第152話
みんなぁ―――!オラに感想分けてくれぇ―ッ!
あとできれば高評価とか色々やってくれるともっと嬉しぃ―――ッ!(強欲
「50分ってそんな長い時間この数を抑えきれるワケ無いでしょ!」
「なら、こっちも頭数を出すまでですよ!」
バイクから降りてインベントリ空間から陶器の壺を複数出し、魔法の詠唱に入る
「リッシュさん!20秒お願いします!」
「了解。カバーする」
素早く私の前にリッシュさんが来て接近する敵に対して薙ぎ払いや炎の壁による足止めをしてくれた。今の内に詠唱し魔法が発動。
「≪5倍連続魔法≫≪粉塵の軍勢≫」
壺の蓋が内側から外れ、壺の中から次々と人のシルエットを象った人形が這い出て軍勢として整列。
流石にこんな数を制御しきれない・・・が
「突撃!」
単純な突撃指示程度はできる!
私の突撃の指示に従って粉塵の軍勢が次々に敵軍に殴り掛かり、粉塵の人形が殴った衝撃で爆散したり殴られた衝撃で爆散して舞い散る
「弱ァ!?」
マーシャさんの指摘通り、自分の攻撃で自滅するレベルにこの軍勢は弱い。
実際コレは「粉末を人形として操るだけ」の魔法だし、戦闘能力は皆無だ。
だけど、コレは『粉末なら何でも人形にして操れる』という特性がある。
私が操ったのは量産した火薬の人形たちだ!
「リッシュさん!」
「『≪飛炎刃≫ッ!!」』
火薬人形に纏わりつかれた軍勢がリッシュさんの飛ぶ火炎の斬撃を浴びて、火薬に着火し大爆発。
「なんか最近アタシ達って回を重ねるごとに爆破の手際が良くなってるわね」
そんなマーシャさんのコメントを他所に、いきなりの大爆発で敵側が混乱したその隙にインベントリから新しく材料の入った壺を出して次の軍勢型魔法を行使して軍団を作成
「≪5倍連続魔法≫≪琥珀の軍勢≫ッ!」
こっちが軍団として本命。
魔法薬で処理した樹脂と樹液を琥珀化させた琥珀で出来た魔法の軍団。
自分も魔法を使うことを考えて、数は50体くらいしか同時に操れないが前衛で足止めするなら十分な数なはずだ!
内訳は盾持ちの剣士20、長槍兵20、残り10は私の魔法を行使し、軍団操作を補助する魔法兵だ。コレが1人減ると剣士と槍兵のどっちかが2~3体くらい動作に支障が出るので後衛だ
「ファランクス!」
私の指示でファランクスを組む剣士と槍兵。
流石に連続で軍勢型の魔法を行使して結構ヘトヘトなので防御姿勢で近寄らないように威嚇しながら回復に集中してると
『≪魔法形状貫通化≫≪雷撃の矢≫』
人造人間達の手からファランクスを組んだ琥珀の軍勢へ向けて複数方向から電撃の魔法が飛んで来た。
回避も防御も難しい電撃系の魔法は貫通効果を与えれば確かに致命的な効果を持つ・・・が
『!?』
相手が悪い。琥珀の軍勢は電撃を盾で受け止め、全く効果を受けない。
「樹脂は電気を通さない絶縁体ですよ」
全く無傷ではないが、電撃系の魔法は地属性の相手には効果はイマイチだ。
地属性系に属する私の植物魔法は草花なら電熱などの影響で電撃を防ぐのは難しいが樹木であれば電撃に対して高い耐性を発揮する。
ジャイアントセコイアという巨大な樹木は落雷を利用して森林火災を発生させ、周囲の競合植物を焼き尽くすという生態がある。
しかしジャイアントセコイア自体は樹皮の内側に樹脂の防御層を持つことで電を防御でき、巨大でありながら落雷に耐えることができるのだ。
その理屈を魔法的に都合よく解釈させて適応させた結果、≪琥珀の軍勢≫も地属性故に電撃には耐性があり樹脂とはいえ燃えにくく、無機物なので冷気攻撃や精神攻撃も効かない。
高火力の炎で焼き払うか、物理的に殴って壊すしか突破不可能な防御兵団が展開できるようになった
「『≪熱伝導≫ッ」』
リッシュさんが黒曜石の従僕を柄で叩くと、赤熱した印が焼き付きじわじわと黒曜石の従僕が赤熱。熱膨張を起こして砕け散った!
「そろそろスタミナが切れた・・・ちょっと休む」
「はい。軍団の後ろで回復してください」
リッシュさんも琥珀の軍勢の後ろに一時後退し、スタミナ回復に集中
アキヒト君は・・・
「≪竜巻≫ッ!」
敵軍団を正面から竜巻で吹き飛ばし、風属性系の効果で吹き飛ばした隙にちょいちょい回復を入れてるな。あの調子ならまだ余裕はありそう
「≪上位天使召喚:裁断の智天使≫!」
後方のカイさんが上位の天使、智天使を召喚したか。
空から黄色く輝く魔法陣と両開きの扉が出現し、扉が開くと黄色く輝く炎が剣の形になった物も持った6翼3対の全身鎧で身を固めた天使が1体出現した
『ハァーッ!!』
智天使の炎が降り降ろされるとその直線状を電撃と炎が迸り、火柱が連続して上がる。
そして、エルフの里の防壁の内側から次々と中位~下位レベルの天使が飛翔して上空から光の矢を浴びせかける。
しばらく攻め手は彼らに任せて大丈夫そうだな。
マーシャさんは・・・あれ?姿が見えない・・・。
おそらく逃げたわけじゃないだろうけど・・・
後ろで息を整えるリッシュさんにスタミナ回復速度向上の魔法薬をパスして私もMPを急速回復させるスキル、≪瞑想≫を発動させて自然回復させる。
このスキルは魔法が使用できない代わりに回復速度を大幅に向上させるので、長丁場でゴーレムに前線を任せるならポーションに頼るよりこっちが良いと判断。
しかし≪瞑想≫中に琥珀の軍勢の一部が吹き飛んだ。
原因は巨大な槍・・・いや、コレはバリスタ砲のボルトか!後方の攻城兵器をこっちに向けて来たのか!
よく見ると敵の配置も変えられてる。ゴーレムを前線に押し出し、ドワーフは後方に下がって攻城兵器の運用、中衛は人造人間の軍団と言った形になってる
だが、こっちも琥珀の軍勢の恐ろしさはここからが本番だ。
『≪樹脂抽出≫≪琥珀の軍勢≫』
『≪樹脂抽出≫≪琥珀の軍勢≫』
吹き飛ばされて砕かれた琥珀を材料に、琥珀魔法兵が周辺の樹木から樹液や樹脂を魔法で採取し、前衛に出す琥珀の軍勢を随時補充。
魔法兵には予め魔法付与による「核」を埋め込んでおり、自立思考して私の魔法を一部使用できるので、私の指示で私のMPを消費して兵士を補充できるのだ
しかし・・・マーシャさんどこ行ったんだ?
≪琥珀の軍勢≫
種別:生産魔法/エリシアオリジナル
制限:≪琥珀作成≫魔法の習得
属性:地属性
形状:作成した兵士による
樹脂と樹液から造った琥珀を材料に『ゴーレム兵』を作って操る魔法。
ゴーレム兵はそれぞれ用途に沿った形状で生成され、エリシアの意思と指示に従って戦う。
攻防のバランスに優れた「剣士」。攻撃力の高い「槍兵」。射程が長い「弓兵」。術者が習得してる中で一定レベル以下の魔法を模倣できる「魔法兵」。透明樹脂で隠密行動ができる「伏兵」の5種類を使い分けることができるが、エリシア自身が多数のゴーレムを同時操作できる能力が無いので魔法兵の補助無しだと10体程度しかコントロールできない。
魔法兵もエンチャントで「核」を用意しないと運用できないなど、色々と制約や制限は多いが鋭意改良中