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秘密の会議
よろしくお願いします。
国の重鎮たちが護衛もつけずに一つの部屋に集まり、円卓を囲む。
使用人も全て追い出しているため不慣れな自分たちで淹れた不味いお茶を飲み喉を潤した太った男が言う。
「やはり、この方法がベストだな」
「頼りにはなる子ですが……」
眼鏡をかけた男は反対をしたそうな顔をしていたが、反対は出来ず小さくため息をついた。
「他の方法が見つからない以上、これでいくしかあるまい」
「ええ、仕方ありませんわ」
一番華美な服を着た男とその隣に座る女が決意をにじませた声音でいう。
男女の声はどこか楽しげな響きがあった。
それに心底楽しそうに笑った正面に座る男は頷き、これから起こるであろう愉快なことを堪えるように口を開いた。
「まぁ、幸いなことに息子の顔を知る者ほとんどおりませんから大丈夫でしょう。
王家を守護する一族として、王を見極める一族として、お任せください」
それは静かに、誰にも知られることなく水面下で動いていた。
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