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第102話

 シリダ攻略のための準備を終え、再突入前に全員に強化魔法を行使しておく。

 自己強化系スキルは強力だが、持続時間が短いから各自で判断して使用してもらう。


 一通りの強化と対策、魔法薬の配布が終わり、猫の特急切符を使用してシリダへ潜入


 猫車掌が気を利かせてくれたのか、シリダ市内を指定するとシリダの聖堂まで運んでくれた。


「ここ、アンデッドや吸血種の気配が無いですね」

「多分、聖堂の結界がまだ働いてるのね。一定ランク以下のアンデッドは近づかないわ」


 念のため、聖堂内部を探索してみたが、生存者は無し。

 内部では戦闘の痕跡があり、結界の影響を無視できる高位のアンデッドに蹂躙されたのだろう。


「≪影渡り(シャドウステップ)≫≪盗み聞き(トークスカウト)≫≪痕跡収集(ルーターログ)≫≪影纏い(ダスクヴェール)≫≪背中を見せて(ハイドポジション)≫≪武装無音化(サイレントアームス)≫≪弱点看破≫≪死の舞踊(ダンスマカブル)静謐の舞(サイレンス)≫」


「っし≪羽毛の足取り≫≪武装状態知覚≫≪気配知覚≫≪筋繊維保護≫≪心肺強化≫・・・」


 マーシャさんは暗殺用の強化スキル、アキヒト君はいつも通りの強化を行い、私達は聖堂を出てシリダの探索を開始した。


 戦列は先頭がマーシャさん、続いてリッシュさん。

 中段に私、アカネ、レーシアさん。

 最後尾にアキヒト君だ。


「≪首狩り≫」

『___!!』


 マーシャさんが敵を知覚した瞬間に隠密スキルで姿を消し、楽園の液体を塗布したダガーで首を切り落として即死させる。

 今のは、吸血鬼か。アンデッド系だけじゃなく最上位の吸血種まで呼べるなら、おそらくクラス構成も死霊術師特化の最高位クラス持ち。


「≪魔女の印(ウィッチサイン)≫っと」


 領主館を目指しながら、市街の壁に仕掛けを設置


「この先は市場で、そこを抜けたら直通で領主館まで」

「悪いけど回り道するわ」


 話の途中でマーシャさんが回り道を選択

 途中の角を曲がって路地に入る。


「市場にデカイ反応があったわ。多分アンデッド系のドラゴンが待ち構えてる」


「素直に近道は通してくれそうに無いっすか!」


「まぁ市場みたいな見通しが良い場所なら大型クリーチャーくらい置きますよね!」


 今回は強襲作戦なのでドラゴンゾンビみたいな大型のクリーチャー相手にしている余裕は無い。


 路地の壁にも≪魔女の印≫を行使して仕掛けを増やしていく。


「この先20m。スケルトンの隊列!」

「ん、蹴散らす」


 マーシャさんの言葉にリッシュさんが速度を上げて、背中の大剣を引き抜く。


「≪剛身化≫≪怪力無双≫」


『_!』


 路地の外で待ち構えていたスケルトンの隊列へリッシュさんが躍り出る


「≪薙ぎ払い≫!」


 盾で壁を形成していたスケルトンの隊列をまるで雑草でも切るかのように横薙ぎ一閃、強引に隊列を崩す。


 というか路地の壁ごとスケルトンをぶっ飛ばしてる。


 スケルトンやゾンビの装備は・・・鉄か鋼鉄がほとんどか。

 なら・・・!


「魔法使います!≪上位(グレーター)磁力(マグネットフォース)≫!」


 強烈な磁力場を発生させる魔法を行使し、ゾンビやスケルトンの装備を指定した場所へ引き寄せる。

 テレビで見たネオジム磁石レベルの磁力は鋼鉄や鉄製品を身に纏うアンデッドを一か所へ強引にかき集め、互いに装備が磁力で引っ付いて動けなくなる。

 金属鎧を着こんだアンデッドはこれでしばらく動けない。


「エリシア、その魔法が有るなら最初に言ってほしい」

「あ、スイマセン。これ相手が磁力に反応する装備じゃないと効かないんで・・・」

「その魔法があればモーターが作れる」「そっち!?」


「≪薬液投擲≫!」


 一塊にされたアンデッド玉は楽園の液体で処理され、私達は先を急ぐ。


「≪魔女の印≫っと・・・これで6か所目」


 仕掛けは上々。後は仕上げを御覧じろ・・・かな。


 アカネによる軍団の召喚は領主館近くまで温存だ。

 人数が増えると足並みが遅くなるし、何より目立つ。

 路地での行動にも制限が掛かるので、本命の領主館までは温存し、ギリギリのタイミングで軍団を召喚してもらう予定だ。

 それまでは鼓舞系スキルの援護に徹してもらい、私達が護衛する。


「この様子なら、領主館に居るのは確実ね。守りが厳重・・・

 チッ、どの方向から行こうにもデカいのが1体居るわね」

「マジっすか。どんだけMPと素材突っ込んでるんすか」


 大型クリーチャーの召喚はノーコストじゃない。相応のMPと代償が要求される。

 聞き取り調査や実験の結果、継続的に存在をこちら側に召喚を維持し続けるには、私の場合は元となる植物を依り代にしたうえで、名前を与える事。


 恐らく相手方の死霊術師は、『素材となる死体を相応に集め』そのうえで、名を与えるなどの別の条件を満たす事が必要だろう。


 ドラゴンゾンビなんて大型クリーチャー、いったい何体の死体を集めたらできるか想像したくもない。


「仕方ないわね。エリシア、作戦変更。「プランB」よ」

「分かりました!」


 プランA(本来の作戦)は、敵をすり抜けつつ最低限の戦闘で領主館へ強襲する作戦だったが、大型の敵と戦うのが必須であるならばのプランB(次善の策)


「ではレーシアさん、付与お願いします」

「あんまり気が進みませんけど・・・はい」


 建物の屋根に上がり、領主館が狙える位置につく。

 そのうえで、特製ロケット爆弾をインベントリ空間から出して着火準備。

 特製ロケット爆弾にはレーシアさんにルーンを付与してもらう


「・・・完了しました。本気でやるんですか?」

「まぁ、やらないと結局困るんで」


 同じくインベントリ空間に入れておいた専用発射台を屋根にセットし、照準を合わせる


 その間、他のメンバーは屋根に上ろうとするアンデッドや、飛行してくる吸血鬼を倒してもらっている。


「目標視認、距離良し、照準良し、風向き計算良し。着火」


 お手製マッチで導火線に火を点け、発射台から離れて5秒でロケット爆弾が発射される


「レーシアさん!」

「どうなっても知りませんよ!≪ルーン起動≫!」


『アレを止めろ!』


 吸血鬼の何体かが割って入ろうとするところで、()()()()()()()()()()()()


『!?』


 以前見せてもらった≪増殖のルーン≫にスライムの素材から得られた≪分裂≫の特性をロケット爆弾にエンチャントした『無限に増えるミサイル(無限クラスター爆弾)』。


 幾つかは障害物にぶつかったが、無限に増えながら領主館に突っ込んだロケット爆弾の推進剤が燃え尽き、爆薬が着火



 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・!!


「あぁ。なんて無茶苦茶な・・・」

「発案はマーシャさんなんで、文句はそっちに・・・」

「アッハハハハハハハハ!大成功!!」

「たーまやー」

「えっぐ・・・」

「えぇ・・・」


 爆発しながらまだ分裂増殖を続けるロケット爆弾が連続爆発。

 爆発がさらに爆発を呼び、そして爆発することで更に分裂と増殖が繰り返され・・・あれ?コレどうやって止めるんだ?


「ちょ!なんかこっちにも飛んで来たっすよ!?」

「退避!退避―!」

「ギャー!やっぱりこうなった!」


 結論から言うと、領主館とその周囲が焼け野原になってようやくルーンに込めたMPが尽きて止まった

≪無限爆弾≫

種別:爆弾/消耗品

制限:特に無し

マーシャによる悪魔的発想と偶さか有った「分裂」の特性を持ったスライムの素材、そして≪増殖のルーン≫が合わさって完成した非人道兵器。

オスロ宣言に正面から喧嘩売ってるが、異世界なので関係ないという事で採用された。

着火して発射された後、≪増殖のルーン≫を付与したルーンキャスターの合図で無限に分裂増殖を繰り返し、連続爆発する。

止める方法はルーンに込めた魔力が尽きるまで基本的には無く、一度撃ったら制御不能なため、非常に危険

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ご利用は計画的に
不発弾がないなら合法()
なんてエグいものを……いいぞもっとやれ
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