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第172話

 さて、治療も終わって伯爵邸でしばらくお世話になる。

 今日の予定では後は自由時間で、明日は朝食後に王城へ向かい、顔合わせと下見をする予定。

 なので、私は荷物を置いてベッティちゃんと一緒に王都の市街地で買い物をする。


 村・・・というかパ・ブシカの街でも手に入らないような品も売ってるかもしれないし、ベッティちゃんには見習いとはいえキッチリ給料を払っているとはいえ・・・衣食住はほぼ私が負担しててお金を持て余し気味(時々パン屋からオヤツを買ってるけど、出費は微々たる物)なので、珍しい物が有れば好きなように買い物をさせてあげたい。

 流石に一人で出歩くのは憚られるので私も付きそうし、私も買い物がしたい。


 マーシャさんは

「アタシ?・・・ちょっと王都じゃ顔知られちゃってるからあんまり出歩きたく無いのよね。なんか有ったら≪通信≫でも送って」


 そう言ってベッドで横になって昼寝を始めてしまった。


 カイさんは

「僕は王都にある大聖堂に行ってみようと思います。

 こっちの世界だと、エルドラド・クロニクルの神格は無名ですが、一応顔だけは見せておこうかと思いまして」


 そう言って、途中で別れることになった。



 王都の中央通りでは比較的賑やかで、パ・ブシカの街よりもお洒落な雰囲気がある。

 まぁあそこって森とか近いから無骨な冒険者向けな装備が目立ってたけど・・・こっちは洒落た服とか装身具、綺麗なガラス製品や陶器、調度品などが目立ってて文化的な物が多いな。

 うーん。この服はベッティちゃんに似合うかな・・・あ、こっちのドレスはアカネに着せたらかなり似合うと思う・・・


 そんな事を考えながら店を巡り歩くと、唐突に私に対して≪通信≫がかかってきた。この感じ・・・知り合いじゃ無いな。誰だ?・・・出てみるか


「・・・誰ですか?」

『エリシアだな?私はクラウベル。クリムゾンという傭兵団を組織しているお前と同じ元プレイヤーだ』

「・・・初対面ですよね?」

『ゲームの時でもあった事は無いな。だが噂になっているぞ・・・こちらの世界用にアレンジしたポーションのレシピをバラまいたり、悪魔武器を狩ったり、原色竜種をぶっ倒して金品を強奪したとか』

「最後はデマですよ。ドラゴンとちょっと揉めた事はありましたけど、和解してますし、第一この世界で竜種に喧嘩売るとか自殺行為でしょう」

『まぁ最後はデマなのは知ってる。・・・と本題はそこじゃない。

 協力して欲しいことがある』

「協力?・・・そもそも傭兵が私に何の用ですか?」

『会って直接話そう。この≪通信≫だと誰かに聞かれる可能性もある。

 旧市街地にある「赤い(たてがみ)亭」という酒場があるからそこで会おう。・・・不安なら仲間を連れて来てくれても構わないぞ』

「・・・分かりました。「赤い鬣亭」ですね」

『あぁ。待ってる』


 そう言ってクラウベルとやらからの≪通信≫が途切れた。

 流石にベッティちゃん連れて行くわけにもいかんし・・・仕方ない。マーシャさんに付き合ってもらおう


「≪5倍魔法射程拡大≫≪通信≫。マーシャさん聞こえますか?」

『なによ。買い物行ってたんじゃなかったっけ?』

「寝起きのところごめんなさい。ちょっと相談がありまして・・・」


 クラウベルとの通話内容を話すと

『・・・分かった。赤い鬣亭って酒場ね。知ってるから案内するわベッティちゃんどうするの?』

「・・・」

 どうしようか・・・一度伯爵邸まで戻ってマーシャさんと合流した方が良いか


「伯爵邸に連れ帰ります」

『了解。じゃ待ってるわ』


 はぁ・・・ショッピングは中止か。スクロールの在庫を増やせば気軽に行き来できるけど


「師匠。どうしました?」

「ごめんね。買い物は中止になったわ。用事ができちゃった」

「分かりました。すぐに会計しますね」


 私達は手に取った服を買い、伯爵邸まで戻るとマーシャさんが既に準備を終えていた

「すぐ戻るから。部屋で待ってて」

「分かりました」


 ベッティちゃんを伯爵邸の部屋で待たせ、マーシャさんと二人で王都旧市街へと進むと・・・うっ。けっこう汚い。

 スラムってワケじゃないけど、道にゴミが散らばってるし道端で寝てたり浮浪者みたいなヤツが目立つ・・・いや、十分スラムだな。王都の闇ってヤツか?知ってたら絶対行きたくなかった


「この辺りはギャングみたいなのが仕切ってるから油断しないようにね」

「マーシャさんなんで平気そうなんですか」

「まぁ数か月この辺で暮らしてたら慣れたから。ギャングとか裏組織とか貯金箱みたいなもんよ?」

「ATMからお金引き出すみたいに裏組織潰さないでくださいよ・・・まぁそれで世の中平和になるなら良いんですけどね」


 旧市街では表通りには無い物騒なのも扱ってる。

 ガラの悪い連中が無遠慮にこっちを見てくるし、明らかにまともな出どころじゃない刀剣がむき出しで並べられてたり、どこから持って来たのか怪しいボロボロな防具とかが並んだ露店、明らかに盗品臭い品々が並べられてる店・・・うわっ立ちんぼ(底辺娼婦)まで居る・・・ベッティちゃん連れてこなくて良かった。教育に悪すぎる


 旧市街をしばらく歩くと酒場の看板を掲げた建物が見えた・・・アレが「赤い鬣亭」か・・・?

 何でこんな所を指定したんだ・・・これでくだらない話だったらさっさと帰ろう

≪長杖≫

分類:「杖系武器」「鈍器系武器」「発動体」「両手運用武器」

魔法使い系クラスが一般的に使用する、140cm~2m程度の長さのある杖。

杖が発動体として機能しており、魔法系クラスが装備すれば魔法を行使できる。

片手運用する短杖と違って長いので取り回しにはコツが要るが、両手持ち殴打武器としての使用も可能であり、広い間合いを利用して接近する敵を牽制できる。

殺傷能力はあまり高くない武器種だが、近接戦闘が得意な前衛型魔法使いは長杖を利用した「杖術」スキルを習得している場合もあり、広い間合いの杖術と至近距離からの魔法のコンビネーションで戦う姿はエルドラド・クロニクルではよく知られた組み合わせでもある。

魔法植物の木材や妖精銀などの魔法金属製に宝石などで装飾されている物が一般的だが、モンスターの巨大な牙から削り出した物や生きた触手や蛇で作られた物など様々な種類があり、用途や戦闘スタイルから各魔法使いは相性の良い杖を選択する。

エリシアは普段使いで植物魔法や生産魔法の強化能力を持つ一般作業用の長杖(長さ160cm)と奥の手である呪い攻撃に性能を特化させた処刑魔女(セイレム)の長杖(長さ157cm)を持ち歩いている。

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― 新着の感想 ―
勝手にお金が集まってくる貯金箱( ˘ω˘ )
某ドラまた「そう! 悪人に人権なんか無いのよ! だから、アイツ等が貯めた財宝はまるっきりアタシのモノにしても良いってワケ! つまり、アイツ等はアタシの貯金箱! OK?」
賊は資源 巻き上げても誰も文句言わないどころか賞賛されるので(笑)
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