第117話
≪強制自爆≫によって私の足元のネズミが爆発。
爆風によって私は大きく吹っ飛び、瓦礫に埋もれた・・・ダメージは受けたが、とっさに発動させた新開発の防御魔法で致命傷はなんとか防げた。
「≪琥珀の鎧≫・・・実戦で使うのはこれが初めてだったけど上手くいって良かった・・・」
私が数か月かけて≪樹皮の鎧≫をベースにこっちの世界で研究開発したオリジナル防御魔法。
まず≪樹皮の鎧≫を発動させ、任意のタイミングでその上に樹皮から樹脂や樹液を分泌させて防御膜を形成、そしてその表面を琥珀化させることで複合装甲を全身に覆うことができる。
琥珀化で硬化した装甲で直撃を防ぎ、衝撃は中間層の樹脂装甲で和らげることで、受けるダメージは大幅に軽減される。
本当は味方前衛用の防御支援魔法として開発したのだが、とある欠点が発覚し一瞬の使用しか使えないが、とっさでも防御力を発揮できてよかった・・・
「≪琥珀の鎧≫解除」
琥珀化を解除し、身動きができるようになった。
そう、この≪琥珀の鎧≫。従来の≪樹皮の鎧≫とは比べ物にならない防御性能を持つが、欠点として全身を樹脂と琥珀で覆ってしまうから、身体が固定されて身動きができない。
今後は全身を覆っても動かせるように改良する予定だ。
瓦礫の下とはいえ、私のステータスなら押しつぶされることは無い・・・が、このままだと追撃を受ける
「≪植物召喚:魔界植物ベシトラス≫!」
とりあえず召喚魔法で戦闘用の植物を召喚。
魔界植物ベシトラス。牙が生えた口を持つ真っ赤なラフレシアのような花が特徴の猛毒を持つ大型の食獣植物で、知性は無いが近くにいる生物を検知したら猛毒を持つ棘が生えた蔓で叩きつけて絞め殺し、養分にする凶暴な植物。
私の制御下にあるので味方に襲い掛かる事は無い・・・と思う。
「ギェェェエエエ!!」
ない・・・よね?とにかく信じるしかない。
私を覆う瓦礫の山を吹き飛ばし、高さ5mほどもある巨大な茎から花が咲き、花の中央にある牙の生えた口からはドロドロと唾液のような蜜が垂れる。
・・・コレホントに植物か?まぁとにかく、コイツに暴れてもらっている間にポーションで回復に入る
ベシトラスは真っ黒な猛毒を蓄えた棘が並ぶ無数の蔓を滅茶苦茶に振り回しながら複製体へ襲い掛かっていく。
『≪火炎のルーン≫!』
『≪炸裂火球≫!』
新たに出現した私達の複製体が暴れ回るベシトラスへ弱点である火属性魔法攻撃を次々と撃ち込んでくる。
だが、その隙に離脱と回復はできた!
「戻ってベシトラス!」
「ギィォォオオ・・・」
ポーションで8割がた回復できたのでベシトラスの召喚を解除し、ベシトラスは姿を消した。
そして、合流して戦いながらの作戦会議
「あの剣どうにかしねーとジリ貧だな・・・!」
「奪い取ろうにも、アレ完全に呪いのアイテムだから触りたくないのよね、絶対なんか仕掛けられてる」
「武器破壊できるスキルとか、エルドラド・クロニクルじゃ実装されてないっすよ」
「攻撃で耐久値削るしかない?」
「一応、装備されてなくて至近距離なら≪魔法効果破壊≫で壊せなくは無いですけど・・・」
「封印系魔法で封じ込めてから、それ狙ってみるか」
封印魔法か・・・使えなくはないが封印系得意なのは僧侶系とかなんだよなぁ。
今居る魔法使いの系統は、風系魔術師と占い師系統、魔女系統の3種。
封印魔法のランクは高が知れてる・・・が、やってみるか
「まずは装備から引き剥がすとこね・・・無難に手首でも切り落とせばいいかしら」
「籠手狙いか。まぁ、できなくはねーな」
「腕ごと切り落とす」
方針は決まった。とりあえずあの武器を無力化しないと際限無く複製体が出て来て面倒だ。
また自爆特攻されたらたまった物じゃない
「≪縮地≫≪唐竹割り≫!」
トールさんが高速移動スキルで瞬時に魔剣へと詰め寄り、大上段からの振り降ろし!
これを魔剣は両手で受け止めつつ何とか受け流し、そこへリッシュさんが炎を剣に纏わせて突っ込んでいく!
「≪点火≫≪爆撃≫!」
僅かに間合いを外し、炎を纏った大剣を地面に叩きつけて魔剣を持った複製体の足元で爆破を巻き起こす!
至近距離で指向性を持った爆破を受け、魔剣を持った複製体が大きく仰け反った!
『≪影断ち≫』
そこへ隠れていたマーシャさんの複製体が、連携を崩そうと追撃に出たマーシャさんの背後から強襲し、ダガーを振り降ろす!
「≪残像交代≫」
だが、マーシャさんは残像と位置を入れ替えるスキルで残像と入れ替わり、強襲してきた複製体の背後を取った!
「2度も同じヘマしないわよ」
使い捨ての投擲用ダガーを強襲してきた複製体へ突き刺し、そのまま足を払って魔剣を持った複製体へと投げ飛ばした!
「≪起爆短剣≫!」
その後、時間差で短剣が爆発。投げ技に巻き込まれ、至近距離からの爆発で魔剣を持った複製体がダウン
「ここだァ!」
そこへトールさんが一気に踏み込み、太刀で魔剣を持った複製体の手首を切り落とした!
「≪凍結のルーン≫!」
切り落とされた複製体の手ごと、レーシアさんが氷で魔剣を覆い、氷の箱で触れないように封印。
砕かれる前に私も封印に加わる。
「≪琥珀封印≫!」
魔法で召喚した樹脂と樹液を浴びせ、瞬時に琥珀化させることで琥珀の中身を完全封印する魔法を行使。
これで、魔剣は誰にも触れることはできない
魔剣は意志を持っていたのか、しばらくの間何かしらのスキルか魔法を使用する素振りを見せたが、封印を施した琥珀の中では何も発動することはできない。
しばらくして、ようやく諦めたのか大人しくなり、魔剣が出現させた複製体は塵となって消えた・・・
≪琥珀の鎧≫
種別:防御魔法/オリジナル
制限:≪樹皮の鎧≫習得が前提
属性:地/防御
射程:視界
形状:対象指定
エリシアが研究して習得した≪樹皮の鎧≫から樹液と樹脂の混合物を全身に覆い、硬化させるオリジナル魔法。
防御力は≪樹皮の鎧≫とは比較にならないほど向上し、表層の装甲が砕かれても内部は生ゴムのような樹脂と樹液の防御層で守られているため、衝撃にも強く、内部の樹脂や樹液が即座に琥珀層の亀裂を修復、復元するため非常に堅牢。
欠点は全身を硬化させた琥珀で覆っているため、発動中は身動きができないこと。




