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Rd end (アールドエンド)  作者: 十画
第四章 死の願い
96/216

5 ツンデレッド


「お前達……何を遊んでいる」




「れ、レッド!」


 レッドがスタスタとリヴィア達に向かって歩いてきていた。その間も白虎は風の速さでリヴィア達へと迫ってきていた。


「だ、ダメよレッドっ! 危ないわっ!」


 リヴィアはこのままではレッドが白虎に切り刻まれると思い、制止させようとするが、レッドはそんな事知るかというような足取りで進んでくる。


 あまりにも自然に進んでくるレッドに、リヴィア達は焦るが、既にレッドの元へと吹き荒れる暴風の塊となった白虎が迫る。



 ーーーー切り刻まれるっ!



(だ、ダメっ! 間に合わないっ!)



 そう思って直視出来ずに目を背けるリヴィア達だったが、肉を切り裂く音ではなく、魔獣の悲鳴のような雄叫びが聞こえるのであった。


 グルァァア……


 何が起きたのか、ソッと目を開けて見てみると、レッドが片手を突き出しているのが見える。


「へ、へ?」


 その間抜けな声をあげるリヴィアに、みんな感謝する。全く同じ声をあげる所だったからだ。


「何を遊んでいるのか聞いてる」

「あ、えっと……遊んでたんじゃなくてね……その……」


 レッドが相変わらずな声でリヴィア達に尋ねる。リヴィアは困惑しながらも必死に説明しようとするが、チラッとレッドの左手に掴まれている精霊を見て汗が流れる。


 が、ガァア、ガガ……


 じたばたともがく哀れな精霊がそこにはいた。レッドの左手に首根っこを掴まれ、前足をバタバタとさせている。まるで小さな子猫を持ち上げているような形だ。


 えっと……何、このイケメンムーブ? といったように絶対絶命のピンチをなんでもないような涼しい顔で救うのだからたまらない。


「一応、今私達はその掴んでる精霊さんに殺されかけてたのだけど……」

「………………」


 リヴィアがそう言って、レッドの手に収まる哀れな白虎に指を向ける。それに対してレッドは視線だけ白虎に向けると、フン……というように白虎を離す。


 ガル、ガァア!


 解放された白虎は一気に距離を取り、レッドに対して最大限の警戒態勢を取る。リヴィア達は「せっかく止めてたのにぃぃー!」という表情でレッドを見る。


「ちょ、な、何やってんのよっ!」

「……何がだ?」


「……何がだ? っじゃないでしょっ! どうしてせっかく捕まえたのに離したのよ! 殺されそうだって言ってんでしょ!」


 レッドの顔と声のモノマネをするリヴィアに、ちょっと似ていたので「ぶふっ」っと笑いを堪えられず、ヴァルが吹いてしまう。そんな笑うヴァルをキッと睨むリヴィアに、ヴァルは必死に口を塞いで息を殺す。


 ガルル……ガァァア!


 そんな事をしていたら、白虎がレッドに向かって飛びかかる。言わんこっちゃないとリヴィア達が「キタァァァア」と叫ぶが、レッドは落ち着いた様子でその動きを見極めて、最小限の動きだけで躱しきる。レッドの黒いローブが、ぶわぁぁあっと風でなびく程度で、特に影響はなかった。


 が、ガル?


 殺せたと思っていたのか、白虎は困惑するようにレッドへと向き直る。レッドも白虎へと身体を向けてジッとその動きを見つめる。


 ヴヴヴ……


「………………」


 唸り声をあげて白虎はレッドと対峙している。リヴィア達はその様子を見ながら、「ホントにレッドって何者なのよ」っと心の中で叫ぶ。しばらく睨み合っていた両者であったが、レッドがタメ息をついてその緊迫した状況に水を差す。


「帰るがいい。用はない」


 ヴヴヴ……アウ?


 やたらと可愛らしい鳴き声をあげて、お尻を付けて前足で上半身を持ち上げるにゃんこ座りする白虎。「はっ!?」とリヴィア達は白虎の姿に信じられないという顔で目をひん剥く。まるでツンデレの切り替わりを目にしてしまったかのような衝撃だった。


 何となく白虎の尻尾が嬉しそうにフリフリしているようにも見える。


「あ、あのぉ。レッド? これはどういう事?」


 恐る恐るリヴィアがレッドに尋ねる。白虎を見ると、まるで可愛らしい大型犬のようにハッハッしている。リヴィアの汗が止まらない。


「知らん。それよりもお前達。このまま北を目指して行け」

「北……? 何があるの?」

「大きな街がある。そこで魔王候補者を探して倒せ」


 突然の言葉にリヴィア達は「ハァァ!?」っとなる。キアラは大人しくなった白虎に懐いて、じゃれ始めているようだった。きっとキアラはどんな時も平和な心の持ち主なのだろう。


「ど、どういう事よ?」

「おい、何が起きてるのか説明してもらおうか?」


 ニコレットとヴァルがレッドへと問い詰めるが、レッドはいつも通りの表情と声で言う。


「魔王候補者がそこに逃げ込んだ。それだけの事だ」


 ヴァルの顔が、まるで何処ぞのヤ〇ザのようになる。ニコレットもやれやれという表情のようだ。


「そんなんでわかるかァァ!」

「何故だ……? お前達が理解出来ないのが理解出来ん」


 リヴィアが二人の代わりに吠えるが、レッドは感情が読みにくい表情のまんまでリヴィアに理解出来んと言い放つ。


「アノ、レッド殿。魔王候補者と言うのは、ダラックという大男と同じような、第二の魔王の人のことでショウカ?」

「そうだ」


「デハ、どのような人なのかワカリマスカ?」

「分からん。魔王の気配を感じるだけだ」


 緑の生体兵器が冷静にレッドから情報を聞き出していく。その姿に、リヴィアとニコレット、そしてヴァルは今度からレッドの交渉にはコイツを使おうと心に誓うのだった。


「ツマリ、どんな人物か分からないけども、確実にその街のどこかに魔王の次の候補者がイル、という事デスね」

「そう言っただろう」


 色々端折りすぎてよくわからないよレッド……という表情で三人がレッドと緑の交渉人を見つめていた。キアラは既に白虎の背中ではしゃぎまくっていた。そんな白虎はというと、会話が区切れたのを確認したのか、レッドの元にトコトコとやって来て、まるで頭を撫でて欲しいというように頭をレッドの前に差し出す。


 ハッハッハッハッ……


「………………」


 レッドはおねだりしまくる白虎を見つめていたが、タメ息を吐いて軽く頭を撫でてやる。その光景に全員が目を丸くして見ていた。


(れ、レッドが……デレたっ!)

(あのレッドがっ!?)

(ウソだろ、おいっ!)


 するとレッドがおもむろに白虎に向かって「北の街へコイツらを送れるか?」と尋ねていた。ガルっガルっ! とまるで任せろと言うように小回りしている白虎。リヴィア達は「え? 会話出来るの!?」と驚愕していた。


「れ、レッド? 会話出来るの?」

「ああ、言葉に魔力を乗せるだけだ」

「へ、へぇ……って、出来るかぁ! アンタ、デタラメ過ぎよっ! そんな事が出来ることすら知らないわよっ!」


 リヴィアが叫ぶ。ニコレットもヴァルも同じことを思ったようで、コクコクと頷いている。すると、レッドは「そうか……」といってリヴィアの喉に手を当てる。


「な、なに?」

「動くな」


 いきなりの事で動揺するリヴィアだが、レッドの指示通り動かないようにする。すると、レッドの手から白い光が現れ、リヴィアの喉へと吸い込まれて行った。さらに両手をリヴィアの両の耳に当てて、同じように白い光を吸い込ませる。


「終わった」

「お、終わったって……何が……?」


 ガルっガルっ(主様)


「!!!」


 白虎の声が聞こえる。


 ガルルルン(早く行こう)


「!!!」

「聞こえるようだな。こちらの声も奴に伝わるはずだ」


「ま、まさか!?」

「そんな魔法があるたァ驚きだ……」


 レッドの魔法によって、白虎の言葉が分かり、言葉も通じるようになったようだった。精霊の声が聞こえるようになって戸惑うリヴィアであったが、これはこれで楽しいのでテンションがハイになる。


「す、凄いよコレっ! 声が分かる! 聞こえるよっ!」


 ポカーンとするニコレットとヴァル。そして、レッドは他の四人にも順番に魔法を掛けていくのであった。そうして、リヴィア達は精霊と会話が出来るようになり、北の街を目指すことになるのだが、交渉人グリーンメイルは魔法の効果の恩恵が受けられず、テンション爆上がりのリヴィア達とは対照的に、失意の底へと追いやられるのであった。




最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

虎なのに犬っぽいって、、、


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