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女装騎士は未来の王妃を探します。  作者: メグル
シャールについてのあれやこれ
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ハリエットの武器

お読みくださりありがとうございます!

 ピンキーの部屋は愛らしいピンクでまとめられていて、乙女の部屋といった風だった。

 部屋の隅に固めて置かれている物騒な荷物さえ除けば。


「ああ、あれは盗んだやつだからわたしのじゃないわよ」

「盗んだって……」


 戸惑うハリエットに、ピンキーはケタケタと笑った。


「安心して、この家のやつにしかやってないから。こんな面白い場所もそうないから出て行きたくないもの」


 それにしても、あんなに大量の盗品があるのに誰も引き取りに来ないのだろうかとハリエットは思う。


「気づかれないように細工するのも大事よ。逃げる時間稼がないとわたしみたいにか弱い女の子はすぐにやられちゃうからね」


 自分が弱いとアピールをしながらピンキーは、自分がクレヴァン家(この家)の中で一番弱いのだという。


「ま、だからって黙ってやられるようなことはしないけど」


 そう言ったピンキーはハリエットにお菓子付きでお茶を淹れると、ハリエットに何ができるのかと尋ねる。


「なにもないわよ。平凡に生きてきただけだし」


 自慢出来ることはなに一つないとハリエットは吐き捨てるように言う。


「アハハ、でもそんならシャール様が拾うわけないんだよねぇ」


 ハリエットの言葉にピンキーはそう返す。

 見所がなければ、この家の人間は使用人として雇うことはない。だからこそ、シャールが両親の許可を得て雇ったハリエットにもなにが見所があるはずなのだ。


「そうは言ったってなにも持ってないわよ」


 この家の使用人のようになにか特技一つであればいいのだが、何一つとして突出したものはない。

 ハリエットは同情で雇われたと感じている。


 仮にそうであったとしても、この家でやっていけるというのは一種才能であるともいえる。


「シャール様も無理難題おしつけてぇ……」


 とっかかりが何もないと、半ばあきらめ状態のピンキーは大きく伸びをしてため息を吐いた。


 そこに部屋の戸がノックされ、アクセルがやってくる。


「俺のものを取りにきた。掃除をしてくるからここから出るなよ」

「はーい」


 ピンキーは元気よく返事をしてハリエットにもこの部屋から出ないように伝える。おそらく掃除は、家事の掃除とは違うのだろう。


 アクセルは部屋の隅から自分のものを取ると、用事はそれだけだと部屋を出ようとしてハリエットを前に足を止める。


「な、なによ⁉︎ 」

「こんな小娘をアリア様の侍女にとは、シャール様も何をお考えなのか分からん」


 ビビりながらも立ち向かう姿勢を見せるハリエットに対して、アクセルはあきれる風に息を吐き部屋を出ようとするアクセルをピンキーが慌てたように止めた。


「ちょっ、ちょっと待って!今なんて言った⁈ 」

「なんだ、知らないのか。アリア様の侍女に推薦していると」

「初耳なんだけど? 」


 アクセルはそうかと短く返すとさっさと部屋を出て行った。


「アリア様の、ねぇ。アリア様って言ったらど天然で人の――」


 ハリエットを置いてけぼりにしてピンキーが一人喋り出し、今しがた手に入れた情報から答えを探れば胸の前でパンと手のひらを鳴らした。


「そっか! あんたは嚙みついちゃえばいいのよ」

「はぁ?」

「それよ。誰に対しても一歩下がらずにいる感じ。口喧嘩上等でやってきゃいいのよ、決まり‼︎ 」


 お茶を一気に飲み干したピンキーは訳が分からないと顔をしたハリエットを引っ張るとセドリックを探し始めた。


 シャールが用事を済ませて自宅に帰るとセドリックがあのクソガキと怒りを滾らせながらアルバンと戦闘訓練をしている姿があった。




わりとここの使用人は冷静な人が多いですが、家の中ではそうでもなかったり。

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