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第10話 逃げるための力を

 足早に洞窟を出て少し距離のある町を目指すことにした。近くの町に行くという選択肢もあったのだが、噂が回っていては、いけないと考えたからだ。それにここ最近まともな食事も取れていない、森にいた頃は、森の魔物や動物を食べていたがそれも限界だ、なので少し距離はあるが小さな町を探してみることにした。たしか、シャルーサの親父の話しを聞いているとダンジョン研究で出向く際に小さな町が至る所にあるという話を聞いた。今いる洞窟から歩き始め二つ目の町をめどに歩き続ける、なかなかキツイかもしれないがシャルーサと俺で体の主導権を入れ替え交互に歩けば、体は疲れていても精神的に曲げる事もないだろうから、普通の人よりは、遠くまで歩けるはずだ。

実際に、これまでを振り返れば体の主導権を入れ替えることでお互いに休憩?というのだろうか、まぁそんな時間ができていたわけだ、今ある特性を最大限活用して行くことが今を生きる糸口になる。たが、なんと言うか状況が状況だったため、命の危機を感じているうちは、この森で生活すると言ったサバイバル的な事に意外と馴染めできているような気がする。不思議と初めてでは、ない気もするしな。俺やシャルーサの適応が早いのか、それとも転生された時に俺に備えられた力なのか、よくわからないが助かっている。まだ、この世界について謎が多い、あのシャルーサが怒った時の黒い魔力は、なんなんだろうか。感情によって滲みでる魔力の色が変わるのだろうか、シャルーサ自身もあの変化には、気づいていないようだし、あまり気にしすぎるのもよくないだろう。人目がある道は避け、暑い日差しを浴びながら森の中を進んでいく、根気のいる作業だ。道中遭遇する魔物は、できる限り倒した、何故ならこの先いつ戦闘になってもおかしくない、俺自身の戦闘面の向上だけでなく、シャルーサの魔法の鍛錬にもなる。

シャルーサ曰く、シャルーサが住む地域は、とても魔物が強いらしい。ダンジョンの研究書物を絵本代わりにして、育ったシャルーサだ、そう言ったら歴史的なものには、精通している。勉強や魔法の練習を嫌がっていたのは、自分の好きな本を読む時間を取られるからと思っていたらしい。

そういえば、昔から俺には、よくわからない難しい事が書いてある紙を広げて読んでいたような、、、。

本題を戻すと、大昔にここで大きな戦争があったらしい、長い戦いの末、女神が勝利しこの地に安寧をもたらした。

何と戦っていたかは、不明らしい。長く生きている人間は、女神が残したとされるダンジョンや記録を研究する事を禁忌としていたようだ。なので、研究者は、歴史を紐解く役職として重宝されていると同時に、神の思想に反する者として差別されているらしい。シャルーサが魔女などと呼ばれるのもそう言った背景があるのだろう。

この子も大変な運命を背負わされている。

歩いて行くうちに、俺は思った。シャルーサの実力なら町に行くより森の中で生活した方が、安全なのでは?と。

シャルーサが魔物と戦う時に苦戦する様子を見たことがない、実際秒殺だ。

ならばこのまま人目を避けた森などで生活した方が良いのではないかと考え始めた。普通に森で生活していれば並大抵難なく討伐や生活も出来るだろう。必要な物を揃えるために町へ出ることはあっても、町で生活するとなればそれなりにリスクは、伴ってくる。

この世界での噂話や世間体がどんな物かは、把握しきれていないが何の根拠もなく、魔女だと殺しにかかってくるような連中が溢れる世界だ、やはり身を案じるならそれが先決では、ないかと思ったのだ。

今養うべきは、戦闘による経験と少しずつ心の奥底にある傷を癒すための時間と果てしない悪意から逃れるための、、逃げるための力を身につけるいい機会なのでは、ないか。

果てしない旅路になるだろうが、この子を守るために俺は指針を示さなければならない。

荒い道を歩ませる事になろうと、今は逃げるための力を、、、、。


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