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第179話

 数時間後、夕食時になった頃


「動いた」


 マーシャさんの言葉と同時に上の階が騒がしくなった。

 確認のために≪千里眼≫を発動させると・・・ゲッ


「マーシャさん、なんかすごい数のタコが出て来てるんですけど」

「あっちゃぁ・・・向こうも暗殺諦めてゴリ押しで来たのね」

「仕方ない。行くぞ」


 後宮前の中庭をタコの軍勢が埋め尽くし、城の中から近衛兵や魔法使いが攻城戦さながらの戦闘が始まっていた

 クラウベルの言葉に武器を取り出し、ドアを蹴破って地下室から脱出


「やっぱりあの時近衛を無力化して強引に押し入った方が良かったのではないのか!?」

「んな事してみなさいよ、悪魔武器はこの国じゃまだ()()()()()()()()だから、実際暴れてる現場押えないと最悪は不敬罪だとかで一発アウトよ。やるなら言い訳できない現行犯で確保した方がマシだと思ったの!」


 地下から一階への階段前に向かうと、近衛兵二人が居た


「!? 待て!止まれ!」


 止まっていると厄介さが増えるので悪いが押し通らせてもらう


「≪2倍連続魔法≫≪石化の呪い≫!」


 立ちふさがる近衛兵二人を石化させて行動不能にさせ、そのまま通り抜ける


「≪時限式魔法発動(ディレイ・キャスト)≫≪魔法終了(フィニッシュ)≫」


 3時間後に石化が解除されるように発動タイマーをセットし、1階へ駆け上る


「悪魔武器は!?」

「ちょっと待って。えーっと・・・あそこ!」


 マーシャさんの指さす先は後宮。

「東側のテラスよ!」


 ここからじゃ魔法の射程を伸ばしても正確に当てられるか自信無いな。

 1階の出入口はバリケードで締め切られている。2階のテラスから出るか


「先に行く。後からついてこい」


 クラウベルがそう言うと、槍斧をインベントリ空間から出した


「≪武具精霊実体化≫ニャン吉!」

『改名してぇぇええ!!』


 クラウベルが武具精霊実体化を発動させ、精霊が実体化。

 翡翠の宝玉が取り付けられた首輪が付いたデカい虎の武具精霊

 しかし当の精霊は改名したいと嘆いているな・・・


『ご主人!流石にこのガタイで「ニャン吉」って名前は恥ずかしいんだが!?改名を要求する!』

「それより今は急ぎだ。行くぞ!」


 ごねるニャン吉君の背中にクラウベルが飛び乗り、猛スピードで行ってしまった・・・騎乗可能なのかアレ


 私達も二階へ目指すと、派手な音を立てた爆発音が聞こえる。魔法使い達が範囲攻撃魔法を使ってタコを薙ぎ払っているのか


「≪通信≫。ベッティちゃん無事?」

『師匠!?ちょっと今、忙しいです!≪炸裂火球(ファイヤーボール)≫!』


 ベッティちゃんの魔法名宣言と共に再び爆発音。ベッティちゃんも戦力にしてんのか近衛の連中・・・

 イラっとしたけど、今の状況でグダグダ言うよりもさっさとタコ共を薙ぎ払って悪魔武器を破壊した方が良いか


「マーシャさん!≪加速≫!」

 マーシャさんを対象に≪加速≫を行使し、効果を受けたマーシャさんは素早く二階に駆け上がり、二階テラスから外に躍り出る


「≪貫通射≫!」


 マーシャさんが弓を引き絞って放たれた矢が一直線にタコの群れを貫き爆散させる


「≪3倍連続召喚≫≪中位天使召喚:剣の力天使(ソードデュミナス)≫!」


 続いてカイさんが長剣を持った中位天使を3体召喚して戦線に加わらせた。

 天使たちは空を飛びながら急降下強襲でタコに攻撃と離脱を繰り返す


 クラウベルの方もニャン吉の背に乗った状態で槍斧を振り回しながらタコを踏み潰し、槍斧の薙ぎ払いでタコを吹き飛ばす。


 近衛兵たちもただ見てるワケでは無く、弓矢や投槍、投石等で遠距離からタコを攻撃してる。

 タコ単体は近衛兵たちとほぼ同レベルなのか、割と善戦出来てるな


 ベッティちゃんは・・・居た!3階の空中庭園で他の魔法使い達と一緒にいるのを見つけた

 空中庭園では、城に居る魔法使い達が魔法による爆撃で範囲攻撃しているが・・・いい年したおっさん魔法使いよりもベッティちゃんが撃つ≪炸裂火球≫の方が威力が上なのは、正直どうかと思う。


「カイさんは2階から支援魔法お願いします」

「言われなくてもあんな前線に行きたく無いです」


 そりゃそうか


 インベントリ空間から箒を引っ張り出し、飛行しながら魔法を詠唱。

 空中戦は苦手だが、上から下に落とす程度なら楽な作業だ


「≪3倍魔法範囲拡大≫≪炸裂火球≫!」


 範囲攻撃と言えばコレが一番クセが無くて助かる。

 3倍の大きさに膨れた火球を敵後方に放り込んでやれば、大爆発と共にタコが焼ける良い匂いが漂う。・・・妙に食欲を刺激する良い匂いがするのがちょっと腹立つな。酸の体液で絶対毒持ってるのに、あのタコ


 マーシャさんは・・・姿が見えないな。隠密スキルで乱戦のどこかに隠れたか。なら、本体探しはマーシャさんに任せて、こっちは巻き込まない程度に暴れるとしよう

 群れの統率個体は・・・アレか


「≪障壁無効化≫≪魔法範囲化≫≪3倍魔法範囲拡大≫≪石化の呪い≫!」


 念のため耐性を無視する効果を付加させて、範囲化させた石化の呪いでタコの群れを統率個体ごと石に変える。

 石にしてしまえば自爆能力も使えないので後は物理的に叩き割ってやれば良い


「≪薙ぎ払い≫ッ!!」


 クラウベルが石化したタコの群れの中に降り立ち、一閃。

 轟音と共にタコの石像が砕け散り、残骸が轢弾となって他のタコを襲う!


 自爆能力以外はぜんぜん大したこと無いな。

 時々酸の塊を飛ばしてくるが、空中に居る私には届かないし、クラウベルも問題無く回避できてる。

 城に飛んでくる攻撃もカイさんの結界魔法による障壁で防御できてる


 一見すればなんてことないワンサイドゲームなんだけど・・・

 なんでマーシャさんはあそこまで警戒してたんだ・・・?

≪石化の呪い≫

種別:状態異常魔法

制限:呪詛系魔法習得可能魔法系クラスLv13以上

属性:呪い

形状:対象指定

射程:0~20m

指定した対象を「石化」させる状態異常魔法の一種。

石化した対象は自発的な行動ができず、石像オブジェクトとして扱われる。

この魔法による石化を解除するには石化を解除するアイテムを使用するか、解呪系の魔法を行使する必要がある。

石化状態で破壊された場合、修復せずに解除すると対象は即座に死亡する。完全に修復した場合は問題無い


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― 新着の感想 ―
マーシャさんの警戒だからな… きっと何かが起こるにちがいない…!
どういう理由で警戒してたんだろうな?
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