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意外な組み合わせ

 え〜、本日は強制的なお茶会日和とでも言っておこう。


 主催はシェネル公爵家。


 父上、母上と別に俺宛にも招待状が届き、母上と使用人一同に捕まり強制的にお茶会に参加することになった。


 ちなみに、ロッドはルディとやることがあると欠席した。


 欠席しても問題ないはずだったのにと馬車の中でぶすくれるてると、母上から容赦ないゲンコツが飛んでくる。


「――いっ」

「クロード君のお願いでしょ。それにソフィア皇女も招待されているのだから、シャールも出席しなくちゃ」


 と、頰に手を当て母上は笑う。

 恐怖を抱く笑みを浮かべていて、本能が逆らうなと警鐘を鳴らす。


「そうだぞ、シャール。あの怯え皇女は学校でも友人が少ないんだろ」

「まあ、そうだな。どのみち、今日呼ばれるほどの家柄じゃないな」


 似たような立場として話せる王子以外だと、ソフィア皇女は以外とエメリたちと気が合った。

 力のある家じゃないし、開催するしたって招くこともできないし、招待されることもない等しいのだ。


「だろ、少しぐらい話し相手になってやれって。クレヴァンほど自由な家もないぞ」


 俺がソフィア皇女と一緒いたところで妙な勘ぐりをされることはないと言いたいらしい。

 あるとすれば、クレヴァン家が興味を持った人間として注目されるくらいか。


 開催場所に着くと、珍しいものを見るような視線をかわし、最低限の挨拶だけを済ませておく。


 適当な茶菓子を手にして人気のない場所に移動すれば、眼鏡をかけたヒョロッとした少年が本を抱えて青ざめた顔で近づいてくる。


 イザベラの弟クロードである。


 なんで青ざめてるかといえば、クロードの後ろにいる同年代のご令嬢の視線のせいだ。

 女性恐怖気味なクロードは必死に逃げて来たらしい。

 凛と立つイザベラとは大違いだ。


「シャールさん、来てくれたんですね。個別に送ったかいがありました」


 今にも倒れそうにしながら、俺のそばで一息をつく。


 昔からこいつは俺を避難場所に使う。


 貴族らしからぬ言葉使いや所作をする俺に近づいてくる相手はそういなかったからだ。

 今は、珍しさはあれど声をかける勇気がないらしく近づく奴はいない。


「相変わらず大変そうだな、クロード」

「こちらとしてはそっとしておいて貰いたいのですよ。あれは恐ろしい、獣ですよ⁉︎」


 気持ちはわかる。獲物を狩る目をしてるは確かだ。


「けど、いいのか?」

「よくはありませんよ、よくは」


 クロードは家を継ぐ身だ。

 結婚はしないという選択肢は取れないが、クロードの性格が性格ということで、シェネル公爵は学校卒業までに自分で相手を見つけてこいといったらしい。

 ダメならこちらで見繕うと脅しかけられたとか。


「しかしですね、会話にならないんですよ」


 と、首を横に振るロッド。


 そこに足音が近づいてくる。


「シャール様、こうして、お会いするのは初めて、ですね」

「そうだな、学校でしか会ってないし」


 俺の後ろにいるクロードを引きずり出す。


「ソフィア皇女、こいつはクロード・シェネル。イザベラの弟だ。クロード、こちらはって言わなくてもわかるな」

「もちろんです」


 大きく頷くクロード。

 何度か会ったことがあるようだ。


 ソフィア皇女はクロードが手に持っている本を見て小さく驚く。


「その、本は……」

「オルフェの研究理論ですよ」


 表紙をソフィア皇女に見せるクロード。

 その本は何度も読み返されたのかかなりボロボロになっている。


「お好きなんですか」

「ええ、ですが周りにこれを理解出来る人間がいないのですよ」

「私も、です」

「なんと‼︎」


 クロードがソフィア皇女の手を取り、ソフィア皇女が怯えるので、クロードをひっぺがす。


「やめろ、クロード」

「はっ……申し訳ありませんソフィア皇女様」

「い、いえ」


 ちょっと驚いただけとソフィア皇女は言う。


 すると、それに安心したクロードが本の内容を熱く語りだす。


 長くなりそうだし放置するかと思っていると、ソフィア皇女がクロードの話に相槌をうって聞いている。


「こんなに話の通じる方は初めてだ」


 クロードがいう。


 ソフィア皇女は博識で頭が良い、それは王子との会話でわかっていたが正直ここまでとは思わなかった。


 オルフェの研究理論を理解出来るほどだとは――。


 クロードとソフィア皇女はそうしてイザベラがクロードを探しにくるまで会話をしていた。


 意外と気があうようで、後日また話をしたいと二人から言われた。




人避けシャール。

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