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第91話

もう100話書いたのか・・・

でもサブタイが第91話なの不思議!(閑話のせい)

 暦の上では年明けとなり新年。

 もうすぐこっちの世界に来て3年目になる。


 この村では正月を祝うようなことはしてないが、日本人として新年を祝う。

 って事で、おせち(擬き)を作って食べる。


 ギリギリ再現できるのが黒豆、キノコと鶏肉とにんじんの煮物、かぶの酢の物、たたきごぼう。

 後はもう卵焼きとかの代役で誤魔化す。

 タイとかエビとか魚介系、海産系はここが内陸なので手に入らない。


 来年はお雑煮用のもち米とかも、ジャン・バラさんに注文しようかな。


「これおせち?」

「擬きですけどね。内陸なんで魚介海産が手に入らないので洋風で誤魔化します」

「十分美味しそうです」


 私達プレイヤー勢とマイコニド達とベッティちゃんで集まって、新年のあいさつを交わした後、皆でおせちを囲む。

 ついでだから、ベッティちゃんにはお年玉もあげよう。

 マーシャさんはいい年なんですからお酒で我慢してください。

 リキュールが良い具合になってるんで・・・ってもう飲んでるし・・・


「着物装備も欲しい」

「いいっすね。バロメッツの毛で作れないっすかね?」

「流石に羊毛ですから着物には向かないと思いますよ」

「そうね。絹糸が手に入ったら、着物は作れそうだけど」


 絹糸かぁ・・・養蚕ってどこかでやってたっけ?

 三箇日を無事に迎えられ、正月気分は満足できた。


 日本基準で三が日が終わって2週間。

 仕事の途中でリッシュさんが店にやって来た

「エリシア。列車の試作品ができた」


 ・・・え?列車!?


 リッシュさんに連れ出され、リッシュさんの作業工房に入ると

「蒸気機関車の前提でコレを村で導入する」


 そう言って紹介されたのは・・・トロッコ。

「人力駆動式。ハンドルを回せば、線路を進める」


 そっか!線路と言えば電車や機関車とかを想像してたけど、人力のトロッコもあるのか!


「問題は線路の敷設だけど」

「あー。今は予算も人手も厳しいですね・・・」


 去年は村の予算で赤字を出してる。

 と言っても貯蓄はまだ余裕があるので破算はしないが・・・


「コレ、他の村にも伝えて、カンパを募りましょう」

 この辺の交通手段は基本的に徒歩か家畜に荷車を牽かせてるので、行動範囲や積載量に限界がある。

 だが線路ができれば、近隣との行き来や輸送量が増える。

 パ・ブシカの街までは少し遠いが、近くの村同士なら恩恵は強い。

 ついでに冒険者も乗せれば護衛として使える。


「とりあえず、予算を組むのでコスト計算お願いします」

「ん。分かった」


 トロッコだが、先ずは試運転として上水道整備の工事現場で使用することにした。

 レールは私が魔法で作成した木製だが、物資や土砂を運んだりする分には魔法で補強をかけたので、定期的に魔法で修復すれば問題無いだろう。

 流石に村同士をつなぐ路線は金属を使いたい。長すぎる。


 さて、上水道整備の方だが予想以上に作業が進んでいた。

 理由は冒険者魔法使いの参戦。


 冒険者として活動している魔法使いだが、こっちの世界で開発された魔法は私の想像以上に自由度が高い魔法が多かった。

 まさしく『魔法』と呼ぶべき作業速度。


 なんでこんな日雇いバイトやってるのか聞いたら、負傷したメンバーの治療費だとか、研究費の借金返済とか割と切実な返答が帰ってきた。

 肩を持つつもりは無いが、活躍してくれた魔法使いの給料にボーナスを入れておいた。



 さて、こっちもこの世界流で魔法の新しい技術を練習中だ。

 名付けて『二重詠唱(ダブルキャスト)』。

 文字通り、2種類の魔法を同時に詠唱して発動させる魔法。

 これがまぁ・・・難しい。というか口が二つないと物理的に無理じゃん?って思ったが、そこは別の技術で補う。

 詠唱方法を『口頭』と『魔力を用いて指先で空中に文字を描く』の2種類に分けることで、2種の魔法を同時詠唱可能になった。

 ただ、コレも無茶苦茶難しい。

 こっちの世界だと、口頭での魔法詠唱による行使以外にも様々な魔法詠唱の方法が有り、手で印を組む、文字を描いて詠唱とする、ワザと不完全な魔法陣を仕込んでキーワードで発動させる、魔法を仕込んだ入れ墨で魔力を通して発動させる。ぶっとんだヤツだと肉体改造して体内にも魔法を発動させる何かを仕込んで発動させるヤツまで居るらしい。


 基本的に魔法制御できる容量の都合上、普通は1回の詠唱で1つの魔法を発動させる。

 私はスキルで魔法を連続発動させることができるが、二重詠唱は同時発動が可能になる。

 今までは巨大な茨を出すには『茨を出す』→『巨大化させる』という魔法発動の手順を踏まなければならず、魔法2つ分の魔法詠唱(キャストタイム)が発生し、更に茨を使った魔法を行使するとなると、高速移動できる相手には間に合わない。

 だが二重詠唱が使えれば『巨大化させた茨を出す』と手順を1回でできるようになる。

 巨大化させた植物は頑丈なので、先ずは≪植物巨大化≫と植物系統魔法の組み合わせを練習中だ。

 コレができるようになれば、瞬時に巨大植物を操作できるようになる


 問題は、手持ちの書物に載ってる情報では、下位クラス用の魔法しか詠唱文が無いから派生クラス用の魔法詠唱は自分で研究して編み出さないとダメだ。

 って訳で、魔法の完全詠唱(フレーバーテキスト)を確認したら・・・


「なっが・・・」

 文章にして7節。コレを戦闘中に書けと言われてもムズイぞ。

 高等魔法は詠唱時間と詠唱文節が長くなる傾向にあるが、派生クラスでもそこそこ長い。

 とりあえず、文章での詠唱でも装備のCT(キャストタイム)短縮補正がどこまで乗るか検証。

 言語は・・・日本語でいいか。

「まずは・・・1節くらい省略しても大丈夫かな」

 とりあえず、発動補強する1節を省略して行使。うん正常発動。

 2つ、3つと省略しても発動出来た。根幹部分まで省略したらダメだから・・・ギリ3節まで書けって?他の魔法使いながら?


 いや、コレ自前で戦闘中に書くから面倒なだけで、何かの媒体を使って詠唱を完成させるだけならギリできそうだな。

 確か不完全な陣を使う方法もあった。

 ソレの応用で穴あき文を作って、最後に根幹部分の1節を書き込めば・・・お。できた。


 じゃー記録媒体に根幹部分の1節を消した詠唱文を記録した後、瞬時に呼び出せるようにすれば、1節書き込みながら魔法行使できるな。

 いっそ全文コピペしてしまえば・・・

 全文をコピーして媒体として使用した木簡に記録すると、私のMPを勝手にガンガン吸い上げて、魔法を周囲へ乱発。周りの植物が急激に巨大化を始めた。

 うわ!ダメだ!全文コピペすると勝手に発動する!


 慌てて媒体を魔法で焼却して暴走を止める。

 ・・・アレ?


「・・・今、魔法付与(エンチャント)できた?」

≪マジックスクロール≫

分類:消耗品

レア度:収録された魔法の効果に依存

通称スクロールと呼ばれる使い捨ての魔法の品(マジックアイテム)

特殊な用紙とインクを使用し、『魔法付与師(エンチャンター)』クラスが協力者と共に作成できる。

魔法付与師本人、もしくは協力者が使用可能な魔法を1つ封入し、誰でも使用できるようになる。

封入した魔法の効果は、その使い手の能力の8割程度までしか再現不可能。

エルドラド・クロニクルでは攻撃魔法よりも≪通信≫などの便利系魔法、補助系魔法や探査系魔法、回復魔法など行使において能力値に依存しない効果の魔法を封入するのが主流

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― 新着の感想 ―
ゲームではただのシステムだった魔法やスキルもこの世界では技術だから自由な扱い方が出来るし扱い方次第ではクラスに縛られない魔法も使えるってことなのかな? 普段魔法使うときって魔法名だけ言ってるように思…
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