表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/179

第18話

 ダンジョン発見の報告から次の日。

 いつも通り、起床し朝食を摂り、拠点造りへ。


 マイコニド達の宿舎の前を通ると

「主殿ォ!完成しましたぞぉーーーーっ!!」

 と宿舎から真菌の魔術師の一人が何かを握って出てきた。


「完成って何を・・・?」

「紙です!以前、主殿が『紙が欲しい』と仰られたではありませんか!」


 どうぞ!と真菌の魔術師から差し出されたのは、確かに紙だ。

 白くて形が整った・・・()()()

 惜しい、すっごく惜しい。

 私が欲しいのは()()()()()()()()()で画用紙は・・・いや、コレはコレで使えるか。

 私が街で手に入れた羊皮紙で書き物をすると引っかかったりしてコツがいるが、この画用紙はかなり書きやすい。

 丈夫で軽いし折りたためることもできなくはない。


「えーっと、欲しいタイプの紙じゃないけどコレはコレで使えるから助かる。

 作業班にレシピを共有して少量だけ生産を指示して。

 あと、他の紙の種類も欲しいから引き続き研究を続けて」

「畏まりました」


 この調子ならトイレットペーパー・・・そうじゃなくても類似品が作られるのも遠い話じゃなさそう。


 さて、開拓に戻ろう。

 毎日の水やりと農薬の散布、雑草抜き、葉や茎を見ての健康状態の観察し記録する。

 ・・・うん、画用紙が便利だ。インクが滲んだりしない。


 鉛筆も作らせようかな。確か木炭を加工するんだっけ?

 芯の柔らかさとかどう調節するのか研究させてみよう。

 いや、万年筆とかの方が良いか?インクを内蔵してるタイプ。

 いちいちインク壺からペンにインクを付けるのも面倒だし。


 一通り確認が終われば、次は村の手伝い。

 基本的に何でも足りない村なので、村人全員は手が空いたら誰かを助けるのが当たり前みたいな感じだ。

 あと、手を貸したらお礼って感じでおすそ分けも貰える。


 今日は村で育てている豆の早摘みを収穫する。

 早摘みは初夏から夏の半ばまでがピークらしい。

 豆は全部収穫せずに6割は完熟させて保存食にするため秋まで育てるそうだ。


「≪収穫の鎌≫!もう一回≪収穫の鎌≫!」

 村人たちはハサミで収穫しているが、私は魔法で楽をさせてもらう。

 笊を地面に置いて収穫の鎌を振えば、豆の茎は繊維になり豆は収穫された状態で笊に落ちる。

 後は笊に落ちた豆を仕分けチームに渡して収穫に戻るの繰り返し。


 早摘みを終えた畑は、収穫後に手入れを行って冬前に収穫するカブを植える予定だ。


 収穫は途中の昼過ぎくらいにゴブリンの襲撃を挟んで夕方頃に終了。

 おすそ分けとして背負い籠半分くらいの不揃いの早摘み豆をマイコニド達と分け合って夕食にする。

 最近は真菌の神官が食事や衛生を担当しており、真菌の兵士や弓兵が森の奥から狩った動物や食材を調理してくれる。

 森の奥では食用ハーブが自生している場所が在るらしく、マイコニド達が採ってきたハーブの風味のおかげで村全体の食事が良くなってきた。


 ハズレみたいな毒草とか気味の悪い虫も食材扱いで持ってくる時もあるが、採取した物を私が魔法で分析して情報をアカネと共有しているおかげで、『明らかに食べられない物』を持ってくる事は無くなった。


 夕食を終えた後はマイコニド達が収集した収穫物を鑑定、分別して調合の時間。

 村では農薬が大人気だったので、次は植物の生長を助ける栄養剤とか肥料を作りたい。

 村での治療は・・・真菌の神官に完全に立ち位置を持っていかれた。

 彼らはレベル60相当の神官クラスなので≪中位傷病治癒≫も使えるし、私では使えない≪重病治癒(キュアセリュシエール)≫や≪猛毒除去(アンチヴェノム)≫を行使できる。

 それ以外でも神官と魔女では神官の方がなぜかウケが良かった。


「エリシアの嬢ちゃんが強いのは知ってるけど、イメージとしちゃやっぱ神官さんの方が完璧に治してくれるって思えちまうんだよな」

「分かる。魔女って聞くと怪しい魔法の実験台にされそうなイメージがあってなぁ」

「嘆きの大絶叫だっけ?あんなおっかないヤツを召喚する魔女の魔法はやっぱ怖いってイメージがあるなぁ」

「毎日ゴブリンを全滅させてるから、治すってイメージがもう無いなぁ」

「おねぇちゃんつよくてちょっとこわい」


 村人への聞き取り調査の結果、私のイメージは『畏怖』だった。

 あと、最後の幼女の評価で私は崩れ落ちた・・・


 これからイメージアップする努力をしよう。


 そして、明日の分の調合を終えた時、私の作製した使い魔が手紙を持って戻ってきた。


 トールさんからの返信か。

 インベントリ空間からナイフを出して封を切って読む。


『エリシアへ

 ダンジョン発見の報告は受け取った。

 街ではダンジョンの攻略のための討伐隊の編成が完了したらしい。

 これからお前の情報をギルドに報告してみるが、討伐隊が信じるかどうかは保証できない。

 もし、ダンジョンの飽和がお前ではどうしようもないなら、村の人間を連れて街まで逃げてくれ。

 街まで逃げてこれたら、俺が何とか手を貸してやる。

 上手く立ち回れよ。

     ToRLより

 追伸

 冷やし中華始めました』


 そうか、討伐隊の編成が完了したのか。

 来てくれれば、嬉しいが・・・もし来なかったら、マイコニド達を派遣して攻略も考えるべきかな。


 冷やし中華・・・あー。久しぶりに食べたくなってきた・・・。

 トールさんなんでこのタイミングでソレ入れるかなぁ・・・。

≪通信≫

種別:共通魔法

制限:魔法を行使できるクラス全て

属性:なし

射程距離:術者を中心とした半径500m

形状:なし

視界に確認できる対象1人と思念で通話する魔法。

ぶっちゃけると秘匿チャット機能で、発動すれば500m以内に居れば永続的に通話し続けられる。

発声の必要なく互いの意思を伝えあうことができるため、諜報対策に使うこともある。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
マイコニド有能すぎるなぁ
[良い点] 冷やし中華始めました)^o^(
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ