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第169話

 さて、予定通りに悪魔武器は破壊されたので、残骸を研究チームに引き渡すためエルフの里内にある研究所へと持ち込む。

 今までは真菌の魔術師達が詰めてた私の拠点にある研究小屋で研究していたが、エルフの里が引っ越してきた辺りで見学したら、設備の豊富さや資料の数からエルフの里にある研究所にマイコニド達を派遣して研究させる事にした

 マイコニド達も勉強になると言って、積極的に研究所で毎日色んな事を研究していた・・・んだけど、たまに変な物を作る時があるんだよなぁ


「できたぞォ~~~ッ!「服だけ溶かす溶解液」ィ!!」


 この研究所の所長のせいで


 研究所に入った瞬間に目に飛び込んだのはピンク色の液体が詰まった瓶を掲げて叫ぶ、ボサボサに伸びた茶髪と無地のジーンズシャツに白衣と瓶底眼鏡の小柄なエルフの男。

 少年に見間違える彼だが、れっきとした成人で少なくともこの研究所で一番の学者・・・らしい

 エルフの学者「シャルロック」所長。最近は私達異世界人が持つフィクション媒体のアイテムを再現することが趣味・・・らしい。主に情報源は


「ついにできたんすか・・・!あの伝説の、「服だけ溶かす溶解液」が・・・!」


 アキヒト君だ。あんまり役に立つとは思えないアイテムとか、地球にある便利グッズの再現とかちょくちょく依頼してるらしい


「あぁ!完成した!コレを振りかければどんな衣服もあっという間に溶かして消える!ついでに自然と肌にも優しいオーガニック素材で・・・あ!」


 直ぐにマーシャさんが没収し、無言でシャルロック所長の頭にその溶解液をぶっかけると・・・おぉ。ホントに服だけ解けてる。すごいな


「アキヒト。アンタが自分の金でなに作ろうが勝手だけど、こういうのは感心しないわよ」

「ちょぉ!?いや!まぁ。・・・はい」


 女性陣の視線が突き刺さり、アキヒト君が撃沈

 全裸になったシャルロック所長が服を取りに奥へ引っ込んだ隙に、服だけ溶かすとかいう溶解液のレシピも没収する。

 変な事に使われたらたまったもんじゃないし、私のローブは特注だから溶かされたらシャレにならない・・・いや、装備破壊による無力化を狙うと考えたら割とアリな発明か?コレ・・・


 シャワーを浴びて来たのか、服を着替えたシャルロック所長が戻ってきたところで本題に戻ろう


「話を戻しますけど、この残骸の解析をお願いします」

「おぉ。悪魔武器の残骸だね!マーシャ君が持って来た物とは違う物か・・・ふむ。解析はしてみるが期待はしないでほしいね。残骸の状態で出来る限り分析してはいるんだけど、なにせバラバラで物がモノだから安易に復元もできないから、慎重に調べているところだよ」

「何か進展は?」

「この悪魔武器。真菌の魔術師達から共有されたレポートと照らし合わせた結果だけど、「失敗作」と「量産型」の差異が発見されたね。

 失敗作には、所有者への精神汚染のような強制的な同調機能があるけど、量産型は登録された魔力への共振効果がみられる。コレは君たちの持つ精霊武具と同じ性質だ」


「魔力への共振?」


「魔力の増幅と言えば分かるかい?この世界の生物は君たちを含めて多かれ少なかれ「魔力」をその身に宿している。

 魔力を帯びているおかげで、私達は攻撃的な魔法や有害な効果に対してある程度は抵抗(レジスト)が出来るのは常識だね。

 物理系の「スキル」と呼ぶ攻撃や防御もその延長だね。アレは君たちがスタミナって呼んでる気力に少量の魔力を練り込んでいるから、物理現象に反した効果が発揮されてるんだ。

 体格に見合わない怪力、肉体強度を無視した頑健さ、異常な動体視力や反応速度、高速移動やそれによる残像の出現など君たちにとっては非現実的な効果は魔力による影響が少なからずある。

 そして、最も分かりやすいのが魔法付与(エンチャント)による装備の効果だね。

 アレは魔力が体表に帯びている限り、魔法の武具はその体表に帯びた魔力を糧に永続的に起動し続けている。だから本来獲得に必要な強化魔法や対応する技能が無くとも、装備さえできればその能力が使えるんだ」


 ほー。つまり魔力が私達の知ってる物理現象をひっくり返しているのか


「そして、ここからが本題だけど聖域のメンバーの話では悪魔武器の能力は「魔人化」と呼んでいたけど・・・解析した限りでは「変身」と言うより「憑依」に近いね」


「憑依?」


「武具精霊は君たちの魔力と共振し、そのパワーを増幅させることで姿と能力を実体化させるように、悪魔武器も共振による増幅で武具に宿る「異形」を所有者の肉体に憑依実体化させている・・・と考えられるね」


「つまり、コレは精霊武具の亜種って事でいいのか?」


「大雑把に分けるならね。で、失敗作は強引に持ち主を異形側へと調整してるから精神汚染が進んで暴走してるんじゃないかな」


「じゃー量産型の方は?アイツらは暴走してるようには見えなかったわよ?」


「ある種のリミッターみたいなのが入ってるのかもね。一定以上までは同調せず、理性が保てるギリギリのラインで同調することで、異形の力をコントロールできるように改良がされてるんだと思うよ。流石にコレがどんな方法で作ったのかまではちょっとまだ分からないけど」

「十分ですよ。後はコレを効率よく破壊できる方法も研究してくれると助かります」


 変人だけど、学者としての能力は本物なんだよなぁ・・・

≪サイ・ブレード≫

分類:「サイ・ウェポン系武器」「片手刃物武器」「純エネルギー武器」

超能力者が扱う近接武器の1種であり、純エネルギーの刃で敵を切り裂く斬撃武器。

とても軽量なため、攻撃速度が速く素早い連続攻撃が最大の特徴だが、刃はエネルギーで形成された非実体なため刀身による防御や受け流し、鍔迫り合いなどができない欠点も存在する。

しかし逆に言えば防御技によってはじき返されたり、刃を狙った受け流しや刀身を絡めとられるような事も無いので、刃が非実体という特徴を頭に入れておけば優れた武器である。

非常に軽いという特徴もあって片手運用でも二刀流でも扱いやすく、見た目も派手なのでそれなりに人気

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― 新着の感想 ―
乳龍帝のあれみたいなやつだよね もし人体に影響ないから毒じゃないってことでスキルの判定すり抜けとか特化による強化で判定勝ちとかあるなら有能…… ただ布だけにしか効果なければ微妙?金属とか革もいけるなら…
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