or野伏系クラス

射程:接触

道具を使用して宝箱や通路、部屋にある罠や仕掛けを解除して安全を確保するスキル

エルドラド・クロニクルにおいてダンジョンを始めとした多くの戦闘可能エリアでは罠が設置されている場合があり、盗賊系か野伏系クラスによる看破スキルか占い師などの探索魔法が使える魔法使いによる探知が必須。

感知に成功した罠はこのスキルを使って解除or無力化し、安全を確保できる

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― 新着の感想 ―
MMOで空中移動要塞(ステルス機能付き)とか対人トップギルドでも厳しそう 資産運用がバカ当たりした廃課金ネオニートとかかな? 3000万円くらい課金したら作れそう
次回からは腹の中にやべぇもんを詰め込んでおくって嫌がらせが使えるな
む、回収されたか…… アイテム全部回収しておけば良かったかもと思いつつ、タイミング的には「特定のことを口に出す」とか「特定の状態異常になって一定時間」とかで本拠地で警報でも鳴るとかなんでしょうか。
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