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女装騎士は未来の王妃を探します。  作者: メグル
サイドストーリーズ
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ハリエットのその後

ハリエット目線です。

 牢屋の中にわけもわからず突然入れられて、どれだけの時間が立ったのかも分からない。


 ただ、兵士たちが一様にいうのは王子の暗殺計画に加担したということ。


 訳が分からない。


 毎日毎日、同じようなことを繰り返し聞かれて、もううんざりだ。


 今日もまた、牢屋に続く扉が開いて兵士の声がここまで響く。

 ここにいるのはあたしだけ、交代の時間にはまだ早い。


 つまり、また知りもしないことを延々と聞かれるのね。

 うざいったらないけど、暴力を振るわれないだけマシなのかもね。


「知らないって何度言ったらわかるのよ!」


 いい加減嫌になっていたあたしは叫んだ。


 目の前にいたのは、兵士じゃなかった。


 同じくらいの歳の女の子?

 違う、格好からして男だ。


「思ったより元気そうで」

「だ、誰よ。あんた」


 驚いてうわずりそうになる声を無理やり抑えて言えば、そいつはそれに気づいたのかおかしそうに笑った。


「俺はシャール・クレヴァン。バーネイを捕まえた人間って言った方がわかりやすいか」

「ふぅん。聞いたことあるわね」

「バーネイから王子の腰巾着とでも聞いたか」

「そうかもしれないわね」


 こいつ、何しに来たのかしら?


 こんな無駄話のために来るわけないだろうし。


 そんな風に思っていたら、シャール・クレヴァンは牢屋の前の壁に背を預けて話し始めた。


「まず、ハリエットの家について――」

「いらない。どうせ、あたしは家族じゃないもの」


  妹だけが可愛がられて、のけもの。

 居ても居なくても同じの、見えない存在だし。


 どうなろうと関係ないわ。あんな連中。


 シャールは一度頷いて、話を進める。

 何も言われないのもスッキリしないけど、流してくれるのも気が楽なものね。


「そうか。じゃ、ワイス家の説明はいいな。バーネイ家は伯爵の爵位は弟が継ぐことになった」

「そう……」


 そうなると、行くあても帰る場所もないのね。


「ここまで何か質問は?」

「フレッド様の暗殺計画ね。あたしは知らない」


 シャールは呆れたようにため息を吐いた。


「あいつらまだ言ってんのか。それに関してはもう必要ないってのに」


 独り言を言った後、教えてくれた。


 あたしがフレッド様を落とせないだろうと思い、伯爵は王子の暗殺をしようとしていたと。


 イザベラ様と自分の息子を結婚させて、権力を握ろうとしていたみたいだ。


 フレッド様がいなければ、周囲はイザベラ様を王にしようとするだろうから、なんて馬鹿げた計画。


「馬鹿な計画ね」

「はたから見ればな。本人は至って真面目だったみたいだけど」

「そうみたいね」

「で、ここからが本題だ」


 シャールの言葉は思いもよらないものだった。


「もし、行くあてがなくて周囲からの心無い言葉にも耐えられるなら――うちで働かないか」

「はあ?そんなことすれば、頭を疑われるわよ⁉︎フレッド様の腰巾着ならそれなりの家でしょ」

「侯爵家だな」


 シャールが呑気に言った。


「なら――」


 あたしの言葉を遮ったシャールがおかしそうに笑う。


「そこはまあ、クレヴァン家だし。うちの使用人は代々後ろめたい過去を持ってるやつばっかだからな」

「なにそれ」

「もちろん、使用人としての勉強はしてもらうけど、ハリエットに目指してもらうのは侯爵夫人の侍女だ」

「それも、悪くないかもね」


 どうせ、どこにも行けないし。

 庶民として生きてくにしてもきっとどこかでウワサとして知られるもの、それなら――。


 いま、あたしを見てくれるシャールの言葉に乗ってみることにしよう。


 そう、決めた――。

両親に許可をもらってます。

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