第114話
保護した子供たちだが、多少痩せていたが栄養失調などの深刻な症状は検査した限りでは見られなかった。
長距離移動の筋肉痛や多少の擦過傷などは見られたが、おおむね健康体で良かった。
さて、ペロリさんは夕食前に様子を見たら意識を取り戻していたので、プレイヤーで集まって夕食のポトフを皆で食べる
「本当に・・・みんなも来てたんだ」
「まぁ不本意って言うか、気づいたらって感じだけどね」
「ん。合流できてよかった」
ペロリさんとは初対面であるアキヒト君やレーシアさんも紹介し、食べ始める。
こうして見ると村に集まってるの、私とアキヒト君以外(中身は)女性メンバーばっかりだな、他の男性メンバーは村の外だし・・・
・・・いや、気にしないでおこう。とりあえずは無事が何よりだ
「それで、ペロリ。アンタが戦ったっていう怪物は・・・どうなったの?」
「・・・あの怪物、全員が「分身体」だった。本体は見えなかったし、分身体は私の「複製体」まで創造する能力があった」
「複製体・・・ペロリさんのコピーまで造れるんですか!?」
「姿だけじゃない、私が使った魔法や任意発動スキルまで再現するほどの完成度。顔だけは両目が空洞みたいに無かったから見分けはすぐにつくけど、その分相手の能力をコピーする事に特化した・・・そんな印象」
ペロリさんは物量攻撃を得意とする召喚士。
その複製ができる相手となれば、数のアドバンテージが取れずにボロボロになったのは納得だ。
恐らくだが、切り抜けられたのは自爆特攻という切り札のおかげだったんだろう。
召喚した生物を自爆させるという発想は、こっちの世界では考えが及ばない物だ、負傷させた油断をついて《一斉自爆》でまとめて一掃した。というのがペロリさんの勝ち筋だったそうだ。無茶をする。
《一斉自爆》は召喚したクリーチャーを起点に、爆弾として全て爆破する範囲攻撃魔法だ。
効果は強力だが、失敗すればせっかく呼び出したクリーチャー全てが消滅するリスクを背負う危険な魔法。私には真似できない。
「つまり・・・本体はまだどこかに居るって事ね、それもそう遠くない場所」
「そうかもしれない」
「隠密偵察もマーシャひとりだと限界がある。マイコニド軍団での偵察チームの派遣を提案」
「隠蔽魔法と逆探知対策をして、魔法の探知範囲を広げて調べる必要もありますね。レーシアさん」
「えぇ。任せてください」
「俺も、戦闘は手伝うっすよ。範囲攻撃ですぐ蹴散らしてやりますって」
「強さも確認してないのよ。Lv100を行動不能にできる複製体に油断は出来ないし、ここはサクッと超遠距離からの狙撃で暗殺が確実よ」
「マーシャさん好きですよね、暗殺」
「あら。爆殺も好きよ。ペロリの魔法って潜入破壊に便利だからよく組んでたし」
「どっちも趣味悪いっすよ・・・」
言えてる
ペロリさんは数日ほど様子を見ながら養生してもらう。
その間に私達は、お礼参りの準備だ。
理由はどうであれ、私達の仲間に手を出したからには、ボコっておかなければ気が済まない。・・・他力本願だが、マーシャさんが一番乗り気だった。ペロリさんとはゲーム内でも結構仲が良かったし、召喚士は本人が出張ることが少ないから守りを気にせず戦えるため、組みやすいそうだ。
さて、ベッドの上に居るペロリさんだが、弱っても召喚士と言わんばかりに身の回りのことを世話するクリーチャーを魔法で呼び出す。
「≪兎召喚:餅つき兎≫」
召喚されたのは臼と杵を持った2体1組の直立二足歩行する兎ペア。
たしか、料理を代理で行ってくれる便利系召喚クリーチャーだったっけ
私が育てた薬草を食材として渡すと、臼に入れてペタペタ餅つきを始める。
そしてつき終わったお餅が完成すると、効果付きの料理としてもらえる。
【薬草餅】
レア度:☆☆
種別:料理
効果:食事後60分間効果持続、体力上限40%アップ、スタミナ上限30%アップ、魔力上限30%アップ、全ゲージ回復速度20%アップ
よし、いい結果が引けた。これを保存の魔法で劣化を防いだ後、全員に配って各自のインベントリ空間に保管する。
食事効果は能力強化系魔法薬より持続時間が長いし、腕が良ければ強い効果をデメリット無しで得られるから良いんだよね。
強化系魔法薬は瞬間的な強化なら食事効果より高い効果を得られるが、使い過ぎれば中毒などのデメリットを引く確率が高まるから、短期決戦だったり最後の詰めに使う物だ。乱用して良い物じゃない。
「ペロリさん、ありがとうございます。」
「いいえ、こちらこそ私と子供たちを助けてくれてありがとう。
ここなら、みんなが居るから内乱も怖くないし、略奪者に襲われずに済むから、私もココを拠点にさせてもらうわ」
対人戦闘に慣れてるペロリさんでも、結局はゲームでの話。
本人も穏やかな生活が良いらしく、完治まではこの村で便利系召喚魔法での手伝いで村に貢献してくれるそうだ
さて、ペロリさんが運び込まれて2週間ほど。
「見つけました。結構遠いですが・・・ここを根城にしてます」
「私やマイコニド達の調査隊も、この辺りが怪しいという結果になったわ」
レーシアさんとマーシャさん率いる偵察部隊が指し示したのは、村からそれなりの距離にある古城跡。
確か、話によれば古い小国の跡地がどうとか聞いていたな。今は廃墟群で、石材を再利用目的で採られててボロボロだという話だが・・・
「あと、その近くでかなり強い戦士系のプレイヤーの反応も感知しました」
「私達とは入れ違いになったみたいね、どうする?」
「そうですね、先ずはその人と接触してみましょう。その後で、乗り込みましょう」
他人の複製体を創れるようなヤツが村に紛れ込まれたら、面倒だし説得して引き入れられれば攻略の助けになるはずだ
「じゃ、さっそく絨毯で移動しましょ!」
「最近気に入ってますね・・・絨毯移動」
≪兎召喚≫
種別:召喚魔法/制限専用
制限:召喚士/手品師
属性:召喚
射程:2m
文字通り兎を召喚して使役する魔法。
ファンシーな見た目に騙されることなかれ、兎はその見た目に反して術者の能力に応じて強化される。
様々な種類や能力を持つ兎が存在し、収集した種類であれば術者は好きなタイミングで召喚できる。




