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第107話

「≪5倍魔法範囲拡大≫≪竜巻(トルネード)≫!」


 補給を終えたアキヒト君の広範囲竜巻が、吸血鬼やアンデッド軍団を巻き込みながら死都を襲う!


「これ以上やらせるか!≪強制転移(スライド)冥府(ハデス)≫!」


 しかし、相手も竜巻を()()()()()()()、この世から消し去った!

 今のは指定した空間を別時空に強制的に飛ばす魔法か!


「≪虚空顕現(ヴォイド・シンク)≫!」


 さらに死霊術師は続けて時空の裂け目を造り出して、私達を追放する魔法を行使。

 対抗しようにも、私は今さっきMPを使い切って魔法が使えない・・・!


「魔術師隊!」

『はい!≪連携魔法(ユニオンマジック)≫≪空間遮断結界(バリア・スペース)≫!』


 アカネの指示で空間を隔てる不可視の壁がマイコニド軍団魔術師達によって出現し、次元の裂け目を食い止める!

 その隙に私はMP回復ポーションを一気飲みしてMPを回復させる。


 マイコニド達の結界が持つのは20秒ってところか!回復間に合うか・・・!?


「≪運命の選択(フォーチュンチョイス)≫!」


 ここでレーシアさんがデカイ博打に出た!

 レーシアさんの手にタロットカードの束が出現し、ランダムにシャッフルされる。

 さっきレーシアさんが発動した≪運命の選択≫は非常にランダム性の高い魔法で、ランダムにシャッフルされたタロットを1枚引いて、対象1つにタロットに応じた効果を与える魔法。

 ただし、何が発動するかは対象を選択して効果が発揮されるまで誰にも分らない!


「リッシュさん!≪運命を貴方に(ディア・フォーチュン)≫!」


 タロットの効果がリッシュさんに適用された!何が出た!?


「!これは・・・」『わっはっは!妾、今までにないほど超パワーアップ!』


 バフ効果を引いたか!何の効果だ!?


「効果は『正位置:力』!勇気と克服のタロット!」

『熱蓄積量臨界、いつでも撃てるぞ』

「うん。これなら、打ち砕ける」


 リッシュさんの大剣が纏う炎が普段の赤からオレンジ、黄に変化し、色の変化と共に輝きも強くなる・・・っていうか熱量もすごい膨れ上がってる!

 熱狂ゲージフルチャージ状態!?こっちの世界では初めて見る!


「≪剛撃の構え≫≪全力全開≫≪臨界解放(オーバーブースト)≫・・・」

『ワーッハッハッハ!冥府の王よ、見るが良い!妾の担い手が放つ、かつては世界10指に入る威力を誇る絶技!太陽はここに顕現する!』


 次元の亀裂が私達を飲み込もうと迫る中、リッシュさんが瞬間強化スキルを重ね掛けしながら溜めを行い、ついにそれが放たれた


「『固有(ユニーク)スキル 全溜め(フルチャージ)極大焦熱波(カラミティ・マグナ)≫ァーーーーーーッ!!」』


 リッシュさんのスキル宣言と同時に計り知れない熱量が込められた1撃が振り降ろされた瞬間、私の意識が一瞬飛んだ。


 その直後に背中への衝撃で意識が戻り、リッシュさんの大技で意識を飛ばされながら同時に物理的にも吹っ飛ばされたのを理解。


「ゴホッ・・・!」

 咳き込みながら、インベントリ空間からHP回復ポーションを取り出し、口に含むのを惜しんで浴びる形で使用。


 立ち上がって周りを見渡せば・・・それは巨大隕石でも落ちて来たとでもいえば良いのか分からない光景。

 死都の建築群が乱立していたシリダが完全に廃墟となっている。

 おそらくだが次元の裂け目の方も圧倒的な熱量と威力を前に時空が歪んで相殺されたのだろう。

 私達が次元移動をしていないのがその証拠だ。


「ったた・・・リッシュのアホ、とんでもない火力ぶっ放すわね・・・」

 砂埃を払いながら、マーシャさんも姿を見せた。

「アキヒト君とレーシアさんは・・・」

「ここっす」「アキヒトが盾でガードしてくれたので、助かりました」


 リッシュさんは・・・居た。

 クレーター手前で残心してる


「・・・ヤツも居たわ」


 マーシャさんが指差す先に、例の死霊術師も居た。


 彼の命でもあった死都は崩壊し、感じ取れる生命力がほぼ無い。

 リッシュさんの超火力を浴びて、まだ生きてたのか・・・!

 いや、神の名を冠するクラスを習得していたのだ、通常のプレイヤーとはステータスから違うのだろう。


「・・・」


 どうするべきかは、既に決めている。

 無力化など不可能だ、閉じ込める牢獄も無い。魔法や能力を封じる魔法は・・・あるにはあるが、彼のレベルでは通じない。

 許す余地はない。既に彼は不特定多数の人間を殺害した大量殺戮者。



 私は、これから彼を殺さないといけない。

 さもないとまた彼は何処かでアンデッドを量産し、また現れる。


 MPは気絶してた時間で完全回復している。

 威力を極大化させれば、通常の攻撃魔法で・・・


 死霊術師に向ける杖が震える。こっちの世界で人を呪った事なら何度でもある。なんだったらカエルにしたり、攻撃魔法なんか何度も使った。

 だが・・・!


「・・・」


 人を、ころさないと・・・


「 ≪マ_」


 死霊術師が何か魔法を行使しようとした瞬間、彼の額に矢が突き刺さった


「・・・死亡を確認したわ。お疲れ様」


 討ったのはマーシャさん。

 弓の1撃が彼の頭部を貫いていた


「エリシア。属性の影響か生来か知らないけど、躊躇してたら死ぬわよ」

「・・・すいません。」


 マーシャさんはそのまま死霊術師のところへ向かい、その遺体をスクロールの魔法で封印した。

 上位の死霊術師なら、死後すぐに死体を封印しないと不死者として復活できるスキルがあるんだったっけ・・・


「これで復活はできないはずよ。あと、戦利品」


 そう言ってマーシャさんは盗賊のスキルで死霊術師のインベントリ空間にアクセスし、死霊術師が持っていたアイテムを回収。


「・・・精霊武具は一緒に埋葬してあげるわ。どうせ他人には使えないし」


 武具精霊はプレイヤー個人と契約している設定だ。

 そのため精霊武具化させた武器はその精霊と契約しているプレイヤーしか使用できない。


「≪落とし穴(ピットホール)≫」


 地面に穴を開ける魔法で簡単な墓穴を作成し、死霊術師の遺体と彼専用となっていたアイテムを入れて封印。


「さ。帰るわよ・・・もうここには何も無いから」


残ったのは、廃墟のみ・・・か

運命を貴方にディア・フォーチュン

種別:補助魔法/占い師専用

制限:特に無し

形状:対象指定

射程:視界

対象1名へ占い師の魔法の効果を適用させる魔法。

単体では全く役には立たないが、他の占い師専用の魔法と組み合わせることで、対象に占いの効果を与えることができる。

占い師が導く運命は不吉か吉兆か、それは神のみぞ知る。

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― 新着の感想 ―
盗賊スキルで相手のインベントリアクセス出来ちゃうのはヤバい……ゲームで運営めちゃくちゃ叩かれたのでは。
にしても死霊術師強かったなぁ。相手に準備期間があったとはいえプレイヤー5人でやっと倒せた感じだもんな。この先もっとアンデッド増やされてたら手がつけられなかったな。 結局こいつの目的は何だったんだろう…
色んな意味でやべぇ 後々調査に来た人たちが呆然としそう
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