第166話
さて、水道などの水回りの工事がひと段落ついたため、次は道路などの整備も計画する。
村の道は大体が踏み固めただけのあぜ道なので、砕石舗装を計画する
材料は地属性系の魔法で岩か石を使う攻撃魔法で出た石を使いたいところだが・・・
「持続時間5秒・・・ってトコね」
「魔法の効果が切れると元の土に戻っちゃいますね」
土をセラミックに変える魔法は戻らなかったが、攻撃魔法で作った石は使い捨て前提な面が強すぎて、魔法の発動が終了すると元の土に戻ってしまった
これじゃただ土を盛るのと変わらない。そこで、仕方なく焼成の段階で割れてしまった不良レンガを砕いて使用し舗装にする
とりあえず大通りを予定しているところを優先し、街道への道も舗装すれば移動効率アップは間違いない
線路の方も順調に延長工事が進んでいる・・・と、探知結界にLv100の反応。それも3人
マーシャさんが警戒のためにリッシュさんとアキヒト君を連れて様子を見に行ってしばらくすると連絡が来た
「自分の元ギルメンっす。噂を聞いて来てくれたみたいなんで安全っすよ」
・・・どうやらアキヒト君のギルドメンバーだったらしい。
敵じゃないなら安心と思い、村で会ってみると
「フジタです」
黒髪ツインテールで毛先だけピンクの地雷系ファッションの女の子
「タカオっす」
黒髪ストレートロングに長身スーツ姿のクールビューティー系の美女
「ナスハラって言います」
茶色のボブカットに前髪メカクレ系の巨乳女子
彼女たちは整列してから
『俺たちを男にしてください・・・!』
フジタ、タカオ、ナスハラと名乗った女性3人が声を揃えて私に頭を下げる
「ちょっとどういう意味か説明してもらえます?」
アキヒト君に話を振ると
「こいつ等、元は男でアバターも男だったんすよ・・・だけど」
「うす・・・身内のノリで『誰が一番かわいい女子作れるか』って話になって」
「アバターの外見変更していざ対面って時になって・・・そのこっちの世界に転移して・・・」
「3人同じタイミングで同じ場所に転移したんです。でも・・・男に戻りてぇ・・・!」
なるほど。彼らの外見が妙に拘り深いのは納得
「外見変更は無理ですけど性別を男にするくらいなら・・・」
「え、できるんすか?」
「えぇ。『性転換の秘薬』を調合すれば性別を男にできますよ」
現在の性別を異性に変更する『性転換の秘薬』。飲めば男を女に、女を男に性別を変更できる薬だ。材料さえあれば私なら調合できる・・・が
「手元に材料は無いんで自力で材料を調達してもらう必要はありますけど」
アレ、性別を変えるだけで特に意味も無いし男になると魔女ってイメージが外れるからなぁ。・・・実を言うと現物は持ってるけど・・・マーシャさんやアカネ、ベッティちゃんなど女の子に囲まれて生活してるから迂闊に男になると肩身が狭いから女のままでいるけど
男に戻ったら、ベッティちゃんは兎も角、アカネやマーシャさん相手に理性が持つか怪しいし色々と・・・うん
そんなわけで、私が持ってる『性転換の秘薬』は倉庫の奥で眠ってもらっている。いつか男に性転換する日が来るかどうかは怪しいが、男に戻れるという気持ちが有れば、今のままでも特に問題はない
「材料っすか・・・」
「作製難易度と効果の割に材料が妙に面倒くさいのが多いんで、こっちの世界で手に入るかは怪しいですけどね」
そう言って私はレシピの材料をメモに書いて3人に渡す
「よし!材料が有れば男に戻れる!」
「希望が湧いて来たぁ!」
「材料集め、行くぞ!」
メモを受け取った3人はよっぽど男に戻りたいのか、メモを大事にインベントリ空間に収納して材料集めの旅に出てしまった・・・騒がしい3人だったな
【3か月後】
時期はすっかり冬になり、村では冬支度を済ませて税金の集計や村人の往診などで忙しくしていると・・・
「お久しぶりです」
「やっと材料が集まった・・・!」
「性転換の秘薬・・・調合オナシャス!!」
あの3人が戻ってきた・・・ホントに材料を探してきたのか
3人から受け取った材料を確認すると・・・うん。しっかり全部揃ってる
これなら調合可能だ・・・が、流石にタダで調合するのもできない。こっちも商売だ
「じゃ、手間賃貰いますよ。銀貨6枚です」
「妙に安い・・・いや、あざっす!」
何か勘違いしているような気もするが、手間賃の銀貨6枚を受け取って調合開始
この程度の調合で失敗する私では無いが、念のために生産強化の魔法やスキルを発動させて成功率100%の状態に持って行き調合開始
5分で調合成功。『性転換の秘薬』が完成した
「はい。ご注文の『性転換の秘薬』ですよ」
『おぉ~~~・・・・お?』
私がカウンターに秘薬を置くと、3人が駆け寄り困惑顔
「あの・・・なんで1本しかないんすか?」
「渡された材料が『1人分』なので1本しかできませんよ」
私がそういうと3人がそれぞれ絶望顔を披露。
あのレシピにはちゃんと「1人分」って書いてあったじゃん・・・ちゃんと読んでなかったな?
「誰が飲むかはキチンと話し合ってくださいね」
これ以上は私が干渉する事じゃ無いし
「タカオ・・・ナスハラ・・・」
「フジタ」「フジタ君・・・」
「お前らの分まで男を謳歌するからな!」
「ふっざけんな!俺が男に戻るわ!」
「バッカ野郎!男になりたいのは全員同じだコラ!!」
そう言って3人が掴み合いの喧嘩になってしまった・・・。
いや、店の中で喧嘩するな。外でやれ
≪性転換の秘薬≫
種別:消耗品
希少度:☆☆☆(伝承級)
服用すれば文字通り異性へと性別を変更する魔法薬の1種。
男が飲めば性別を女に。女が飲めば性別を男に変更できる。
そして外見は面影を残してそれぞれの性別らしい姿になる(体格は男女それぞれで変化する)
ただし転移後の世界においてこの秘薬で性別を変更できるのは人生で1回までであり、2度目の服用による性別変更は無効となる
作製難度はあまり難しくないが材料集めがものすごく手間がかかる上に材料が貴重なため、一般には出回らない貴重な秘薬