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第112話

「だ・・・れ・・・」


 掠れる声でそう問いが投げかけられるが、彼女は見るからに弱っている。

 負傷もかなり重症な上に、呪い系の状態異常を受けているのかさっきから回復魔法で治療されているのに全く回復している様子が無い。


「≪浄化(キュアー)≫!」


 とりあえず、状態異常解除の魔法で解除を試みたが・・・ダメか。

 少々貴重だが背に腹は代えられないのでインベントリ空間から丸薬を取り出す。


「ペロリさん、『三宝丹(サンポウタン)』です。飲めますか?」


 三宝丹。(HP)(スタミナ)(MP)を同時に回復させ、大体の状態異常に対して強い効果を発揮する万能薬の1つだ。

 今の私では作れない錬金術師の派生クラス『錬丹師』しか製造できない秘薬だが、手持ちの薬で一番効能が高いのはこれしかなかった。


 ペロリさんの口に三宝丹を入れると、よし飲んだ。

 インベントリ空間から無限水筒も出して水を飲ませると、効果が発揮したのか彼女の傷が凄い速度で治癒し始めた


 呪いは・・・三宝丹で弱ったみたいだがまだ影響を残しているか。

 かなり高レベルの呪いだが、ここまで弱れば・・・!


「3倍≪呪い返し(リバースカース)≫」


 対象が受けた呪いに私の魔法力を上乗せして呪った相手に跳ね返す魔法を行使してやれば、呪いが術者に跳ね返ったのか何処かへと消えた


 よし、復讐はこのくらいにしてやるか。


 だがまだ予断は許せないな。とりあえず村に連れ帰りたい・・・が、彼女と一緒だった子供たちも置いて行くのは非情か・・・?


「おい!ペロリさんに何した!」

「その人から離れて!」


 おっと。もう麻痺から復帰したのか、槍を持った年長組が私を引きずり出そうとしてきた

 まぁ私も手荒にしたのは悪かったし、大人しく外に出る


「ねぇ!傷が無くなってる!」

「なんで・・・?あんなに傷だらけだったのに」


「今、彼女に飲ませたのは『三宝丹』という霊薬です。傷や呪いは治しましたが、このままでは病気になってしまうんで診療所まで運びます」


「勝手な事言うな!」


 うーむ、納得してもらわないと彼女の治療ができない。

 蹴散らしてしまえば楽だろうが・・・後でペロリさんに嫌われたくないしなぁ

 見た感じ、子供たちにかなり親しまれている様子だ。

 ここに来るまでに何があったかは想像できるが、あくまで想像だけ。


「心配ならついて来なさい。ペロリさんを清潔な病床まで運ばないと病気になります」


「・・・」

「ねぇ。この人は大丈夫と思う・・・妖精が騒いでない」


 そうリーダー格の男の子に進言したのは比較的年少の男の子。

 驚いたな、この子は妖精が見えるのか。


 妖精種は人前には姿を見せない。

 子供なら観測できるが、それでも見えやすいというだけで、はっきりと姿や表情、仕草を見るならばこっちの世界の人間では相応の才能か専門的な修行が必要だ。

 こんな年齢の子が妖精使いの修行とかしてるとは思えないので、おそらく突出した才能だろう。


 プレイヤーである私であっても、妖精の姿は見えるがそれらの個体を識別するのは不可能に近い。

 せいぜいどの種類かを見分けたり、動きや大雑把な仕草しか見えないので、はっきりとした表情まで見ることはできない。


「・・・本当に、この人を治せるのか」

「傷は大雑把に塞いだけど、血を流し過ぎてる。すぐに村で手当を受けないと死ぬ」


 そう、回復できたのは生命力(H P)であって、失血した血までは戻ってない。

 だが輸血なら診療所にいけばある。すぐに輸血すれば彼女が快癒する可能性が高まるが、放置すれば敗血症の可能性が高い。

 三宝丹の効果だって永続じゃないので放置してしまえば感染症を発症する可能性だってある。


「・・・わかった。だが俺たちも連れて行ってくれ」

「良いよ。元から置いて行くつもりは無い」


 インベントリ空間から信号弾代わりの打ち上げ花火を出して発射。

 マーシャさんならこれで気づいてくれると思ったら、5分でベッティちゃんを連れて空飛ぶ絨毯に乗って来てくれた


「お待たせ。・・・ペロリちーず、アンタも来てたのね」

「傷や罹ってた呪いと病気は三宝丹で除去しましたが、出血多量です。

 先に行って輸血をお願いします」

「任せて、今回は早々にMP切れ起こさないから」


 ベッティちゃんなら『医者』クラスを習得してから医療知識がスキルの恩恵で獲得してる。

 輸血くらいは適切にできると信頼できる。


 魔法で植物を操作して担架を作成して、ペロリさんを空飛ぶ絨毯で搬送。

 私はペロリさんが連れていた子供たちと共に村へと移動する。

 この距離なら特急切符を使うまでも無い。


「≪植物召喚:南瓜の馬車(パンプキンキャリー)≫≪変身の呪い(カースドシェイプ):馬≫≪動物支配(ドミネイトアニマル)≫」


 童話で有名な南瓜の馬車を召喚し、適当に目についた小動物を馬に変身させ、支配の魔法で使役。

 ちょっとの間だけ馬車馬として働いてもらおう。


 気分は童話に出てくる魔法使いだ。ガラスの靴は無理だがこのくらいはできる


 見たところこの子達も妖精達に養われていたとはいえ、結構痩せている。


「さ、全員乗って」


「すっげぇ」

「どうなってるの?」


 南瓜の馬車は荷物を運ぶには不便で、しかも脆くて戦闘には向かないから、今まで出番無かったんだよね。

 完全に安全な道で比較的早く移動するためのツールでしかない。

 今回は範囲化させた≪森渡り≫と≪加速≫の魔法で高速移動するが、私が護衛しなければモンスター相手にひとたまりも無いだろう。


 だが、最近は猫の特急切符を使い過ぎたし、券売所もまだ完成してないから購入目途が立ってない。


 さっさと村に連れて帰ろう

≪イデア硬貨≫

種別:貨幣

レア度:一般級

イデア王国内で一般的に流通している貨幣硬貨。

信頼性はそれなりだが、一流の生産系プレイヤーならば偽造は簡単なレベルの鋳造技術で作られている。

貴族主体の変動相場制であり、各領地を治める貴族達がそれぞれ領地内の相場を決定している。

ちなみにイデア王国においての貨幣偽造は問答無用での死罪とされている。

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呪いか、例の悪魔使いか? この子供もギフト持ちだろうか?
下手人は誰だろう
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