第97話
『なんだ。相手は辛気臭い木偶ばかりか。だが妾は超寛大故ー』
≪武具精霊実体化≫スキルで実体化した熱狂姫がそんな事を言ってる途中で、起き上がってきたスケルトン騎兵の一団から槍が飛んで来た!!
『妾の話を遮るでない!この無礼者がァーーーッ!!』
それを熱狂姫は激怒しながら飛んで来た投げ槍を掴み、赤熱させて融解させた。
実体化してるとはいえ、マジで戦闘に参加するとかアリィ!?
「リッシュさん!熱狂姫喋ってますよ!?って言うか好き勝手動いてますよ!?」
「・・・気にしないで」
「「「気にするわ!!」」」
リッシュさんを除く私達プレイヤーのセリフが1つになった
「スキル≪突撃≫」
私達のツッコミを無視して、リッシュさんは≪突撃≫スキルで立て直し中のスケルトン騎兵団に突っ込んだ。
ドラゴンゾンビは・・・射線上に味方騎兵が居るから、誤射しないようにゾンビ歩兵と足並みを揃えて前進してるのか。
「炎熱機工『灰被り』専用スキル」
『よかろう。燃え尽きるほど踊ってもらうぞ!』
≪突撃≫スキルで騎兵との乱戦を形成したリッシュさんの大剣、その機械部分から炎が噴き出る。
「『≪灰塵の輪舞≫ッ!!」』
息を合わせたスキル宣言と同時に、劫火の竜巻と破壊の嵐が巻き起こる。
リッシュさんがやっている事を一言で言えば、遠心力に任せて炎を纏った大剣をコマのようにぶん回し続けている、ただそれだけで物理的な破壊力を持った火災旋風が骸骨の騎馬と騎手を粉砕する!
『フハハハ!!まだまだァ!物足りんぞォ!』
「エリシアさん、マナー違反って分かってるんすけど・・・あの武具精霊どうなってんすか。
基本的に実体化スキルの後、実体化専用スキル使った武具精霊は実体化が解除されるのに、アレなんで消えてないんですか?」
「あぁ、アレは武器種依存スキルで、武具精霊固有の能力とは違うんです。
≪熱狂姫≫の固有スキルは実体化させた後、戦闘しながら専用ゲージを溜める必要があるんです」
「専用ゲージ!?」
「はい。リッシュさんが持つ精霊武具≪炎熱機工大剣:熱狂姫≫の実体化固有スキルには2つの段階が存在します。
第1段階はさっき見た実体化状態の維持をしつつ、専用ゲージの追加です。
リッシュさんは『熱狂ゲージ』と呼んでますが、その熱狂ゲージを出現させることで第2段階の準備に入るんです」
第1段階の状態でもリッシュさんの通常攻撃に火属性が追加され、攻撃範囲や攻撃力が増加する効果に加えて、焦熱や火傷と言った状態異常を物理的に押し付けてくる。
「『≪飛炎刃≫ッ!」』
リッシュさんが大剣を振り降ろすと、炎を纏った飛ぶ斬撃がスケルトン騎兵を縦断して後続のゾンビ歩兵まで斬撃が届いた!
「熱狂ゲージは攻撃で敵やオブジェクトにダメージを与えるたびに熱狂ゲージは増加します。
そして、熱狂ゲージが溜まりきった時、第2段階が入ります」
「悪いけど、お喋りはここまで。リッシュ一人にいつまでも前線やらせるわけにいかないでしょ!」
おっと。つい解説に時間を取られてしまった。
リッシュさんに続かなければ
「≪花の繁茂≫」
花を茂らせる魔法をリッシュさんの周りに行使。
何の意味があるかと言えば、私が咲かせた花は『ゴジアオイ属』植物がモデルとなった花。
その花は極めてポピュラーで・・・乾燥する時期なら植物の中でよく燃える品種だ
私が茂らせた花がリッシュさんの大剣の炎に着火することで、あっという間に火の海が広がる。
アンデッド系の大敵は神聖属性だけでなく、炎属性もそうだ。
物理的に焼却されればタフさも不死性も関係ない。
まだ春先の冬で乾燥しやすいこの時期は、簡単にはこの植物の劫火を消火することはできないだろう。
「エリシア。燃やすなら先に言って。髪がチリチリになる」
「あ。すいません」
火中のリッシュさんは火属性に耐性あるし、平気と思ったからやったがクレーム入れられたな・・・
『ワッハッハーッ!なかなか盛り上がるではないか!』
「≪鷹の目≫≪頭蓋貫き≫!」
マーシャさんも矢で巨人ゾンビの頭を狙い撃ち、数を減らしてるが・・・キリが無いな。
とりあえず火の海で進軍ルートを制限したが、やけっぱちで突っ込んでこられたら焼き尽くせるかどうか怪しいレベルだし。
「≪真空刃≫!≪風の鉄槌≫ッ!」
「≪増殖のルーン≫!≪雷のルーン≫!≪炎矢のルーン≫!」
アキヒト君もリッシュさんと肩を並べて前線で魔法を交えながら風の刃で切り裂き、突風で吹き飛ばしたりして頑張ってくれている。
レーシアさんもルーンを増殖させるルーンを使用して手数を増やしながら魔法攻撃で参加してるが・・・敵軍がタフなのもあるが、数が多すぎるな!
元々アンデッド系は弱点以外の属性だとダメージを受けづらいクリーチャーだったが、敵に回すと非常にめんどくさい!
マーシャさんの暗殺者や狙撃手技能も特効のダメージは入ってるが、元の相性の悪さを覆しきれるほどじゃないし、そもそもこの人は単体を暗殺する事に特化してるせいで対軍団戦闘は苦手な部類だ。
リッシュさんは属性で有利を取れているが、攻撃スピードが遅く、スタミナ管理が必要な重戦士系。スタミナが尽きる前に撤退しなくてはならない。
アキヒト君は風系統で不利寄りだが、リッシュさんや周囲の炎を上手く風に巻き込んで立ち回れてるが、MPとスタミナは有限。彼もリソースが尽きる前に撤退できるようにしないといけない。
レーシアさんも増殖のルーンで魔法の連射が出来てるが、そのルーンがあとどれくらいあるか知らない。ルーンが尽きれば攻撃手段も無くなるだろう。
私ももっと強力な魔法が使えたら良いが・・・時期が悪い。
寒すぎるのだ!冬なのもそうだが、多分アンデッド軍団をコントロールしてる死霊術師が魔法で日光を遮断してるせいで、一帯が強烈な寒冷状態になってて上手く植物を操る魔法が行使できない!
花とかの細やかな植物ならMP任せで出せるが、樹木のような植物だと温度が低すぎて育たない・・・!
とにかく≪酸の奔流≫等で酸を浴びせたりして迎撃してるが、神経ガスや幻覚剤の類いや中毒症状を狙うタイプの毒はアンデッドに効かないし、呪い系の魔法は負の属性魔法だから元々負の存在であるアンデッドには効かないんだよなぁ!!
頼むから早く乗り込み完了してくれ・・・!
≪突撃≫
種別:汎用/攻撃スキル
制限:Lv5以上
属性:物理・殴打
射程:10~50m
文字通り目標に向かって全速力で「突撃」するスキル。
突撃後は所持している武器や防具で体当たりを行う。
近すぎると体当たりの効果は無いが、素早く相手に近づくことが可能。




