サイドストーリー :ジョルジュは友達
貴族として重要な社交の場を放置して、ひたすら鍛練に明け暮れる俺は、友人と呼べる人間は少ない。
王子と、それこそジョルジュくらいだった。
ジョルジュの家はうちと同じように騎士を多く輩出していて、よく手合わせなんかもしていたから友達だって言えるくらい仲はよかった。
真面目に鍛練に打ち込む姿は将来の同僚として頼もしく見えたし、いくら新米騎士相手とはいえ、大人に勝てる子供は俺とジョルジュくらいで、仲間意識なんかも持っていた。
今でも戦う時や鍛練時の真面目さはずっと変わらないジョルジュだが、時折よくわからない行動をする。
昔、母上に強制連行された王家主催のお茶会でジョルジュをみて、俺は唖然とした。
鍛練の時のひたむきな輝きはなく、上辺だけのようなキラキラさを纏ったジョルジュが同じくらいの歳の女の子に声をかけていたから。
冷たくあしらわれても気にしていないのをみて、メンタルの強さにどこか底知れぬ恐怖も感じたが。
当時の俺はどっちが本当のこいつなのかと疑問に思った。
見ていれば、あいつは引き際をわきまえてるし、人を見てやってるので大きな問題にもなってない。
大抵、声をかけているのは引っ込み思案の相手で、よくよく見ているとそれで声をかけられた相手は輪の中に自然と入り込めるようになっていたりする。
いつもは自信過剰の性格の軽いナンパ師みたいに評価されるジョルジュも、ひとたび鍛練となれば、目の前に美人が居ようと見向きもしない。
ただただ、ひたむきに剣を振るう。
世間の知ってるジョルジュはあれだけど、あいつは頼りになるんだよな。
それに、将来的に王子の周りのメンバーを考えると周りに気を配れるジョルジュは必要だ。
シャールとジョルジュは好敵手みたいな切磋琢磨出来る関係でした。
今は実力に差があります。