第11話 森で暮らす者たち
予定を急遽変更して、森で暮らすことに決めたが正直不安要素の方がでかい。確かに森で暮らして行けるだろうが水源の確保や衣食住の確保は、簡単ではない。あの時はたまたま川があったからよかったが、もしその川が誰かの管理しているものだったり国単位で管理しているものなら、後々面倒なことになるだろう。面倒な事はなるべく避けなければならないが、そうと言ってられない、生き抜く為に必要なものは活用しなくてはいけない。
何日か経ってからようやく森の深い場所へと辿りついた、道中魔物の他にマシュルホルやホリンパなどの現代で言うところの動物も多数見かけた食糧は、問題無さそうだ。
ちなみにマシュルホルは、鹿のような動物で目が3つ角が四つある、この世界では森の幸としても有名だが、森の守護獣とも言われている。ホリンパは、上半身が熊のような見た目で下半身が馬のような姿をしている。ただし下半身の形状は、馬に近いが毛が熊のようなので全体的に毛深い屈強な動物である。道中ホリンパの毛でお手製リュックを作ったり魔法と言うより魔術に近いとシャルーサが言っていたのだが、呪いの道具を作ったりと色々と活用させてもらった。とまぁ、食糧と衣服は、大丈夫そうだ。
シャルーサがいいところのお嬢様で仕込まれててよかったと思う、裁縫も料理をお上手だ。俺は、正直役に立てていないだろう、今の所はね!?
後は、水源の確保と住むところの確保だ。
早く水源を確保してお風呂に入りたいところだ、こんな可愛い美少女が汗だくで臭いもしてきた、可哀想になるのだ。まぁ俺的にちょっとだけありなのだが、シャルーサの方が限界だろう。なんとかしてあげなくては、いけない。
そんな事を考えているうちに、シャルーサが心中から吠えた。
シャルーサ「あーー!!もう限界!!お兄ちゃんちょっと変わってくれるかな?」
正直びっくりした、ある意味こんなに怒ると言うか、苛立っているのは初めてかも知れない、良かろうと言わんばかりに主導権をシャルーサに渡した。
シャルーサ「ふぅ、それじゃ始めるね」
何やらお手製のリュックからゴソゴソと出し始めた。
細く砕いたホリンパの骨と毛を少々と道中シャルーサが集めていた枝だ、こんな物を出して何をするのだろうか?
そう考えていると、ぶつぶつと何かを唱え始めた。
シャルーサ「ふぅーーー、、、森で生きた大いなる獣よ、生きた証を持って汝を母なる泉へと導きたまえ。代償は、滴る生きる者の血を持ってゆけ。」
そう唱えると、人差し指を少し噛んで出た血をホリンパの残骸へと垂らし始めた。
瞬間残骸だったものが、光を放ち鳥の形へと代わり先導し始めた。
あっけに取られて見ていると、高らかにシャルーサは、言った。
シャルーサ「さぁ行くよお兄ちゃん」
先導されるが、まま着いていくと大きな泉が目の前に現れた。透明に澄んだ泉は、心地よく草を写し出しまるで歓迎してくれているかのように、太陽の光を反射して俺たちを照らしていたのだった。
シャルーサ「ありがとう、森に住んだ民よ。生きるため汝の血肉を食い、皮を剥いだ愚か者に力を与えてくれた恵に感謝を。さぁ母の元へお帰り。」
まるで聖女のような微笑みで光の鳥を空へと返した彼女の姿は、とても美しく見えた。
そうだ、生きるためとは言え殺して食う事が当たり前では、ない。現代人だった俺には、あるようで無かった考えだった。この世界の人達、少なくとも彼女は、生きるための責任を持って生きているのだ。彼女のおかげで森に受けいられた気がした、何故なら彼女を照らす泉は、微笑んであるかのように煌めいていたから。




