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Rd end (アールドエンド)  作者: 十画
第三章 魔の歴史
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31 ドラゴ・ハーツ

 キアラは真っ直ぐにダラックへと向かう。ダラックもキアラに向かって歩き始める。距離が少しづつ縮まり、それに合わせてお互いが小走りし始め、加速する。


「獣拳 豹牙(パンサー・ヴァイト)!」

「獣王拳 疾風の連弾(ヒュウ・イ・ガガ)!」


 ダラックの巨大な腕がいくつもの高速パンチを繰り出し、まるで一枚の巨大な壁となって迫ってくる。キアラはその高速で放たれたパンチを床スレスレを滑り込むようにして躱し、懐に潜り込む。そして、その無防備な喉元目掛けてジャンプして強力な突きを繰り出すが、間一髪頭を振ることで躱すダラック。


 頬を掠ったようで、切り傷のようなものが出来、血がスーッと流れる。しかし、ダラックは見逃さない。空中で無防備になったキアラへと左手の裏拳を繰り出すが、その裏拳に対してキアラは跳び箱を飛ぶような形で避ける。


 しかし、避けられると分かっていたようで、ダラックは右手を開いて掴みにかかる。そして地面に叩きつける。


 バゴンッ


 ダラックの右腕が地面をへこませるが、そこにはキアラはいなかった。



「チッ……ちょこまかと動きやがって……」


 シュタッ


 キアラがダラックの背後に着地する。一瞬の攻防であったが、明らかにダラックの攻撃が反則的な威力だった。キアラが一撃入れるために、二手三手と攻撃がやってくるし、一撃でも食らえば命はないだろう。


「なんで……」

「? ああん? 何か言ったかぁ?」

「なんでジハードちゃんを殺したのっ!」


 キアラは身体を震わせて叫ぶ。


「なんで……か。オレ様のオヤジはな。家族も村も全てコイツに奪われたんだとよっ!」

「嘘だっ! ジハードちゃんはそんな事しないよっ!」


「知るかよォ! 大体なぁ、オレ様が産まれる前の話だ、知ったこっちゃねぇさ」

「じゃあ、なんーーーー」

「奪われたからさっ!」


 キアラが言い切る前にダラックは叫ぶ。ギリギリと拳を震わせるダラック。


「オレ様はな、お前達を倒すために生まれたのさっ! 復讐に囚われた哀れな男が、オレ様という怪物を産んだのさっ!」


 まるで小馬鹿にするように自分の過去を語るダラック。そうでもしないと、馬鹿らしくて嫌になるのだろう。


「復讐、復讐、復讐! 幼いオレ様に、あの男は復讐という玩具しか与えなかった。お袋はあの男からオレ様を守ることすら出来ず、逆らうことすら許されなかった。そしたら幼いオレ様はどうすりゃいい? 従うしかねぇよなぁ? おい」

「……それで? だからってジハードちゃんを殺していい訳なんてないよっ!」


「そいつのせいでオレ様の人生は狂ったんだ。だから、あの男が殺されて自由になったオレ様は何をしたっていいのさっ! あの男を殺せなかった分、きっちりお前達でツケを払ってもらうぜぇ?」

「そんな事で……そんな事でお前はぁぁああ!」


 キアラは怒りに任せて殴りつけるが、巨大な腕でガードされてしまう。


「へへっ、どうした? お前の怒りはこんなもんか?」

「くっ、このォ!」


 黄色いオーラを纏った右手でベア・ナックルを繰り出すがビクともしない。逆に腕に装着していた手甲が砕けてしまう。


 バギンッ


「!?」


「こんなんじゃ足りねぇ! オレ様の怒りが食い足りねぇってよォ!」

「あああっ!」


 ガードしていた腕でキアラを弾き飛ばす。大きく後退するが、何とか体勢を立て直すキアラ。グイッと腕で口元を拭う。


「オレ様がお前ごときの怒りなんざ呑み込んでやるよ……さぁ本気で来いや!」

「何があったかは知らないけどっ! それでも他の人を傷付けていい事なんてないよっ! お前は間違えてるっ!」


「ならよぉ……その間違いってヤツをお前が正して見せろやっ!」

「っく!」


 ボガァン


 ダラックが飛びかかって殴りつける。キアラは咄嗟に避けるが、キアラがいた場所の地面が弾け飛び、小さなイシツブテがキアラを襲う。何とか腕を組んでガードするが、視界が遮られた事で致命的な痛手を食らう。


「ガラ空きだぜぇ!」

「コハッ!」


 ダラックが腕を払い広げた手の中指がキアラの腹部に直撃する。小さな身体がくの字に折れて、肺の中の空気を強制的に吐き出される。


 キアラの身体はピンボールのように跳ねて、地面、壁、ジハードの身体へと吹っ飛んでいく。


「カ、カハッ、ゴホッゴホッ……」

「ハンッ、口ほどにもねぇな。あばよ! ガキンチョ。あの世で親父に伝えてくれや」


 痛みで身動きが取れないキアラ。そんなキアラの元にダラックは歩み寄り両手を頭の上で組む。キアラはその様子を苦しげな表情で見上げている。


「お前が負けた相手は……オレ様が倒したってなぁ!」

「う……くっ!」


 振り下ろされる腕に、キアラは死を覚悟する。しかし、その腕は振り下ろされる所で止められる。


 グルアアアア!


「! こ、コイツぅぅう!」

「じ、はーど……ちゃん」


 ジハードが顔だけ動かして、ダラックの腕に、その強力な顎で噛み付く。食いちぎろうとするジハードだが、その力はほとんど残っていなかった。


「こんのやろぉうがぁ!」


 グルア……


「ジハードちゃんっ!」


 簡単に引き剥がされ、振り払われるジハード。ダラックの両腕はダラダラと血が出ている。何とかキアラのピンチを救うことが出来たが、これが最後の力であった。


「くそがァ!」


 ボゴォン ボゴォン


 もうピクリとも動かないジハードの顔を殴るダラック。その姿を見てキアラは涙が溢れすぐさま身体を起こすが、食らったダメージは予想以上に大きかった。


 ふらつき、ジハードの身体に手を付くキアラ。必死な想いで叫ぶ。



「私の大事な友達を虐めないでぇぇえ!」



 すると、ジハードの身体に触れている手から、ドクン、ドクンと鼓動が伝わってくる。何が起きているのか分からないキアラ。えっ? という表情で触れている手を見る。

 そこはジハードの心臓の辺りであった。生きている? しかし、もうジハードは動いていない。動いていないのに、心臓が動いていた。それも力強く、しっかりと。


(大丈夫ーーーー泣かないで、キアラ)


「ジ、ジハードちゃん……」


 キアラはジハードの声が聞こえた気がした。そしてその鼓動のする場所に耳を当てるように身体全体で寄りかかる。ジハードと過ごした日々は僅かであったが、まるで母親のように接してくれていた。



 キアラも無意識に感じていたのだろう。母親のような愛を。



 キアラの涙がジハードの身体に零れる。すると強烈な赤い光がジハードの心臓部分から放たれる。夢中で殴り続けていたダラックも、その光に手を止める。



「これは……?」


(ホラーーーー行こうよ。ーーーー一緒に)


 その光はやがてジハードの身体からゆっくりと飛び出し、綺麗なピジョンブラッドの結晶となって現れる。そしてキアラの胸の辺りまでやってくると、キアラごとその赤い光が包み込む。


「ぐっ……なんだこりゃあ! どうなってやがるっ!」


 あまりにも光が強烈でダラックには見る事も出来ない。そのため何が起きているのか全く分からないでいた。



「……そっか。分かったよジハードちゃん。一緒に戦おうっ!」



 光に包まれてキアラは理解する。その結晶はジハードの心臓。そして、その結晶とキアラは一つとなる。




「アイツを倒そう……私達でっ!」



最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

ジハードの意志を受け継ぎ、キアラは進む。

この悲しみの連鎖を断ち切るために。


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