第120話
さて、ボールを奪い取ったはいいが、このスポーツのキモはワンマンで勝てるほど甘い物じゃない。
なにせ「暴力アリ」のこのゲーム、ボールを持ってるヤツは回避は出来ても殴り返したりといった反撃は許されない。
なにせ「ボールを持った人間以外を攻撃したら反則」になる。
ボールを持たないヤツは持ってるヤツを殴ってもセーフだが、いま私がボールを持ってる状態だと、最悪取り囲まれて殴りたい放題だ。
なのでパス回しはこのスポーツにおいて基本であり必勝策でもある。
殴られる直前でパスしてボールを手放せば、殴ったヤツが反則になる。
「≪背面移動≫!」
真横から奪い取ろうと殴り掛かる第2チームメンバーを横目で確認し、その背後へ高速移動して元居た場所には自動発動スキルによる残像を置いておく。
「あり!?」
呆けてる隙に探知スキルで全員の位置を把握し、パスコースが開いてるメンバーへパスを回す
「よし!いくぜぇーッ!」
パスを受け取った2番のゼッケンを着けたビズ(第1チームのメンバー)が意気揚々と上がっていく。
エリシアは・・・魔法は使ってないか。杖無しだと移動しながらの魔法行使はできないのは分かってたが、おそらく殴り合いで乱戦になると対象指定でも誤射する危険性があるのが分かってるから、移動しながら様子見しているのね
「よし!ゴールだぁー!」「甘いですよ」
ビズが投げたボールは空中で見えない壁に阻まれて明後日の方向へはじき返された
「えぇー!?」
「ルーンで作った簡単な結界ですよ。投擲以外はゴールと認められないなら、投射物に限定した防御結界くらい道具無しで作れますから」
ゴール前にはレーシアがゴールキーパーとして陣取って、結界を張っていた。
よく見ればコートの地面にルーンがチョークで書かれてる・・・
魔法禁止にしとけばよかった・・・!
「流石に攻撃魔法は使いませんよ。加減を間違えたら死人が出そうなので」
「でも、チョークで書いたその結界、見たところ大した防御力は無さそうね」
「えぇ。ですが・・・試合時間中に破れますか?」
やったろうじゃない
結界に弾かれたボールは第2チームの5番が拾って全力で私たちのゴールの方へ投げた!
「おいしょ!」
相手チームの3番が片手でキャッチし、そのまま突っ込んでいく!
エリシアは・・・あまりコート中央からは動かないか。彼女もボールを持って攻めるより魔法による妨害を主軸に動くつもりらしい
「≪ラリアット≫ォ!」「ゲバ―ッ!?」
「ナイス!」
攻めかかる相手の3番をこっちのゼッケン5番、ヴィンス(自警団メンバー元傭兵)がラリアットで殴り倒してボールを強奪。
「≪中位傷病治癒≫」
エリシアがすかさず殴り倒された選手を治癒魔法で回復させ、戦線復帰させる。
「スキルで殴るの危なくないです・・・?」
「中世っぽい世界でそう言うコト気にしてたらキリ無いわよ」
ヴィンスからパスを受け取り、再び逆襲
「≪パララ_「≪残像群≫!」_!?」
エリシアが≪麻痺≫で私を攻撃しようとしたので即座に複数の別方向へ移動する残像を出現させてかく乱。
本体を見失ったエリシアの脇を通り過ぎてゴールへと向かう
「≪暗殺の極意:射≫」
投擲、射撃を強化するスキルを起動させて全力でボールをゴールへ叩きつける!
「ッ!」
慌ててレーシアも結界にルーンをつけ足して結界を補強し、ボールは結界にヒビを入れた状態で止まった。
能動発動スキル無しだと結界にヒビが入るのが精いっぱいか!
ならダメ押しでもう1発!
「≪全力攻撃≫!」
亀裂の入った結界に張り付いたボールを殴りつけて追撃することで、強引に結界を叩き割り、ボールをゴールへと叩き込んだ
「第1チーム、加点!」
ホイッスルの音と共にペロリがゴールインの判定を下す
「諦めないで!1点くらい取り返せます!」
「この調子で2点目いくわよ!」
その後、スキルや魔法が入り乱れた一進一退の試合が続き・・・
「試合終了!」
ペロリのホイッスルの音と共に、試合終了の時間となった。
「第1チーム9点。第2チーム6点。
第1試合は第1チームの勝利!」
何とか3点差までつけて試合が終わった。
しかし、こっちは時間経過と共にボロボロだが、エリシア達は回復魔法や支援魔法で余力を残した状態で次の試合に臨める状態にしてる。・・・コレは後半まで気を抜けないわね。
「第2試合。第3チームVS第4チーム!」
私達がコートから出ると入れ替わりでアキヒトのチームとリッシュのチームが入場。
その隙にマイコニド達に頼んで神官を呼んでもらい、回復に当てる。
今回ばっかりはマイコニド軍団を試合から切り離してて良かった。
基本的にマイコニド軍団はエリシアの命令を優先するから、ガチでの勝負になると後が面倒になるのよね・・・
真菌の神官の治癒魔法を受けてると、ホイッスルの音。
「第4チーム!反則!」
反則ゥ!?誰かうっかり反則でも犯したか?と気になって様子を見ると
『ナンデじゃー!妾も参加したい!』
ゴール前にリッシュの大剣が突き刺さって、熱狂姫が実体化状態で駄々こねてた・・・
「リッシュさん困りますよ。武器持ち込みはルール違反です」
「だって、熱狂姫がどうしてもって言うから」
「ダメです。熱狂姫は退場」
『そんなーッ!!』
駄々をこねる熱狂姫を無視して、ネズミの副審達が十数匹がかりでリッシュの大剣を引っ張り抜いて、コートの外へ退場させた。
大剣に憑いている熱狂姫も大剣がコートの外へ出されれば、引っ張られるようにコートの外へと移動
何やってんだか・・・
≪詠唱短縮≫
種別:自動発動スキル
制限:魔法使い系全般
射程:自身
魔法の詠唱時間を短く済ますことが出来る自動発動スキル。
各魔法系統ごとにⅠ~Ⅴの段階が存在し、段階が上がるごとに魔法の詠唱時間を短くできる。
全ての魔法使い系クラスは詠唱時間は隙が大きい欠点であるため、エルドラド・クロニクルでは高いランクの習得を推奨している。




