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第111話

 今年から拠点敷地に植えた仙桃の苗が育ち、僅かながら実をつけた。

 本来は何千年という時間をかけて熟し、天界にて神仏仙人たちの宴会に出される神聖な果物だが、私が入手するにあたって成長速度と引き換えに不死身等の不可思議な効果は弱められている。

 それでも地上にある一般的な果実などよりも強力な効果を持っているため、生のまま食べるだけでも強い効果を得られる。


 そう、食べるだけで強い効果を得られるという事は、盗み食いするヤツも出る


 今朝、突然裏庭から騒音が響き、音の発生源を見に行くと警笛の像が鳴っており、仙桃の木を確認すると実っていたはずの貴重な仙桃が1つ無くなっていた。


「なァ!?」


 慌てて周囲を見渡し、魔法を使って痕跡を探ると・・・邪妖精(ピクシー)の1体が持ち去っていたことが分かった。


 最近は銀の木の世話で大人しいと思っていたが、まさか仙桃を盗むとは!


 慌ててマイコニド達に残った仙桃の収穫を頼んで、追跡の魔法で盗人邪妖精を追って森に入る。

 完全に油断した私も悪かった、邪妖精などの妖精種は果物や甘味が好物なのは分かってた事だったのに!


 追跡魔法によると仙桃を盗んだ邪妖精は丘向こうにある森の深部に向かって逃げている。

 逃がしてたまるか!


「≪森渡り≫≪加速≫!」


 植物を障害としない魔法と加速の魔法でさらに加速。

 しかし、やはり魔法使い系の私だと元の敏捷値が低くて追い付く頃には森の奥になりそうだ。

 こんな事なら≪通信≫でマーシャさんかアキヒト君呼べばよかったな・・・


 丘を越えた森の深部、モンスターが生息しているため村人達はよほどのことが無い限り立ち入らないエリアだが、この辺に居るモンスター程度なら魔法で蹴散らせるので無視して追跡。


「見っけた!」


 仙桃を抱えてフラフラと飛んでいる邪妖精を目視で確認し、捕縛用の魔法の準備。射線が通るタイミングを見計らい・・・今!


「≪枝の檻(ブレンチホールド)≫!」


 周囲の木々の枝をコントロールして即席の檻を作成し、閉じ込めに成功。

 邪妖精の手から零れ落ちた仙桃もキャッチして取り返せた。


「ったく。これ1つでどれくらいの価値があると思ってるのだか」


 しかしかなり奥まで来てしまったな。

 朝方だというのに薄暗い森の深部、こんなとこさっさと帰ろうと思ってインベントリ空間から箒を出すと


『マッテ、マッテ』

『タスケテ、タスケテ』


 複数体の妖精種が縋りついて来た。

 助けてって言ってるが、イタズラ・・・には見えないな。

 考えてみればこんな森の奥で仙桃を持って行こうというのも不思議だ。

 欲望と好奇心に忠実な普段の彼らなら、目の前で食べて台無しにするくらいはやる。

 なのにわざわざ森の奥まで運ぶ理由は・・・?


 この仙桃は生のまま食べても高い回復効果と滋養効果がある。

 高品質の回復薬には劣るが、現地人を回復させるには十分な効果が見込める。


「・・・はぁ。では案内して。何を助けて欲しいの」


『コッチ』『ツイテキテ』


 妖精の導きってゲームじゃ良い思い出は無いが・・・まぁ今回は従ってみるか。


 森の深部を歩き回って数時間、加速系魔法で速度を向上させたことを加味したとしても結構な距離を移動するハメになった。

 途中で空腹になったのでその辺の食べられる木の実を魔法で実らせて簡単な朝食にする。

 うーん、菜食主義もニッコリなオーガニック・・・。


 念のため合言葉を入れた≪伝令≫でマーシャさん達に報告してるので、マーシャさんなら追跡系スキルで私を探し出してくれるだろう。


 さて、昼前に差し掛かった辺り目的地に到着した。

 ここは・・・どうやら妖精種が集まるエリアなのか、周囲には妖精が飛び回っており、中心部には大きな洞がある巨木がそびえている。


 そして、巨木の洞には、隠れるようにこちらを窺う十人以上の子供。


 薄汚れていて、何とか身を寄せ合って生活しているらしいのが見て取れる。


 なるほど、妖精種は良くも悪くも子供好きだ。

 助けてというのはこの子達の事か・・・?


「誰・・・?」

「妖精が大人を連れて来たぞ」


 ヒソヒソと話し声が聞こえる洞の奥から微かに血の匂いがする。

 怪我人だろうか、だが見た感じ周囲に飛んでいる妖精の中には、治癒系を扱える妖精も混じっているはず。普通の怪我ではないのか?


 私が近づくと、年長らしき数人の子供がどこで拾ったか知らないがボロボロの槍を向けて威嚇してきた


「近づくな!これ以上近づいたら・・・!」


 うーん。見た感じ私の装備を貫通できる性能では無いが・・・まぁとりあえず、邪魔なので少し大人しくしてもらう


「≪集団麻痺(マスパラライズ)≫。ちょっと寝てて」


 麻痺を受けた年長組が痙攣しながらバタバタと倒れるのを横目に、洞に侵入。

 魔法1発で武器を持った年長組を無力化したのを見て、他の子どもたちは私から離れるように道を譲ってくれた。

 洞の中では中位の妖精が数体、誰かを治療しているのか回復魔法の詠唱が聞こえる。


 妖精達だが・・・見た感じ使役されている感じではないな。

 何者だろうかと思いながら確認する・・・と


 長い茶髪を夜会巻きにし、糸目に左目の泣き黒子の女性が負傷した状態で横たわっていた。


 見覚えのある姿にまさかと思い看破系魔法を行使する


「≪防核無効化(バリアクラッキング)≫≪人物看破(アプレイザルパーソン)≫」


 名前:ペロリちーず

 属性:秩序/中立

 習得クラス:妨害されました


「ペロリさん!?」


 かつてのギルドメンバー、「ペロリちーず」さんだった

妖精の手アシストフェアリー

種別:補助/妖精使い専用魔法

制限:初期習得

属性:補助

射程:0~20m

形状:対象指定

対象1名を手助けする妖精を召喚し、作業成功率を僅かに向上させる魔法。

妖精使いの基本的魔法の1つで、戦闘には全く向かない魔法。

基本的には生産作業や罠解除などの場面で成功率を向上させるための魔法。

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― 新着の感想 ―
妖精ただの害悪かと思ったが良いところもある…のか?
ペロリちーずさんチーズ好きなのかな?
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