プログラム12
ん?あーー、この感覚。運営が何かした後の感覚だな。ちょくちょくあるんだよな、意識が無くなる感覚。まぁ、今回も異常は無いかな?私も特に動けるわけになったわけじゃないし。
「どうかなさいましたか、カース様?」
どうかしたって、私は特に変わってな……。え?今の誰だ?
「カース様? 何故何もお話をして頂けないのでしょうか。何かマールは粗相でもしましたでしょうか?」
夢?これは、なんかうん。駄目だろ。落ち着け、落ち着け。よし……。いやいやいやいや!なんだこれぇ!なんでマールが動いて、話してえ?ちょっと待って、え?何これ!
普通さぁ、私だろうが動くの。こう、目が覚めたらなんかいつもと違って、私なんか動けてね?ってなって驚いてさ。それでどうしてだ?まさか、プログラムにとうとう……。みたいな展開になるんじゃいかな?なのに何マールのプログラムをおかしくしてるんだよ。
「ど、どうしよう。カース様が無視をされている。マールは何をしたのでしょうか? 侵入者を倒せなかったから? そばに居るのに面白い事を何も言えないから? まさか! 侵入者達がカース様をカスと呼ぶのを、こっそりと笑ってたのがバレてしまったのでしょうか!」
うん。今バレたよ、この裏切り者めが!てめぇ、私の側近のくせに何を笑ってんだ?そこは怒れよ!
「ち、違うんですよ! マールはカスっていうのがその、響きが可愛いなぁって、その思いまして……」
思うかぁ!んな呼びに可愛いって思ったらどんだけ残念な子だお前は。
そんなこんなを話していると、いつもの時間がやってくるわけで。まぁ、扉が開く。
ギィ。
「侵入者ですね。ここはマールが汚名を……。なんだっけ? 挽回じゃなくて、返上? とにかく、やっつけてカース様の機嫌を直してもらわなきゃ」
この状態のマールが戦って大丈夫なのか?プレイヤー達がとても混乱するだろう。
「侵入者め! 覚悟しろ、このマール様が殺してやる」
「あれ? 設定変更されたのかな?」
「なんかパターンおかしいよな。なんだこれ」
「くらえ!」
「え! ちょっと戦闘に入るのがなんか完全におかしいってこれ!」
「いきなり襲いかかる仕様になったのか? 初見のプレイヤーキルか? レベ低い奴だと今の普通に死んでるぞ」
「まだまだ行きますよーー。そりゃあ!」
「おい、攻撃パターンが完全に変わってる。てか、なんか動きがプレイヤーっぽくてやり難い」
「2対1なのにこの動きって……。中に人いるだろ」
なんか、マールが凄いんだけど。あいつって、剣を投げたっけ?うん?あんな蹴りとかしてたか?うわぁ、相手の武器奪って攻撃してるよ。これが、自由なのか。
「おい……。これは完全にバグだろ」
「バグって、お前こんなバグあるのか? 聞いたことないぞ? 相手のアイテムとか奪ったり、自由に話したりするなんて。俺は中に人説のが正しいと思う」
「何を喋ってんですか? まぁ、もうこれで終わりですけどね!」
そう言ってマールが2人のプレイヤーの間を駆け抜けた。プレイヤー達は消滅して、そしてリセットである。
「あれ? いつの間にマールはカース様のそばに来ていたんでしょうか? まぁ、いいか。どうでしたかカース様? 満足して頂けましたか?」
いや、うん。凄かったよ?でもね、私は話せないからね。憎たらしいなお前の自由さ。
「んーー。カース様は何故お話をしてくれないのでしょうか。まだ働きが足りないのですかね?」
これは、どうしようかな。困ったな。そもそもなんでマールは自由を手にしたのか、それが1番の疑問だ。その謎さえ分かれば、私も自由になれるのに。
ギィ。
考えている途中でもプレイヤー達はお構いなしだな。
「ほら見ろ! マールがあんなに動いてんだよ! おかしいだろ?」
「たしかに、変だな」
「俺達は普通にやられたからな。こいつはバグだって言ってるんだが、俺は中に人が入って操っている説なんだ。検証してくれね?」
「検証って……。どうすんだよ」
「あれ? さっきの人達ですか。でも、1人増えてますね。また殺されに来たんですか?」
「ほら! 俺達の事を覚えているって、ありえねぇって」
「マジか。覚えられてるって予想外だわ」
「とりあえず、俺が戦ってみるよ?」
「おや? 3人居るのに、戦うのはそこの人だけですか? つまらないですね」
「会話が成り立ってる時点でおかしい……」
「さてと、じゃあ……。死んでください」
またマールが戦闘しに行った。やっぱりこの状態は変なんだよな?あのプレイヤー達も言っているんだし。てか、中に人ってなんだ?マールの中に人?……え?マールって妊娠しているのか?おいこら、相手は誰だ?てか、そんな状態で暴れたら駄目だろぉぉぉぉ!マール今すぐに戦闘を止めろ!私と代われ!
「うーん。PVPに近いって言われたら、確かに近いかも?」
「そうだろ? やっぱ中に人が……」
「そうなると、運営がやってんの?」
「お喋りしている余裕があるんですか?」
なんか……。妊娠じゃない感じか?運営という言葉、中に人、自由なマール。ここから導き出されるのは!わかるわけないだろ……。そして、 PVPってなんだよ。
「くっ、そこの2人より強い」
「悪いけど、倒させてもらうね!」
連れて来られたプレイヤーが今度はマールを倒した。
ん?待てよ、私はこの後の行動は。
「グハッ。くっそぉ、で、でもまだ動けるもんねーー」
あれ?あれ?体が動くぞ勝手に。ストォォォップ!今は駄目だって!
「あ、カース様。すみません、もう少しお待ちくださいね。そしたらあいつらを」
「邪魔だ、消えよ」
「え?」
私はマールを消しとばした……。空気が死んだ。私が消えたい。
「なんか、俺今ブチギレそうなんだけど」
「安心しろ、俺もだから」
「設定って分かってても、なんかこれは別ものだよね」
3人から殺意を向けられる。そりゃそうだ。
そして私は瞬殺で、おそらく最速記録なんじゃないかな?リセットされた。
横には今マールが居るわけで、さぁなんて話がて来る!
「……」
あれ?嫌われた?恨まれた?話しかけて来ないな?
ギィ。
「聞いたか? 噂だとマールちゃんが活発に動いてるらしいぞ」
「楽しみだよなぁ」
あ、プレイヤー達。ナイスタイミング。これでマールの反応がどう出るか。
「魔王様、侵入者を排除して来ます」
あれ?戻った?
「おいおい、変わってなくね?」
「なんだよ、デマかよ」
マールのその後台詞も戦い方も全部元に戻っていた。あの一瞬の自由なマールはなんだったのか?何故戻ったのか、謎が多すぎる。




