第155話
【エリシア視点】
琥珀の軍勢を維持しながら防戦していると、敵後方で激しい爆発が見えた。
多分マーシャさんが単独潜入して暴れたのか。無茶するなぁ・・・
「≪魔法範囲化≫≪小人化の呪い≫」
ゴーレムを盾に魔法を撃つ人造人間の一団へ向けて強制的に小人へ変身させる魔法を行使。
小人にされれば魔法の威力が下がるんだけど・・・
『≪魔法終了≫』
複数人の人造人間達が≪魔法終了≫を発動させて小人化を解除された。この程度のデバフは解除されるか・・・仕方ない次の魔法だ
「≪魔法範囲化≫≪変身の呪い:小動物≫!」
『!!』
私の呪いで魔法その物が詠唱できない小動物に変えられた人造人間達は慌てふためいたのか逃げ散っていく。
よし、上級魔女レベルの呪いなら負担は大きいけど追い返す事は出来る・・・けどこの呪いは対生物用だから黒曜石の従僕には効果が無い。
が、対無機物なら遠慮せずに破壊力のある魔法で対抗すればいい
「≪5倍魔法威力強化≫≪釘打ち呪い≫!」
私の手もとにデカイ釘とハンマー、そしてボロボロの人形が出現し、人形にハンマーで釘を叩きつけてやれば対象に選んだ黒曜石の従僕は粉々に砕け散る。
「『≪点火≫≪爆破突進≫ッ!」』
スタミナが回復したリッシュさんも突進スキルで前線に戻ってくれた。
よし、この調子なら儀式完了まで余裕で耐えられる・・・と思っていたら
『!僕の天使から報告です敵の増援みたいです!』
増援ーッ!?まだ増えるの!?
『敵後方に転移系魔法の発動を確認しました。数は・・・50!?』
「敵の詳細は?」
『全てゴーレムです。アレは・・・全部真金の従者!?』
マジか・・・滅茶苦茶面倒くさいのが出てきた!
オリハルコンで作られたゴーレム、その強さは一般的な鉄や石材とは比較にならない。
まず、オリハルコンの特性として『魔法が効かない』。
オリハルコンは黄金と同レベルに魔法親和性が高い金属であり、それでいて外部からの魔法を受け流せる性質を持っている。
電気に対するアースのような性質を持っているので、あらゆる攻撃魔法や弱体化魔法を受け流してしまって効果を受け付けないため、物理的な攻撃でないと破壊できないし、オリハルコン自体がとんでもなく硬い。
その代わり超が付くほど希少金属で、加工難易度も高難易度で扱えるクラスはかなり限られる。
エルドラド・クロニクルでは上澄みのプレイヤーが決戦装備に選ぶ素材を50体のゴーレムにするとはどんだけ懐事情が暖かいんだ向こうは!羨ましいを通り越してなんか腹が立ってきた
「エリシアさん!」
アキヒト君もスタミナが切れたのか後方に戻ってきた
「流石にずっと武具精霊の実体化維持させるのキツイっすね・・・スタミナとMPも・・・残量キツイっす」
アキヒト君の息も絶え絶えだが、ここまで一番敵を押し返してたのは彼だ。
むしろここまでよく頑張ってくれた
「リッシュさんが前に出たのでしばらく休んでてください。
人造人間とドワーフが後ろに下がったので私も範囲攻撃魔法で押し返します」
目につく人造人間やドワーフは変身魔法で追い返したり無力化したので、目につく敵の残りはゴーレムばかり。
ゴーレム相手なら私の心は特に何の負い目も無く破壊力のある魔法で叩き壊せる
「≪無邪気な好奇心≫≪微笑む理不尽≫」
魔女系クラスの自己強化スキルを起動させ、呪いの殺傷効果を高めて魔法を行使。コレを使うとせっかく覚えた手加減用の制御ができず、全力発動しかできないからあんまり使わなかったが・・・ゴーレム相手なら関係ない。
「≪5倍魔法威力強化≫≪黒魔術砲≫ッ!!」
上級魔女が習得できる直線上に居る全てを薙ぎ払う広範囲ビーム攻撃。
あ、ちゃんとリッシュさんが居ない方向に放ったので巻き込んでないよ。
私の放った≪黒魔術砲≫で直線状に居た前衛のゴーレムは跡形も無く消滅し、ついでに後ろにあった攻城兵器もドワーフ達や人造人間達も吹き飛ばした。・・・ちょっと射程距離を見誤ったが・・・まぁこれも戦いなので、仕方ない。事故だと自分の心に言い聞かせておく。
「エリシア。最初からそれ使えば良かったのに」
「あんまり人殺しとかしたくないんです。今の状態は手加減できませんし」
甘いのは分ってるが、こればっかりはどうにもできない。
だからと言って慣れたくも無いが・・・今は考えないようにしないと
戦いが終わったら時間を作って魔法を不殺傷化させるスキルか魔法を開発しよう・・・イチイチ手加減するより楽だし、攻撃魔法縛った状態で今後もこんな戦いやってたらいつか死ぬのは理性で理解してる。
物理攻撃で≪峰打ち≫が有るんだし、なんかいい感じの魔法かスキルを開発すれば、遠慮なく攻撃魔法で無力化できる。・・・うん。最優先で開発しよう。
「エリシアッ!」
前方からマーシャさんが飛び出してきた
「増援が来たけど何とか逃げ切れたわ。おかげで矢は使い切っちゃったけど」
そう言ってこっちに来た・・・ので
「≪抹殺の呪い≫」
初手で即死魔法を行使した
≪微笑む理不尽≫
種別:自己強化スキル
制限:魔女専用
属性:強化
射程:自身
魔女が習得できる自己強化スキル。
発動中は一定時間自身の呪い属性の効力が高まり、呪い攻撃による耐性や魔法抵抗の減少効果を高める。
魔女の微笑みは慈愛ではなく好奇心か嗜虐心、もしくは一方的な偏愛。
微笑みながら”理不尽”を突き付ける者こそ”魔女”なのだ




