第180話
「≪魔法範囲化≫≪追放≫!・・・ダメですか」
カイさんが≪追放≫の魔法をタコの群れに行使したが、効果無し。
たしか≪追放≫は召喚されたクリーチャーを対象に強制的に元の次元世界に送り返す魔法だが、こいつ等は召喚では無くスキルか能力で生産された存在だから効果が無いみたいだ
「≪5倍連続魔法≫≪魔法拡散≫≪毒薬の矢≫!」
私は散弾型に形状変化させた毒の矢の魔法をタコの群れへと5連射。
毒の中身は揮発性の神経毒で自爆させる前にコロリと一発昇天可能な濃度に設定してる。
矢によるダメージよりもその後にまき散らす毒ガスがメインなので拡散させて威力が減衰しても問題無い
「ニャン吉ッ!」
『了解!≪裂空虎爪≫ッ!』
クラウベルの掛け声と共にニャン吉がジャンプしながら空中で爪から3本の斬撃を飛ばす。結構射程も長いのか5mほど斬撃がタコ達を切り裂きながら突き進む
「≪王虎断空破≫ッ!!」
続けてクラウベルが槍斧を豪快に振り降ろすと、トラの姿をしたオーラが斬撃と共にタコの群れを押しのけながら突き進み、吹き飛ばす
虎モチーフの技が多いな。彼女の趣味か?
「≪猛虎断爪≫ッ!」
続けてクラウベルの槍斧による薙ぎ払いだが、1振りの斬撃は3つ。トラの爪痕のような三本の斬撃が半円状に広がり、彼女の正面180度のタコは3分割された
無茶苦茶強いな。単純な火力で言えばリッシュさんには少し劣るがその分手数はあるし、何よりトラの武具精霊であるニャン吉との連携がかみ合ってる。
動物型の武具精霊は物理攻撃系の能力を持つ傾向があるが、クラウベルの持つニャン吉の能力は実体化中に固有技を使って使用者であるクラウベルと連携戦闘する事がデフォルト能力なのだろう。
実体化して戦う事が前提の能力だからかクラウベルのスタミナは実体化しててもあまり疲れた様子を見せてない。
「≪疲労回復≫!」
すかさずカイさんがスタミナを回復させる支援魔法を行使してクラウベルのスタミナを回復させる
カイさんのMPが続く限り、スタミナ切れの心配をせずに済むから僧侶系の援護は頼もしい
「≪大混乱≫!」
私も広域デバフを振りまく魔法を行使。
私が指定したエリアで精神混乱を引き起こす魔法で混乱したタコ共は同士討ちや自爆の無駄打ちが起こる
クラウベルはニャン吉に飛び乗りその混乱の中を突き進み、後宮までたどり着く・・・と、壁に亀裂が入り膨張
「ッ!?」
慌ててニャン吉が後ろに跳びあがると、その直後に壁が内側から吹き飛ばされ、マーシャさんが壁を突き破って吹っ飛ばされてた!
「マーシャさん!?」
後宮の中に既に潜入してたのか・・・ってマーシャさん左腕が折れてる!?
「カイさん!マーシャさんに回復を!」
「はい!≪大回復≫!」
カイさんの魔法でマーシャさんの骨折とその他の打撲と思われる傷も全て回復。
と言うかマーシャさんがここまで負傷するなんて何があった!?
「ゴメンミスった・・・。もう1人、悪魔武器持ちと別でプレイヤーが居る!」
警戒してたのはそっちか!
慌てて検知魔法をかけ直そうとすると、窓にキラリと何かが光ったような気がしたので慌てて緊急回避。
直後に私の頬を何かが掠めた!今のなんだ!?見えなかった!
だが、飛んできた方向は分かる。後宮の建物の中!たぶん種類は魔法攻撃!
「連射来るわよ!」
マーシャさんの言葉と同時に、壁に無数の穴を開けて何かが飛んでくる!
酸・・・いや、ただの水か。だが発射速度と圧力がタコとはレベルが違う!
Lv100クラスの攻撃魔法だ!
現に空を飛ぶ私を撃ち落とすように水弾の弾幕が容赦なく張られている。
この箒、長距離移動用だから機動力は大して高くない、避けきれない!
「≪琥珀の鎧≫ッ!!」
箒をインベントリに収納し、琥珀で体を覆って水の弾幕をガード
ガガガガガガッ!とまるで削岩機でも当てられたかのような激しい衝撃が襲うが、あらかじめ正面に装甲を分厚くしたおかげで地面に落下するまで耐えきることができた
地面への落下は樹脂のクッションで和らげて着地し、反撃に魔法を行使
「≪嘆きの大絶叫≫ッ!」
呪いの絶叫による音波攻撃が直線状に居るタコを巻き込みながら、攻撃してきた方向へ向けられる・・・が
「≪水幕の壁≫」
水の壁が出現し、音波が水を通して逸らされた・・・!?
出てきたのは悪魔武器らしき三又槍を持つ、紫の髪のスキュラ・・・とそれを従えているように歩く青いマーメイドドレスの女魔法使い。
手に持っているのは・・・ワイングラスみたいな形の金属のカップ?
「あのカップ、精霊武具よ。アレで水を操作してかき集めて水系魔法を強化してる」
水系魔法・・・火属性と並ぶ基本属性の一つだが、応用の幅の広さは全魔法系統の中で一番広い。
単純な液体操作だけじゃなく、酸化させて溶かす、水球を気化爆発させる、水で濡れた相手を凍結させる、高圧水の刃で切り裂いたりと水から様々な攻撃に派生させる物理/魔法両方の攻撃が可能な属性系統だ
水さえあれば殆ど何でもできると言って良い。一応、酸や毒も水系魔法系統なので私も一部は使えるが・・・あっちは完全に水系魔法特化型って感じか
「バカの尻ぬぐいしに来たら、厄介な連中も来たものね~。
悪魔武器探知魔法なんて竜種も余計な魔法を作るし、プレイヤーが5人も城にくるし、ホント割に合わないわ~」
バカの尻ぬぐい?それに・・・プレイヤーが5人?
自分も含めて・・・か?
「アンタ、≪聖域≫?」
「せいか~い。イデア工作担当のブルーリネット。リネットさんって呼んでね」
マーシャさんの質問にリネットはあっさり認めた。
「こっちは必死に王太子・・・あぁもう死んでるから元王太子か。
とりあえずイェルハルドにヨイショもお世辞も色々やって、ダークエルフ潰させるよう仕向けたのに、あと一歩でひっくり返されてさ、王都の人質取り戻させるしでもう散々だから、さっさと帰りたかったんだけどねぇ。上からの命令で、次期王様の首挿げ替えて、もっかいやれって言われて暗殺計画とか諸々頑張ったんだけどねぇ。やっぱ無理だわ私。そういうの元々向いて無いし・・・さっ!」
リネットの言葉と同時にカップがこちらに傾けられ、その瞬間に高圧水の斬撃が放たれた!
「むんっ!!」
すかさずクラウベルの槍斧によるフルスイングの風圧が水の刃を散らし、その隙に私は横っ飛びして射線から退避。直後に新たな水の刃が私の居た場所を切り裂いた
あっぶな!詠唱とか無しでアレ撃てるのか!発動の瞬間が分からなかった・・・!
「あーもう避けられる」
リネットがカップを戻すと、放たれた水がカップに引き寄せられるように吸い込まれ、再びカップの中は水で満たされる。リチャージは5秒程度。容量は見た目以上にあるな。圧力とか射程を考えたら多分数百キロくらいは入るんじゃないか・・・?
「だからさ。もう面倒だから武力制圧で良いかなってね。ちょうどいい機会だからさ」
≪水幕の壁≫
種別:防御魔法
制限:元素系魔法習得可能クラスLv7以上
属性:水/防御
射程:術者を中心に半径5m以内の全方位
形状:壁
水の壁を出現させて攻撃を防御する魔法。
物理的に物体を隔てることはできない代わりに、魔法攻撃やエネルギー攻撃を受け流し、防ぐ事に特化している。
ただし術者が移動するとこの魔法は自動的に解除される




