第119話
【マーシャ視点】
ドッペルゲンガー魔剣討伐作戦から1週間後。
今日も私はいつも通り、自警団の訓練を監督している。
「次ィ!3班!」
「うす!」「やったらぁー!」
「今日は鹿鍋じゃーッ!」
レベリングを兼ねてのモンスター討伐。
レベル10くらいと計測されている鹿型魔獣を班ごとに分けて討伐させている。
当然、囲いなんて無いし拘束などの弱体化なんて甘えた事はしてない。
標的を逃がしたり、班員が気絶したりすれば私が介入し、ヘマやらかした班には追加メニューがあるため、全員真面目にやってる。
最初のころは1桁レベルの魔獣でも手間取ったり逃がしたり、素人上がりなら吹っ飛ばされて大怪我したりした奴もいた。(そのたびに真菌の神官借りて治療して追加メニューだ)
だが、今となってはチームワークも慣れて、レベリングは順調に進んでる。
成長速度が変に遅いが、エリシアの弟子ベッティは「深知の祝福」とか言う祝福を持ってるから、異常な成長速度を持ってると考えれば、1年で3~4人がかりでLv10程度の魔獣を安定して狩れるほど成長したと考えれば、コレが普通の成長速度なんだろう
一応、「成長加速」の魔法薬は事前に飲ませているがどうにもLv10近くになると極端に成長が遅くなってる。
一応、私が定期的に看破して、習得してるクラスごとに役職や配置を決定してるから、班ごとのパワーバランスは安定してるし、全員の実力もそこら辺のチンピラ程度なら武器持ってれば制圧可能だと思う。
「はい。訓練はここまで。通常業務に戻るわよー」
『うーっす』
しかも通常業務の見回りとかもあるから、1班週1ぐらいの間隔しか限界まで追い込めない。
「どうしたもんかしらね」
深部まで遠征すると結構な成長が出来そうだけど、時間もコストもかかるし、近場じゃ大したこと無いヤツしか出てこないから、旨味も薄い
しかも、討伐に慣れ過ぎてる気もする。
似たような種類の魔獣やモンスターしか狩ってないから、狩り方が効率良くなってるけど、慣れきってしまったらそれはそれで動きが悪くなったり、慢心の原因になる。
「ん~。なんか適当な刺激が欲しいわね」
私が保有してる「混沌属性」。
それは停滞を嫌い刺激と動乱を求める性。
ゲーム的には「盗賊」や「斥候」みたいなならず者気質なクラスを習得するクエスト条件を得られる属性、ただそれだけの価値だったのだが、こっちの世界だとどうにも私の心の「退屈」さを突いてくる。
とりあえず、博打や飲み比べとかの程度が低い競い合いでの刺激で抑制できたのは確認できたし、訓練ついでに何か良い物が無いか、エリシアのとこに行くと・・・
「・・・なにしてんの?」
「あぁ、マーシャさん。最近≪樹脂生成≫の魔法ができるようになったんで、色々実験してたんですよ」
エリシアの裏庭には琥珀の屑石とか、なんかベタベタする液体が溜められたバケツ、やたらと臭い匂いを放つ樹液、それと・・・
「これは・・・ゴムのボール?」
「天然ゴムはゴムの樹の樹脂から作れますからね。ゴムボールがあれば子供のおもちゃにできるかなって」
ゴムのボールか・・・よし
「エリシア。悪いけど、ちょっと頑丈なボール作ってくれる?」
「? 良いですけど」
エリシアに頼んで、ゴム毬に革を縫い付けて作ったボールと松脂を用意してもらい、次のレクリエーションが決定した
「第1回!ゲイリーウッズ大球技大会ィーーーッ!」
アカネに頼んで色々と広報してもらって数日後、球技大会の開催を宣言した。
こっちの世界にも球技があったので、この国でメジャーな球技で競い合ってもらう。
球技は「パリティコ」と呼ばれるハンドボールに似たゲーム。
6対6のチームで両手を使ってボールを抱えて走り、敵陣地のゴールへと投げ込めば、チームに得点が入るというシンプルなゲーム。
ボールを奪う手段は「武器を使わなければなんでもあり」だ。そう、ボールを奪取するためなら蹴ろうが殴ろうが服を掴んで投げ飛ばそうが、何でも良いのだ。
何ともスポーツマンシップなんて概念すら無い暴力的なゲームだが、ボールを持ってないヤツを攻撃したら反則という最低限なルールが有るので、殴られたくなければパスを回せばいい話だ。
って訳で、今回は総当たり戦で総合得点が一番多かったチームが優勝とすることにした。
そして1チームにはエルドラドプレイヤーが最低でも1名参加する。
第1チームは私
第2チームはエリシア&レーシア(体力、スピードに劣る魔法使いなのでハンデとして2名)
第3チームはアキヒト
第4チームはリッシュ
ペロリは審判役を頼んでいる。中立属性でしかも多角的に副審としてクリーチャーを呼び出せるからなのと、高速移動できる私達を目で捉えられるのはプレイヤーしかいないからだ。
そして、審判であるペロリ以外のプレイヤーには能力を制限させる魔法の品を作成し、身につけてもらう。
手加減の負担を減らすのと、流石に、プレイヤー同士のワンマンではゲームとして面白くないからだ。
(ちなみに能力を制限するタイプのアイテムはかなり簡単に作れたので、私の小遣いから捻出した)
第1試合は第1チームVS第2チーム
笛の音と共にボールが天高く投げられ、こっちのメンバーが最初にボールをとった!
「よし!最初は_「≪魅了の目≫!」_ちょ!エリシアソレアリ!?」
初手からエリシアが行使した魅了の魔法でメンバーが魅了され、ボールをとられた!
「武器を使って攻撃は反則ですけど「弱体化魔法」は禁止されてないので。杖も今回は持って無いですよ」
そうだったコイツ杖無しでもある程度は魔法使えるんだった!
「ヘイパス!」「はい!」
エリシアがパスを回すがこっちだって訓練で周りのメンバーは互角!すぐに奪い返す!
「≪スライディングキック≫!」「ウワーッ!?」
パスを受け取った相手チームの1人をスライディングで足を蹴り、ボールを奪い取る!現代日本なら1発退場のラフプレーだが、地球のサッカーと違ってこの行為は反則ではない。
一応怪我や再起不能にさせないように自意識的に威力を制限してるので、怪我はしてないはずだ。
「ちょっと楽しくなって来たわね・・・!」
≪パリティコ≫
種別:球技
人数:6対6のチーム戦
イデア王国では広く知られている現代では反則とされる暴力行為が容認されたハンドボールに近い球技。
球を地面でドリブルしたりする必要は無く、ゴールを決めるときは投擲のみ、武器の持ち込み禁止、球を持っていない選手への攻撃と妨害行為は禁止というシンプルなルール。
ルールが覚えやすいため、下級から中流階級まで広く親しまれており、怪我人が出るのは当たり前な危ないスポーツ




