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第113話

 さて、無事に森の子供たちを連れて村に到着し、診療所でペロリさんの容体を確認する。


「輸血は大丈夫よ。ペロリが特殊な血液型じゃなくて良かったわ」


 ちなみに、輸血に関して血液検査等は村に来てかなり最初の方で実験してた。

 万が一、プレイヤーとこっちの世界の人間とで輸血とかできなかったらヤバイと思ってたが、今のところ人間同士なら地球と同じ基準で輸血できるので、定期的にお菓子で釣って村人に輸血を募っている。


 とりあえず、ペロリさんの容体は分析魔法でも安定と出ているため、後は感染症などを警戒しつつ意識が戻るまで様子を見よう。

 その間に、ペロリさんと一緒に居た子供たちが住む仮宿舎を村近くの空き地に建設。

 比較的暖かい時期だから、魔法でパパっと組み立てておいた。


「それで、何があったか知ってる人は?」

「・・・俺が説明する」


 説明役を買って出たのは、私に槍を向けて警戒してたリーダー格の子。

 彼の話を聞く限り、子供たちは王子派閥と貴族派閥の内乱に巻き込まれた孤児たちらしい。

 彼らは戦闘が落ち着くまで近くの狩人小屋の中で隠れ、その後に破壊された町で運よく拾った武器を手に、安全な街を目指して旅を始めたそうだ。

 その途中でこっちの世界に来たペロリさんと遭遇したらしい。


 彼らの幸運は3つ。

 1つは年長組は冒険者見習いで年少者を養ってたので、2~3レベルではあるが武器を扱えるクラスやスキルを習得してた。

 2つ目は行軍で街道近くのモンスターが排除されてたので、比較的安全な時期だったこと。

 3つ目が割と早い段階でペロリさんと穏便に出会えたこと。


 ペロリさんのメインクラスは召喚士(サモナー)系の魔法使いビルド。

 広範囲高火力の魔法は使えないが、代わりにネズミやリス、ウサギ等の低コストで大量に召喚できる小動物系クリーチャーを召喚することに特化した、人海戦術で戦う魔法使いだ。

 小動物なんて召喚して役に立つのか?と思うかもしれないが、瞬時に複数体を召喚できるタイプの低コストクリーチャーは≪強制自爆≫等の自爆特攻させる魔法と相性が良く、そして小さいので偵察や諜報、自爆による破壊工作に役立つのだ。

 強いて上げる欠点と言えば、召喚士系は直接攻撃できるタイプの魔法は他と比べて習得できる数が少ないので、単体での戦闘力は割と弱い部類だ。

 だが、それでもLv100。こっちの世界では簡単には負けることは無いはずだが・・・


 何はともあれ、子供たちと出会ったばかりの頃のペロリさんは、こっちの世界について何もわからなかったらしいので、子供たちと共に行動することにしたらしい。


「あの人は魔法で色んな事をして、俺たちを助けてくれたんだ。

 食べ物を探して持って来たり、モンスターが来たら魔法で追い払ってくれたり・・・。アイツらに見つかったとき、俺たちを逃がすために戦ってくれたり・・・」


「アイツら?」


「不気味な剣を持った化け物達だ。王国騎士の鎧とマントを着けてたけど、見た目は完全に化け物だった・・・。

 一目で「アレはヤバい」って分かった。それで、ペロリさんは俺たちを森に逃がすために1人で戦って・・・そのあと、俺が様子を見に戻ったらボロボロな状態で倒れてて・・・。俺たちは妖精の案内で妖精の隠れ家まで引っ張ってきたんだ」


 不気味な剣に王国騎士の鎧を着けた化け物か・・・。

 呪いの傷もあったし、呪いの武器による攻撃を受けたのなら傷の治りが遅かったのも納得だ。

 一応私が看破した限りでは、呪い等の状態異常は取っ払ったが、もしかしたら追跡系の魔法でも仕込まれてる可能性がある。

 レーシアさんを呼んで精密に状態を看破した方がいいかもしれない。


 念のため、マーシャさんに頼んで戦闘を行ったと聞いた場所の偵察を行う。

 偽装魔法無しでは占い師系の探知魔法を使うと、逆探知されてしまう可能性もあるが、マーシャさんのような隠密ができる斥候職の情報収集スキルなら逆探知される心配は少ない。


「任せて。すぐに見つけるから」


 そう言ってマーシャさんは隠密スキルで姿を晦まし、調査追跡をしてくれた。

 後は報告を待つだけだ。


 さて、レーシアさんの協力で看破した限りだと、負傷で弱っている以外は特に問題ないと診断され、一安心。


 その夜、マイコニド軍団と共に子供たちの分を含めた夕食を大鍋で作ってたらマーシャさんが偵察から戻ってきた。


「見っけたわ、戦闘の痕跡。ちょっと厄介な相手かもね」


 そう言って渡された情報を確認すると・・・なんだコレ?


「全部の足跡が綺麗に一致してる。同一人物が同時に複数存在したような、変な痕跡がね」

「そんなバカな・・・」


 マイコニド軍団ですらそれぞれ微妙に個性があるのに同一人物が同時複数?


「で、死体も見っけたわ。聞いてた剣は無かったけど、死体の方を調べたらコレよ」


 マーシャさん死体まで調べたのか・・・死体に関する情報の2ページ目には、同じ情報が位置以外はほぼコピペみたいな情報・・・なんだコレ?


「いわゆる「クローン」ってヤツ?何かの能力か魔法か分かんないけど、指紋や体格、看破した能力値まで完全一致したヤツが5人もいたわ」


「えぇ・・・」


 こんな中世ファンタジーでクローンとか誰が作れるんだ。

 ・・・いや、悪魔関連の呪いの武具ならもしかして・・・


「ドッペルゲンガー?」

「その可能性は高いわね」


 ドッペルゲンガー。「姿を真似る魔物」として有名な怪物。

 エルドラド・クロニクルにおいてもランダムでプレイヤーメンバーの1名の姿を模して出現し、しかもボス個体は実体の有る分身を生成する能力まである厄介な魔物。

 攻略法としては出会って即座に分身体諸共広範囲魔法で焼き払ってしまうのが一番手っ取り早いが、至近距離の乱戦となると本物かさっぱりわからなくなるので、攻略情報無しだとかなり厄介だ。

 まぁ姿を真似られても強さは据え置きだから、最悪は真似られた人がドッペルゲンガーを分身ごと全部潰してしまえば解決という力業も存在する。


 ダンジョンで遭遇したのはカエルっぽいヤツ、マーシャさんと一緒に見た山賊が持ってたのは人狼、そして今回はドッペルゲンガー


「エルドラド・クロニクルに居たボスモンスターの能力を付与している・・・?」

「現物を調査しないと何とも言えないけどね」


 とりあえず、先ずは食事にしよう。

≪口封じ≫

種別:状態異常魔法

制限:Lv8以上の魔女、魔術師、呪術師等

属性:封印

射程:0~20m

形状:対象指定

相手の口を強制的に閉じさせて魔法詠唱や食事、発言を妨害する魔法。

咆哮や口頭での詠唱、言葉をトリガーにする呪いや催眠術等も防ぐことができる。

また、隠密において断末魔なども防げるため、暗殺者向きの魔法でもある。

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― 新着の感想 ―
またあの悪魔使いかよ、そろそろ年貢の納めどきじゃないか?
更新嬉しいです!有難うございます、
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