プログラム9
死ぬ!いや普通にいつも殺されてはいるのだが、なんなんだこのプレイヤー達の攻めてくる回数の多さ……。今までの何倍以上も来てるぞ!
またアップデートされ、意識を失っていた私が目を開けたら早速プレイヤーがやって来たのだが、今までと様子が違った。今まではこう、楽しそうに私を倒しに来ていたのだ。こんな感じに。
「カスの周回面倒だわーー。かったるいわーー。素材集めも楽じゃねぇ」
とか。
「ほらほら、攻撃当ててみろよ。固定放題BOSSさんよ! あっれーー? 当ててくれないの? ならこっちが当てちゃうよぉ? そぉれ、くらえ!」
こんな感じが多かった。うん、思い出すとイラッとする。しかし、しかしだ!今回はなんか違うのだ!来るプレイヤー達全員が、本気だし遊ばない。それに、なんかブツブツ言っており怖い。
ギィ。
あ、あぁぁ!また来た!見ろ!あのプレイヤーなんてもうここに今日すでに50回は来ているんだぞ!
「邪魔だ側近! 前座はイラねぇんだよ。さっさと出て来いやカス! いつになったらイベ素材落とすんだ? あぁ? こんなに殺してんのに出ねぇとか、センサー働き過ぎだろ。おら、とっとと死ねや!」
怖い怖い怖い怖い。何あれ。もう何を言っているのかわからない。私から何かの素材が欲しいらしいが、もうあげるから来ないでくれ!
他のプレイヤー達もイベ素材とか言っていたけど、なんなんだ?こんな惨劇を作り出すイベ素材という物を、私は持っているのか?何故今まではそんなにイベ素材にこだわっていなかったのに、急に執着しだしたのだろうか……。プレイヤー達に一体何があったのだ。
あ、もうやられた……。
「おら! あーー! また出ねぇ! 期間1週間しかねぇのによ……。カス意外の魔王からも集めなきゃなんねぇのに、なんでここで足止めされてんだ? 他の魔王BOSSから集めに行こうかな」
リセット……。このリセットの感覚がもうされてる気がしない。また出なかったと言っていたな。また来るのかあいつ……。助けてくれぇ。こんな感じの他プレイヤーもまだまだ多く居るんだ!そろそろ私は気が狂うぞ?
今回の原因はイベ素材というもの。前まではプレイヤー達から聞いたことがなかった。ということは、まさかアップデートか!アップデートのせいなのか!運営よ、何をしたのだ……。私に何をしたのだぁぁ!変なプログラムを入れたのか?いや、プレイヤーに変なプログラムを?待て待て、プレイヤー達はイベ素材というのを欲していた。ここがポイントだな。今回のアップデートで私にイベ素材なる物をプログラムしたか、プレイヤー達にイベ素材を集めろとプログラムしたのかそのどっちかだ。どっちだ、どっちなんだ?もし、私にイベ素材がプログラムされていたら、どうやったら自由にそれを出せる?自由に出せればこの恐怖、プレイヤー達の狂気から解放されるんだ。考えろ、私。というより、そもそもプログラムから解放されていないから無理なのでは?いやいや、こうして思考することができるんだ。もう少しくらい何かできるはずだ!
ギィ。
ギャァーー!誰か来たぁぁ!
「落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ落とせ」
「あと何周したら、ドロップしてくれるかなぁ?」
頑張るんだ私よ。心を無にして、イベ素材なる物を考えろ。そして、それを異物と思い出すのだ。プレイヤー達の怖さを忘れろ。さぁ、解放するのです!
「落とせやぁぁ!」
「出せやぁぁ!」
スゥーッとまたリセットされる種間に、プレイヤー達から話し声が聞こえた。
「や、や、やったぁぁ! イベント素材の魔王討伐レベル1が出た! 他のも集めなきゃ!」
やった!出せた……。え?イベ素材って、そんな物なの?というか、私を倒すと討伐レベル1なんだ。そうなんだ。バカにされてる?
「はぁ? なんで、お前は出たのに俺には出ないんだよ」
「そんなの私に言われても……。ドンマイ!」
……。片方だけしか出ませんでしたか、ごめんなさいね。許してください。わざとじゃないんです。なんで、1個しか出ないんだよ!
「レベル5の時付き合ったんだから、これ付き合えよ」
「もちろん! やるってば、そんなに不貞腐れないでよ」
また来るんだ。あははは、地獄が続くよ。誰か本当に助けてください……。く、来るなぁ!




