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入学式

  皆、学生の身分であり平等である――。


 大層に掲げられたそれは、はっきりいって守られていない。親の爵位が子供の地位として校内でも適用される。

つまるところ、親が偉いなら子も偉いのだ。


 さて、そうなると男爵家の令嬢の身分では、できることが少ない。


  このまま、女装をバレずに卒業しろっていうなら、人と出来るだけ関わらず卒業すればいい。

  しかし、未来の王妃に相応しい人間を、見極めるためにはそうもいかない。

 

  見てるだけじゃなく、自分から近づいて関わらないとならない時もある。遠くから見るだけじゃ実際のことは分からない。


  どうしたものか。


  校長の挨拶を無視して考えていると、横から乱れた呼吸が聞こえてくる。


  音の方に振り向くと、青い顔したご令嬢が1人。確か、この顔はマチュー男爵の娘だったか。

 

  さすがに心配なので声をかける。


「あの、大丈夫ですか?」

「大、丈夫、です。高貴な方が多くて緊張してしまって……」

  「そうでしたか。この辺りは、男爵家や平民しか座っていませんから、安心してください」


  安心させるように、柔らかい笑顔で言ってみると、ぎこちない笑顔が返ってくる。


「それ聞いて、少し心が軽くなりました。ありがとうございます」


  入学式が終わって、自分のクラスに向かうと先ほどのご令嬢がいた。


  俺を見つけた瞬間顔に輝きが戻って、近づいてくる。


  彼女はエメリ・マチューと名乗った。

  貧乏男爵家ですけどねと小さく笑って。


  そうそう、ついでに言っておくと王子とも同じクラスだ。護衛も兼ねて同じクラスにされたのだろう。あのヒゲども、覚えてろよ。


  見た目も中身も頭脳も素晴らしく優秀だと噂されるあいつは、付き合いの長い俺からするとけっこうポンコツなところがある。

 

  本当に、どうでもいいことなのに重要なことでやらかす。


  うっかりこの姿の時に気軽に声をかけるなんてことないように願いたい。


  頼むぞ、王子。

エメリは乙女ゲーならヒロインタイプ。

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