プロローグ
2003年8月1日、金曜日の夜8時過ぎ。渋谷駅東口の居酒屋にて。Kは同僚2人とお酒を飲みながら談笑していた。店内にはテレビが設置されていて、プロ野球中継が放送されていた。対戦カードは広島対巨人。原爆ドームの近くにある広島市民球場での試合だ。普段はサッカー観戦が趣味のKは、同僚と付き合う上で野球のテレビ観戦も年に何度かやることがある。
同僚がビールをチビチビ飲んでいたその時である。
「何これっ!?マジで!?」
同僚が突如叫び声を出した。
「どうしたんだ、何があったんだ?」
Kが問い詰めた。
「テレビを見てみろ」
「どれどれ・・・へえっ!?」
テレビ画面は他球場の途中経過を映し出していた。Kが驚いたのはパ・リーグの途中経過だ。中でも神戸のヤフーBBスタジアムでのオリックス対福岡ダイエーの試合。5回ウラ終了時点で0-23。福岡ダイエーが大量リードという展開だった。
「・・・どういうこと?」
Kは試合の途中経過を見て、唖然とした。
「・・・おいおい、サッカーでもこんな点差、有り得ないぞ」
「サッカーでこの点差だったらもっとひどいよ!」
Kは同僚の指摘に対して冷静にツッコミを入れた。Jリーグで二桁得点なんて見たことがない。
実はダイエー、先日(7月27日)も福岡ドームでオリックス相手に26-7でボロ勝ちしていた。チームの中心選手である小久保裕紀がオープン戦での大けが(全治6か月)で不在の中、3番・井口資仁、4番・松中信彦、5番・城島健司、6番・ペドロ・バルデス、7番・フリオ・ズレータ、8番・柴原洋という超強力打線が猛威をふるった。一方のオリックスは、7月27日に吉井理人を、そして今日はマック鈴木をそれぞれ先発で投げさせたのだが・・・。元メジャーリーガーを先発に起用してもこんな悲惨な結果である。