彼が優しくなった理由(ワケ)
【山田side】
最近、田中くんが優しい。
……語弊があるので付け加えるが、元々彼は優しいのだが、以前は香織ちゃんや由美ちゃん、彼のご近所さんである佐倉さんみたいな、美人で秀才な人にしか向けてこなかった優しさを、私にも与えてくれる様になった。
「………何でだろ…? 」
考えてみるが、それらしい理由が思い付かない。
「………」
まさか!? 田中くんが、あたしを好きに…なワケないっか。だって彼は、美人で賢い人が理想なのだから…。
--……あたしとは正反対…
想い続けたって、この恋が成就するとは限らない。…そんなの解ってる。だからさ、田中くん。
そうやって、期待させる様な事しないでよっ。
「浮かない顔して、如何したのさ? 山田さん」
「!?!…たっ…なか、君……」
騒がしい教室。
いつも通りの風景。
でも、隣の席の彼が、あの優しい顔で、声で、尋ねてくる姿は、以前とは違う。あたし以外、気付かない、ササイなコト。
「もしかして恋…なワケないっか。山田さんだしね? 」
「だしって何よ!? あたしが恋したらオカシイの?! 」
「いっ…、いやっ…そーゆうワケじゃ……」
--あっ! いつものやり取りだ
デリカシーの欠片もなくそう言い放つ田中くんに、此処最近のあの優しい言動は単なる気まぐれだと解り、もう少し味わっていたかったなぁと思う反面、ホッとする。
「…いつもの田中くんだ」
「えっ? 」
「!? っ……うんん。コッチの話」
いつも通りの田中くんに戻った事が嬉しくて、嬉し過ぎて、……だから、視界に映る彼が、ほんの少し傷付いた様な顔で此方を見つめる理由が解らなかった。
【田中side】
最近、山田さんが可愛過ぎて、如何対応すればイイのか困る。
…語弊があるので付け加えるが、元々彼女は可愛い……黙ってさえ、いれば…。
「……なんでだろ…? 」
考えてみるが、それらしい理由が思い付かない。
「………」
まさか!? 山田さんを好きに…なワケないっか。だって僕は、香織ちゃんや由美ちゃんみたいな「女の子」って感じのコが好きで……そういや偶に、山田さんの事を「女の子なんだなぁ」って思う時がある…じゃないっ! ないっっ!!
「っ……」
思わずかぶりを振って、しまった! 今の行動の理由を尋ねてくるんじゃ…と好奇心旺盛で、お節介な隣の席の人物を盗み見ると、彼女は……憂いを帯びた顔で、溜息を吐いていた。
今迄見た事がない…「女の子」な表情で……
「浮かない顔して、如何したのさ? 山田さん」
「!?!…たっ…なか、君……」
気付けば話し掛けていた。すると、驚いた様な顔で此方を見る山田さんに、失敬だなぁ、と思う反面、先程の憂いを帯びたモノじゃなくなった事にホッとする。
……なんとなくあの顔は、誰にも見せたくなかった。
「………」
騒がしい教室。
いつも通りの風景。
でも、隣の席の彼女は、「知らない女の子」の顔を偶に垣間見せてて…以前とは違う。僕以外、気付かない、ササイなコト。
「もしかして恋…なワケないっか。山田さんだしね? 」
「だしって何よ!? あたしが恋したらオカシイの?! 」
「いっ…、いやっ…そーゆうワケじゃ……」
「…いつもの田中くんだ」
「えっ? 」
「!? っ……うんん。コッチの話」
ホッとした様子の彼女に、いつもの僕ってなんだよ? と、聞き逃さなかった台詞の真意を尋ねたいも、ソレを訊くとまた山田さんがあの憂いを帯びた「知らない女の子」の顔をしそうな気がしたから呑み込んだ。
………ねえ、山田さん。君のいう「いつもの僕」ってなんだい? 君は、「いつもの僕」じゃなきゃ、受け入れてくれないのかい? じゃあ、僕が君に抱く、此の想いは……
「!?! っ……」
--僕は今、なにを考えた?
騒がしい教室。
いつも通りの風景。
…でも、僕の心臓はいつもよりも脈を打っていて、誰もソレに気付く事は無かった。
了
後書き
無自覚に山田さんに恋をし、優しくしていた田中くんの話なのですが、伝わりづらい内容ですみません( ;´Д`)
前の小説の後書きで、これ以上の糖度高めは下ネタが…発言で、、
実際どうなんだろう??と、過去作の糖度高めだろうと思うものを、少しだけ読み直したのですが……うん。
((↑………うん??(OvO)???




