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第11話

 ユルデンス夫妻が連れて来た交易組合の人たち。

 丸眼鏡をかけた金髪の優男風の商人っぽい男性と体格がいい筋肉質な男性5人。

 あと、10代くらいのかなり若い優男と同じデザインの服を着てる金髪女子。


「お待たせしました。 こちら、交易組合のサージュさん。

 商品の査定を担当しているんです」

「どうも、交易組合査定係のサージュです。こっちは会計見習いのプッケ」

「は、初めまして」


「どうも、魔女のエリシアです」


 いかにも仕事人間って感じの雰囲気なサージュさん。

 プッケさんの方は、見習いって言ってたし仕事を教えてもらってる感じかな。


「では、さっそく査定を始めましょうか」

 サージュさんの言葉を合図に、後ろに居た男達が木箱を一つ出して開ける。


「これは・・・糸ですか。木綿・・・ではないですね?植物糸のようですが」

「魔法で植物から加工した繊維よ。

 元々は無価値な雑草とかから繊維を取り出した物」

「ほほぅ。雑草から・・・少し引っ張ったりしてみても?」

「どうぞ」

 サージュさんが糸を1つ摘み、引っ張る。


「なるほど、簡単には千切れませんね。これなら裁縫糸として使えるでしょう。

 布もこの糸で織った物ですか?」

「はい。村で織機を使って織りました」

「では、布も見てみましょう」


 布が詰まった箱を出して開け、サージュさんが1つ取り出す。

「ふむ。手触りが少々粗いですがしっかりした生地ですね。

 下着や肌着には向きませんが、今は布は不足気味でして。

 良いタイミングですので、是非買い取らせていただきましょう」


 次に開けたのは木炭の箱


「木炭は需要が尽きませんからね。

 ゴブリン共のせいで村々の行商が滞り、木炭の値段も上がってきました。

 プッケ、今の木炭の価格は?」

「えっと、先月より3ポイント値上がりしてます」

「こちらもぜひ全て買い取らせていただきましょう。

 後は木工品でしたね」


 木工品の箱が引っ張り出される。木工品はマイコニド達が張り切って作ってたから良い値段が付くと良いけど…。


「ふむ・・・。匙、皿、串、ほとんどが日用品ですか。

 需要もありますし値は保証しますよ」


 良かった…。


「さてと、ゲイリーウッズ村が求めるのは建築用石材。

 あと釘等の金属製品ですか…。

 お求めの数をお出しすると現在の相場はこの値段ですね」


 サージュさんが見積書を出す。

 値段は・・・銀貨5枚と大銅貨4枚、銅貨8枚ィ!?


「ちょっと高すぎません?」


「昨今はゴブリン共のせいで北部での建材の需要が伸びてまして。

 食料を中心とした物価も徐々に上がりつつあります。

 噂ではゴブリン共の発生源は飽和したダンジョンからだとか。

 イースリー北部一帯はゴブリン共のせいで無視できない損害が出ています。

 ご理解を」


 何処も大変なのは一緒って事か。


「イースリー南部で建材の注文は出していますので、南部からの交易品が届けば物価も下がるでしょうが・・・。早くて半月と言ったところですね」


 マジかー…。


「北部からの交易品は数か月ぶりですよ。

 さてプッケ、そちらの交易品の計算が終わったかね?」

「はいぃ。 こちらですぅ」


 プッケさんから羊皮紙を挟んだバインダーを受け取ったサージュさんがしばらく眺め。

「では交易品の査定ですが全て買い取りで銀貨6枚として、買い取り額からそちらの注文品である建材と金属製品の値段を引かせていただいて、大銅貨5枚と銅貨2枚となりますね」


「分かりました。それでお願いします」

 アーリーさんが合意して、取引は成立。

 交易組合の印が入った注文書にサインして代金を受け取った。

 その間に村の交易品は交易組合の馬車に積み替えられた。

「では、夕方頃にご注文の品をお届けします」


 そう言って、交易組合の一行は交易品を積んだ馬車で交易組合に戻って行った。


「では、夕方まで休んでおきましょう」

 あ、しまった…。 

 せっかくインベントリ空間に入れて持って来たポーションも査定に出せばよかった。 

 今更馬車を追いかけても無理だし、何処かで売れないか探さないと。


「主様?」

「あ、ごめんアカネ。ポーションも売ってお金にしたかったけど出すの忘れちゃって。

 何処かで売りに出すから真菌の兵士2体借りて良い?

 アカネなら≪思念伝達(テレパシー)≫でマイコニド達と遠距離通話できるから、何かあればすぐに連絡するから」


「分かりました。 そことそっち。 主様に付いて参れ」

「はい」「分かりました」


 アカネは適当に真菌の兵士の2人を指さして指示を出した。

 やっぱり名前が無いと不便そうだけどアカネは配下に名前付けないのかな?


「では私達は宿に部屋を取っておきます」

「アカネはユルデンス夫妻に付いてて。 そっちでも何かあれば戻るから」

「はい。 行ってらっしゃいませ」


 アカネに見送られて街の探索を開始。

 パ・ブシカの街の宿場通りから道路標識を頼りに職人通りを目指す。

 街というだけあって、村の家より立派な建物が多い。

 職人通りにある商店ではレンガや漆喰の建物にガラスのショーウィンドウや窓が並んでいる。

 この世界の文字、見たこと無い形の文字だったが意味は何故か理解できる。

 感覚的に言えば読めない漢字だけどなんとなく意味が分かる・・・みたいな?

 なんかフワッとした感覚で意味が理解できる。


 ショーウィンドウに並んでる品を眺めるだけでも結構楽しい。

 毛皮のコートや革でできた防具、モンスターの素材から作られたらしい武具。

 それにラーメンの暖簾。 ・・・ん?


「ラーメン!?」

 思わず振り返って2度見。

 そこには確かに日本語で『らーめん』と書かれた暖簾がかかった扉。

 え?マジ!? ラーメン有るの!?しかも日本語!

 まさか・・・私みたいに日本から来た?


 インベントリ空間から財布(布作りの時に作った巾着の財布)を取り出し中身をチェック。

 エルドラドの金貨と混ざらないように、財布の中身はこの世界の通貨を入れてある。

 村で色々買って中身は減ってる・・・が、銀貨がある。

 確か大銅貨5枚でジョッキ1杯の酒と豪華な食事って言ってたっけ?


 ラーメン・・・じゃなかった、同郷人に会える。

 そう思った私はラーメン屋(?)の暖簾を潜ってドアを開けた。

≪鼓舞:烈火戦陣≫

種別:対軍技能

制限:指揮官系クラス

属性:強化

射程:視界範囲

指揮官が味方に対して戦意高揚を鼓舞するスキル。

このスキルで鼓舞された味方は闘志が湧き出て一時的に物理攻撃力が向上する。

このスキルは重ね掛けすることで段階的に強化倍率と持続時間が向上し、5段階まで重ね掛け可能。

ただし異なる≪鼓舞≫系統スキルを使用すると効果を失う。

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