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幼馴染の婚約者聖女が勇者パーティー追放されたから、俺も一緒に離脱する事にした。  作者: 古森きり@書き下ろし『もふもふ第五王子』


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『賢者の森』再び【中編】


「おや、ライズではありませんか。セレーナは一緒じゃないんですか?」


 イヅル様を呼びに行き、ひとまず家の中でお茶をする事にした。

 気持ちは焦るのだが、泉議会室(ドル・アトル)と『神殿』、そして 八大型主町(エークルーズ)の長たちの準備が整うまで、はここでのんびり師匠たちにこれまでの経緯を説明するしかあるまい。

 お茶が美味しい。

 イヅル様のハーブティーが今日も優しい味わい……。


「ふむふむ、なるほどのう。この世界の聖剣は怯えた勇者を元の世界に帰還させたのか」

「と、思います」

「ある意味では賢明、と言うべきでしょうか? ……しかし、聖剣にそんな機能? が、あるのですね」


 確かにあれは驚いた。

 聖剣が突然光り、勇者ごと消えてしまうのだから……。

 最初なにが起きたのか分からず混乱したぞ。

 ……タニア、最初は師匠に怯えた風だったが、おやつが目の前に現れた瞬間いつものタニアに戻ったな。

 というかお前はさっき『神殿』の食堂でなにか食べていただろう?

 なんでそんなに食べられるんだ。

 これが成長期か。


「ふむ……聖剣というのは世界の在り方、神の在り方にもよるが基本は神器。神力という特殊な力の具現化した姿。神の意志を借りたモノ。神が不要としたのならば勇者も戻る事は不可能ではあるまい。逆も然り」

「……神力……。神特有の魔力……でしたっけ」

「うむ。魔力のもう一段階上の力と思えばいい。その段階に到達するには高い壁がある。そして一度超えるともう戻れない。そんなモノを人が借りて使うのだ、媒体として物質化させるのがもっとも最適」

「…………」


 聞いただけでもとんでもないモノだ。

 見た目は普通の剣だったが、やはり特別なモノなのだな……。

 それを使う、資格ある者——勇者。


「で、その聖剣が選んだ新たな勇者が、今『神殿』にいる、という事ですか」

「は、はい。師匠には断られましたが、イヅル様には多嵐(デッド・タイフーン)や大型結界石の移動の事などで助言を頂きたく泉議会室(ドル・アトル)に来て頂けないかと……」

「私は構いませんよ」

『面白そうだな! 我も行ってやろうか!』

「お主は儂と留守番じゃよ、ステルス。勝手な事をするのなら今ここで喰ろうてもよいのだが、どうしような?」

『はははははは! 留守番くらいこの魔王ステルスにかかればお手の物よ!』


 なにを言っているんだこいつは。


「ライズや」

「は、はい!」

「新たな勇者の様子見もお主とセレーナに任せる。イヅルはこやつらの力になってやればよい。お主とて世界の在り方が変わるのに不安はあろう」

「……ええ、この世界が生まれて以来、神と共に行く末を見守ってきましたが……最近の神はなにを考えているのかまるで分からない……。言い方はおかしいかもしれませんが、人が変わってしまったようです。以前ならば人だけでなく、数多の生き物に等しく『神託』を与えていたというのに、突然魔王を呼び寄せたり、それと人を戦わせるように聖剣を与えたり……。一体どうしてしまったのか……」


 そう言って、イヅル様は天井を見上げる。

 その哀愁の眼差しは、神を懐かしんでいるようにも案じているようにも見えた。

 この世界の誕生から神と共に生きてきた賢者、古龍イヅル様。

 この方でさえ、昨今の神のお考えは分からないというのか……。


「神とは不変でありながら傲慢で我が儘、かつ面倒くさいからのう。ある程度放置して生き物たちを自力成長させればよいものを、この世界の神は過干渉すぎる。それで構ってちゃんになる神も多いが、逆ギレして生き物すべて滅ぼそうと思う神もたまに出る。実に理不尽極まりない」

「ちょ、ちょっと八雲さん、うちの神をそんな神々と一緒にしないでください。きっとなにか事情があるんですよ」

「それならそれでもよいが、神が暴走しておるようなら儂、勇者じゃなくてこの世界の神を始末する事にするからな? 王獣種の本来の仕事はそういう神の暴走や、寿命のある世界を滅ぼそうとする災厄の排除じゃもん。たまには真面目に仕事するぞい」

「あ、あの、師匠が神を殺してしまったらこの世界はどうなるのですか?」

「え? 滅ぶよ。神ってこの世界の全エネルギーの発生源……あらゆるすべては神から生まれ神に帰結する。その心臓を止めるのじゃもん。惑星が死ぬぞ」

「「…………」」


 か、神様……神様……どうかまともであれ……。

 神をも殺す獣がにこにこ微笑んでおられます……!


「そ、それだけは!」

「ははは、冗談じゃ。本当に消したりはせんよ。惑星寿命がまだある場合は、邪な神を粉砕してただのエネルギーにしてしまうだけじゃ。そうすれば惑星は滅んだりせん。まあ、ちょっと惑星寿命が早まったりはするけれど……お主らが生きてる間に惑星寿命が尽きる事はあるまいて」


 ははは、とまた笑う師匠。

 うーん、こういう事を……さらっというのが本当に怖い〜!


「……あ、そういえば……師匠とイヅル様は、多嵐(デッド・タイフーン)の事をどうやって知ったのでしょうか? 『神殿』には多嵐(デッド・タイフーン)の『神託』は未だないそうで……」

「ああ、人間には分かりづらいでしょうね。地核の魔力量が大幅に増えているのですよ」

「……地核の魔力量、ですか?」


 聞けばこの惑星の核となる部分……神がいるところを地核という。

 その地核は世界に満ちる魔力を生成し、大地を巡る地脈、龍脈を用いて世界に放たれる。

 神は魔力を生成する存在でもあるため、その地核の魔力量の変動で神の意思の一端を伺う事が出来るのだそうだ。

 そして今、その魔力量が大幅に変動している。

 増えているらしい。

 それは世界を作り替えるのに必要な量。

 まだまだ増えて、蓄積されている。

 今、こうしている間にも。


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