表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

5/5

04話ダンジョン

短めです。

 一人残された俺は石造の建物に魅入ってしまっていた。

 石で作られていて、その周りに苔やツタが生えている。

 いかにも怪しそうな建物だ。

 こう、幽霊の類が大量に出てきそうな感じだ。

 だが、好奇心には勝てない。

 少しだけ中を探索して見ることにした。




ーーー


 中は一室しかなかった。

 というか、何もない。

 ただ石造りの床と壁に覆われている空間が広がっているだけだった。

 広さは16畳ほどで少し湿っていてどんよりとした感じだ。

 

 「この溝を押したりしたら地下の入り口が開くとかないかな?」


 こうゆう時のお約束だ。まだ希望は残っている。

 こんなに怪しい建物が何もないはずがない


 ガコッ。


 「おっ..ビンゴだな」


 入り口に向かって正面の壁に1畳ほどの空間ができた。

 しかし、どう考えても子供にしか通り抜けられない狭さだ。

 これを作ったやつは余程小さかったのだろうか。

 

 奥に魔法陣が書いてある。

 このタイミングはどう考えても転移魔法陣だ。

 オタクとしての勘がそう言ってる。

 

 「さてさて..冒険の始まりだな」


 俺は魔法陣に飛び乗った。




ーーー


 

 魔法陣に乗って転送された場所は地下牢みたいな場所だった。

 錆びた鉄格子が辺りに散らばっている。

 壁は相変わらず石でできているのでここもさっきの建物の一部なのだろうか。

 通路に設置された松明が辺りを照らしているが、正直怖い。

 ダンジョンみたいなものかと思っていたので魔物が出てくるのを覚悟していたが、よくよく考えると俺は戦闘が全くできないし出てきてもらっては困る。

 出てきたらすぐに逃げよう。


 少し通路を進むと一つの部屋にたどり着いた。

 どう考えてもボス部屋みたいな雰囲気が漂っている。

 入ったら即死とかにならないだろうか。

 不安だ。


 ドアは普通に押したら開いた。

 真っ暗だ。何も見えない。

 仕方がないので通路にあった松明を一つ拝借していく。

 

 「あのう..誰かいませんか...」

 

 急に心細くなってしまったから声に出してしまう。

 当然、何の反応もない。

 ここにも何もないのだろうか。


 ザクッ。

 

 何か硬いものを踏んだ気がした。


 「うわぁああああああああああああああ!!!!」


 白骨死体だ。

 頭蓋骨の左側がない。

 初めて死体を見た。気持ち悪い。

 魔物に襲われたのだろうか。

 一応、合掌しておいた。

 成仏しておくれ。


 

 奥の方に行くと、一際大きな骨の塊があった。

 大きさはゆうに30mは超えている。

 翼のような部位があるからドラゴンとかそういう類の魔物なんだろう。

 こんなところではまともに食べものにもありつけず、餓死してしまったのだろう。

 この部屋のガーディアンとか、そんな立ち位置だったのがわかる。

 あんなのが生きていたら俺なんて一口で食われて死んでしまう。

 よかったよかった。



 最深部までおよそ300mくらい歩いただろうか。

 祭壇らしきところがあった。

 何とも豪華な装飾だ。

 大理石の階段に何やら神々しい光が差し込んでいる。

 ギリシャとかにありそうな風貌だ。

 祭壇の真ん中にここには似合わない禍々しい剣が刺さっている。

 刀身は少しギザギザしていてノコギリみたいだ。

 取手は赤と黒が基調とされていて聖剣という言葉は似合わない。

 どう見ても触っちゃいけないやつだ。

 だけど、こんな所に刺さってるくらいなのだからお宝だったりするのだろう。

 持ち帰っていいのだろうか。

 悩んだ末に引き抜くことにした。

 

 「はぁぁっっ!!うおっと.....」


 力一杯引き抜いた方がいいと思って全力で力を加えたが、あまりちゃんと刺さってなかったみたいだ。

 転びかけてしまった。

 

 刀身はところどころ錆びていて、お世辞にも切れ味がいいとは言えなそうだ。

 しかもこの剣を持っていると何だか体がだるくなってくる。

 重いからだろうか。

 この刀身のギザギザに当たったらかなり痛そうだ。

 気をつけよう。

 まぁ、錆びた剣でも戦利品は戦利品だ。

 ありがたく受け取っておこう。


 剣を抜くと、祭壇に魔法陣が浮かんできた。

 元いた場所に戻れるのだろうか。

 どこに行くとしても乗るしかないのだけれど。

 

 魔法陣に乗ったら元の石造りの建物に戻っていた。

 最初に乗った魔法陣がある空間を覗いてみると、もう魔法陣はもう光っておらず、見るからに効力を失っていた。

 一回こっきりだったのだろう。

 

 建物を出ると、辺りは暗闇に包まれていた。

 アルベルト達が心配する。

 急いで帰ろう。

 

 そう思って、俺は走って帰った。

 


 

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ