ルディのいない日
今日はルディが休み。
なので、学校ではのんびり過ごそうと思っていた矢先――。
「おはようございます、シャーロット様」
そう挨拶してきたのはルイだ。
即席貴族のシャーロット・ルーチスとしての身分は庶民よりで、一部の貴族でなければ仲良くしていても気にもしない。
それに、俺もルイも試験結果は上位の方にいるので小難しい勉強の話をしていると言えば誰も何も言わなくなった。
一番はルディがルイを認めているのを公にしたのが大きいと思うが。
ルイは自分の荷物を片付けると、俺のそばにくる。
「ルディ様から今日はシャーロット様のことを頼まれました」
と、いって一枚の紙を見せてくる。
ルディの字でルイが言ったことが書かれている。
「ルディ様のようには出来ないかもしれませんが、よろしくお願いします」
「あ〜っと、わかった」
予期しない言葉に思わず素で返事をしそうになり、雑な返答になる。
「今日始めの授業は――」
授業が終わるごとに次の授業の教科を教えてくれる。
ルディがよくやってることの一つだ。
勉強に関していえば、もともと通う必要もないほどだったのでルイが復習用にまとめているノートを観察する。
見やすいノートだ。ついでに言うと下手な教科書よりもわかりやすくまとめられている。なんならこれを教科書にしてもいいほどだ。
昼食時は、普段俺が座っている場所をキープしていて、俺がゆっくりと食堂に向かえばすでに昼食が席に用意されている。
ルイが一礼して下がろうとするのを引き止める。
手には自分の飯を持っている。
ルディなら自分も一緒にと対面の席にすぐに座るんだけど、そうもいかないらしい。
表面的にはシャーロットに接しているように見えても、実際はシャールに対して接しているようであるルイからすれば、同じ席に着くのは考えられないのだろう。
心の中だけでため息をついて、対面の席にルイを座らせて昼食を一緒にとる。
それからもルイのサポートを受けながら今日の授業が全て終わる。
ルイの邪魔にならないさりげないサポートは、貴族の使用人ひいては従者としてすぐにでも働けるくらいのレベルだった。
それを褒めれば、ルイは素直に喜んではにかむ。
「それでしたら、ルディ様のおかげです。ルディ様の家で多くのことを学ばせていただいましたから」
ルディのやつ、なんかやってると思ったらこういうことか。
半年やそこらでこのレベルってのは、努力だけで出来るものじゃないはずで、ルイがそれだけ優秀なんだな。
ただ、クレヴァン家で働くのはさすがにな。
剣術なんかも何度かうちに招いて教えたけど、ルイに戦いの才はない。あくまで町中で自分の身を守る程度だ。
うちでやっていくのなら戦いの才は必須だろうし、例外はあるがルイの性格とかも考えるときっと――。
仕事は違っても、同じ職場ということで。
後日、俺はルイに同僚にならないかと尋ねるのだった。
ルイにとって憧れた日でした。




