プログラム2
やぁ、皆んな。元気かな?今日もプログラム通りにしか動くことのできない魔王カースだよ。まったく、プレイヤーというのはどんだけ私を倒したら気が済むのだ。今日だけでもう、死んだ回数が3桁を超えたぞ。今度なんでこんなに倒すのか理由を盗み聞きしよう。流石に殺しに来すぎてるだろ。さてさて、今日は先ず私は大切な事に気がついてしまったことについて。それは……。私は魔王なのに、この自分の城の事を何も知らない。私が知ってるのはこの部屋だけっていうね。私の知る世界は狭いよ!という事で、殺し屋という名のよく来るプレイヤー達に色々と聞かせてもらった。あいつらをもう勇者と言いたくない。そして、一方的に話してるのを聞くだけなんだけども、情報を手に入れれた。命と引き換えにな!
この私が住む城、1番の特徴は初心者というプレイヤーに向いている城らしい。どういうことかというと、罠が少なく安全だとか……。それ、魔王の城としてどうよ?しかも、罠はワンパターンで覚えたら安全に避けれるし、最悪発動せずに私のところに来れるらしい。城のプログラムよ……。警備を見直せよ。そして、この城に居るモンスター。私の配下で良いのかな?そいつらはなんと……。5種類しか居ない!その内3種類は弱いとか。草原とかにも居るモンスターなんだとさ。ここ、城だよね?魔王の城だよね?なんで野生のモンスターが居るんだろうか?その3種類はスライム、ゴブリン、フォレストウルフという名前らしい。何故、フォレストウルフを城内で……。フォレストって絶対に城より自然な名前付いてるのに。自然に返してあげたい。
だがしかーーし!残りの2種類は、そこそこ序盤では強いという。1体目は、ニセカネというここだけではなく、いろんな城?ダンジョン?とかで見かけるモンスターらしいのだが。なんでも、お金!と思い触れるとモンスターで、なにかと面倒とかなんとか……。もっとちゃんと強さを知りたい。
2体目はこの城の、私の部屋に来る為に倒さなければならないモンスター。その名も、スカルライダー。バイクに乗り、体当たりを集団でしてくる団体だとか。しかし、骨なのでほぼ1体、1体が1撃で倒せる弱さ。囲まれなければ平気!との事。もう少し頑張れ。
そんな情報を、プレイヤーから聞いた時には泣きたくなったよ。どんな城だ。そして、この城の魔王は最弱と呼ばれさらにカス呼ばわり……。おのれ、プログラムめ!どこまでも馬鹿にしやがって。あ、またプレイヤーが来た。俺の台詞はカットさせてもらいます。もう毎回同じなんで鬱陶しい!
「ここが魔王の部屋かぁ」
あれ?このプレイヤーは新鮮な感じだな。荒々しくない。
「行くぞ、魔王!」
数分後
「どうしよう……。もう体力が無い」
おいおい、こんな実力で私に挑んで来たのか?これが初心者というプレイヤーだよな。弱いな。
「弱いとかって噂だったのに!負けるのかよ」
えーー、そんないくら弱いっていってもねぇ。なんか魔法もろくに使えないプレイヤーなんかには、負けないだろ。BOSSと呼ばれてるぞ?私は一応。
「ちくしょう」
そう言ってプレイヤーは私に消された。そして、私はいつもと同じリセットされて、椅子に座る。しかし、勝ってのリセットはなんだか気持ちが違うよな!爽快感がある。あのプレイヤーはまた来るだろうか?次のプレイヤーもあんなんが良いな。また勝ちたい。
数日後。
あーー今日も死にまくりだ……。本当になんであんなに強いプレイヤーはわざわざ私を倒しに来る?経験値効率とかなんとか言っていたが、それが関係あるのか?それともドロップアイテムがどうのこうのとかも言っていたな、そっちか?うーーん。よくわからないな。というよりも、初心者にオススメではないのか?私の城は?
ギィ……。
ん?扉が開いたな。またプレイヤーか、どんなプレイヤーが来たのかな、今回は。
「やっと……。この時が来た! リベンジだ!」
お?あのプレイヤーはこの前の初心者プレイヤーという奴じゃないか。という事は今回は勝てるな。フッフッフッ、かかって来い。あの爽快感をもう一度!
「オラァ!」
あれ?
「くたばれや!」
コイツってこんなに強かったか?この数日で強くなったのかな?ヤバイな……。しかし、まだこの程度で負ける俺ではない!お前の強さでは勝てないな。
「お前にはこのアイテムが効くって知った。くらえ! レーザーボム」
ゲッ!アレは、あの爆弾使われると殺されるか、動きが悪くなるんだよな……。この卑怯者め!
「おお、本当に弱くなってる。覚悟!」
目を開けると……。私は椅子に座っていた。そして悟った。ああ、負けたんだなって。初心者プレイヤーも強いじゃん……。あれ?あいつに魔法使われたっけ?さっきの戦いで近接しかされてなくね?その後、この日そのまま私は負け続けたのだった。こっちも、強くなれないかな?プレイヤーばかり、ずるいなぁ。