95・4つの武具
強い! はっきり言って化物だ!
ランスロードのおっさんの強さは俺の想像を遥かに超えていた。
それでも俺は勝たないといけない。
勝って俺は、俺の仲間達を守れる事を証明しなければいけないんだ。
そして俺は勝つ為に、スキル《根性》を使用した。
『スキル《根性》の使用を確認。残り5.0秒です』
俺は闘気を全開にして迷うことなく大地を蹴る。その向かう先、
「あら、何をするつもりかしらナスカくん?」
エレンスィリアへと移動しながら、右拳を引き絞る。その右拳は小さな亜空間に包まれていた。
ガシッ!
「貴女もよ竜人ちゃん!」
「チッ!」
エレンスィリアの死角から《飛行》スキルで近づき、頭上から回し蹴りを放ったタツキの右脚をエレンスィリアが掴む。
バッ
「娘は返して貰うわよ、性悪女!」
ヴィアがマリンを奪い返し、娘とエレンスィリアとの間に、自分の身体をコジ入れる。
「まだ駄目よヴィア。あと少し、大人しくしていなさいな」
エレンスィリアの左膝がヴィアを襲う!
ヴィシャアァァァァン!
「ひぃぎっ! ランスロードおぉぉぉ!」
「僕の奥さんに何しようとしてんだよ!」
おっさんが嵌めているガントレットに魔力を集め、その魔力をエレンスィリアに向けて放出した。
放出された魔力は蒼く輝く稲妻と化してエレンスィリアの膝を直撃した。
その隙にヴィアはマリンを抱いたまま距離を取る。
「このクソ女があぁぁぁ!」
俺は引き絞っていた右拳をクソ女へと突き出す。拳の周りを覆っていた小さな亜空間は消え、右手にはガントレットが嵌められている。
右手に嵌めたガントレットは、真っ赤な鱗に覆われている。そのガントレットは、この会談に赴く前に【古竜】エウデモル様に頂いた物だ。
エウデ様以外の竜族は、厳密に言えば不死ではない。肉体の死と同時に、記憶を持ったままで新たな肉体へと転生し、それを繰り返すことで不死性を保っている。
エウデ様は死を迎えた竜族の遺骸の中から、状態の良い物を選んで保存していたそうだ。
その保存していた遺骸から、エウデ様自らが作り上げた武具がこのガントレットである。
この右手に装着している真っ赤なガントレットは、タツキの母である【灼炎竜】ズライサラーマのかつて肉体から作り出された武具だ。
ズライの属性は炎。
俺が突き出した真っ赤なガントレットを通してクソ女へと放出した魔力は、炎の竜となってクソ女に喰らいつこうと伸びていく。
「わたくしを舐めるんじゃない、小童があぁぁぁ!」
ビシャシャシャシャシャ・・・
クソ女は右手でタツキの右脚を掴んだまま、左掌に魔力を溜める。溜めた魔力は風の防壁と化し、竜の炎を掻き消していく。
「終わりだよ、クソ女!」
クソ女の懐へと到達した俺は、クソ女の右脇腹を狙って左拳を振るう。
その拳の通過線上と俺の左脚に小さな亜空間が出現している。
「同感だ。我も終わりだと思うぞ、性悪エルフよ!」
ズギャアアァン! ドゴオオォン!
「ひぃぎやぁぁぁ!」
右脚を掴まれながらも、身体を捻りながら振るったタツキの左回し蹴りが、クソ女の後頭部を蹴り落とす。
と、同時に俺の左拳がクソ女の右脇腹に突き刺ささっていた。
俺の左手にはガントレットが装着されている。そのガントレットを包む鱗の色は青。
【極氷竜】ドーマルマンのかつての肉体より作り出された武具から、水の竜が出現し、クソ女の脇腹を食い破る。
『0.4秒経過。残り4.6秒です』
タツキの右脚を離し、水の竜に襲われるままに後方へと吹き飛んでいくクソ女。
俺はそれを追撃する為に、左足で大地を強く蹴って踏み出す。
左足には、ブーツのようにサバトンとグリーブが一体となった、緑の鱗に包まれた武具が装着されている。武具の元となった遺骸は、かつての【絶風竜】ジュガイルの遺骸だ。
左足の武具から放出される魔力は、風の竜と化す。
風の竜は、俺の身体を凄まじい速度まで加速させ、水の竜に飛ばされるクソ女を追い越していく。
「ぬりゃあぁぁ!」
ドゴグオオォォォン!
「ひにゅぐっ!」
追い越した俺に向かって飛んでくるクソ女に向けて、右脚で渾身の蹴りを放つ。
右脚は、途中に出現した小さな亜空間を通って、クソ女の背中へと突き刺さる。
俺はエウデ様より頂いた武具を、いつでも瞬時に装着出来る様に、小さな4つの亜空間に別々に《亜空間収納》しておいた。
右足に装着した4つ目の武具は、黒い鱗に覆われている。
製作に使用された遺骸は【黒怒竜】ニーズヘイルの物。ニーズヘイルの属性は地。
右足の武具から放出された岩の竜は、クソ女の背中に食いつき、さっきまでとは別の方向へとクソ女を吹き飛ばす。
「後は頼むよ、タツキ」
ピシャアアアァァァァン!
岩の竜によって別の方向に飛ばされていたクソ女の体へと、再び蒼い電撃が襲い掛かり撃墜した。
電撃を放ったのは当然このおっさんだ。
「僕にももう一発くらいやらせてよ、ソイツは僕の可愛いマリンちゃんを危ない目に合わせたんだからさ」
「要らぬ事をするなよ爺さん。トドメは我の役目なのだ!」
上空でクソ女を待ち構えていたタツキは、横槍を入れたおっさんを一睨みすると、小さな胸を膨らませて思い切り息を吸い込む。
ズゴワアアアアアァァァ・・・
タツキは大きく口を開くと、灼熱のブレスをクソ女へと吐き出した。
ァァゴオオオォォォォ・・・
灼熱のブレスはクソ女と共にその周辺の地面をも溶かしていく。
溶かされた地面には大きく穴が空き、穴の縁はガラスと化している。
クソ女の身体は大穴へと落ちていき、その底に溜まったマグマの中へと消えていった。
これで邪魔者は居なくなった。
「さてと、続きをやろうかおっさん!」
「やっぱりやるんだ」
俺は薄笑いを浮かべるおっさんを睨み、言葉を続ける。
「当たり前だろ、おっさんの仲間が俺の仲間を傷つけた事実は変わらない」
「本当に面倒くさい奴だなぁ、お前」
「俺の仲間に手を出すと、どういう事になるのか教えてやるよ! おっさん!」
俺は左足に魔力を集めて、思い切り大地を蹴る。
風の竜が俺の身体を運び、一瞬でおっさんの目前まで迫る。
ガシッ
加速した速度のまま、俺は魔力を込めた右拳をおっさんへと放つ。
おっさんはその拳を左掌で受け止める。
炎の竜が出現しない。
おっさんが左手に嵌めるガントレットが蒼白い光を放ち電撃を纏っているのがわかる。
電撃が炎の竜を相殺し封じ込めていた。
俺とおっさんとの闘いの第2ラウンドが開始された。
『マスター、0.9秒経過。残り4.1秒です』
終わりませんでした。すいません。
というか、なんで最初にこの闘いを1話で書き切ろうと思ったんですかね? やっぱり俺って馬鹿みたいです。
それに[転生5回目・・・]と[能力はチート・・・]の分とで、視点を変えて2話づつ書く羽目になるんですよね。
それが無茶苦茶大変です。それがやりたくて同時連載始めたのですが、正直言って後悔してます。
今後はこの方式はやめた方がいいですね。
まああとちょっとなんで、最後まで頑張ります。
☆
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お手数だとは思いますが、何卒宜しくお願いします。
連載中[能力はチートだけど・・・]
この小説とリンクする作品です。
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互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。
こちらもよろしくお願いします。




