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不幸続きで転生5回目、今回こそ生き延びてやる  作者: ubn
第3章 東南諸国編[【反逆の勇者】メテス]
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81・消えたナスカを追って

 今回の話は、誰目線で書くか非常に悩みましたが、作者目線、というか初心に戻ってナレーション形式でお送りします。

 元々、誰か目線で書くつもりなかったのですが、連載中にいつの間にかそうなってました。

 誰か目線で書くようになってからも、ナレーションっぽいのはちょくちょく入ってましたので、違和感はないと思います。


 では、本編スタートです。

「ナスカ様! 私はあの船に飛ぶ! 全員、ナスカ様が消えた付近に飛び、ナスカ様を捜索して!」


「ロロ! 王城は?」


「ほっといていい! 全員で必ずナスカ様をお助けするの、早く!」


 言うが早いか、ロロは小型船へと《亜空間移動》で飛ぶ。第5獣士隊の隊員達も、次々とナスカが消えた海面付近に飛んで、そこから海へと飛び込んでいった。





「先輩! アイツ、許さない! 絶対に許さないっすよ、アイツ!」


 ポンキチが《亜空間移動》で飛んだ!


「俺達も行くぞ! あの竜野郎をぶっ殺す! ポンキチに続けぇ!」


「「「おおぉぉぉぉ!」」」


 ポンキチに続き、ポンキチの率いていた第5獣士隊の別働隊も次々と《亜空間移動》で飛んでいった。





「ナスカお兄ちゃん! みんな、ナスカお兄ちゃんとルルくんを助けに行くよ! 付いて来てぇ!」


 ラスリルはナスカの消えた海に向かって《亜空間移動》移動で飛ぶ。


「ラスリルの後を追うよ! ナスカ様は絶対に助けるんだ!」


 ラスリルの率いていた第5獣士隊の別働隊も次々と《亜空間移動》で海へとダイブしていった。







「貴様かあ、ナスカ様に向かって汚い息を吐いたのわぁ!」


 小型船上へと現れたロロが咆哮を上げ、上空に浮かぶ巨大な竜を睨みつける。

 ナスカのいた付近の海面では、ルルの率いていた別働隊が次々と海へと飛び込んでいた。


「許さないっす〜!」


 竜の眼前へと現れたポンキチは、躊躇なく竜へと突進し、竜の右の後ろ脚に噛み付いた。


『何コイツ! 鬱陶しいわね』


 煩わしいとばかりに、竜は右の後ろ脚を振り回す。しかしポンキチは噛み付いたまま離さない。


「むきゃあぁぁ! 許さないっす〜!」


「コイツかあ! ポンキチに続け! あの竜をぶっ殺せ!」


 竜の眼前には、ポンキチの率いていた別働隊の面々が次々と現れ、竜へと突撃していく。


『あたいに近づくんじゃないよ、雑魚どもがぁ!』


ブフオォン


 竜がポンキチに噛み付かれたままの後ろ脚を振り回す。その風圧だけで、突撃した魔獣達は海へと叩き落とされてしまう。それでも魔獣達は、怯む事なく突撃を繰り返していく。


「ポンキチ、下がってなさい! ソイツは私がやる!」


 ロロが船上から飛翔する、その身体にはブルジ山で採取されたレア金属、アダマンタイトを混ぜ合わせた魔獣用の軽鎧が装着され、口には純アダマンタイト製の刃を持ったソードウルフ専用武器を咥えている。

 ロロの漆黒の身体に良く映える金色の武具、獣士隊隊長に任命された時に、ナスカより下賜されたロロの自慢の武具だ。


「いやああぁぁぁ!」


 黒金の閃光となったロロが、信じられない程の速度で竜へと迫る。


『五月蝿いぞ、小娘が!』


 竜が右腕の爪を振り落とし、黒金の閃光を迎撃する。

 海へと叩き落とされるロロの身体が、海面スレスレで止まる。浮いている。

 ロロの身体は海に落ちることなく、宙に浮いていた。


『ほう、驚いたな』


 竜が感心した様に一言漏らした。


「まだまだぁ〜!」


 再び黒金の閃光と化したロロが竜へと向かう。


『止まりなさいロロ。ソレの相手は私だ!』



 突然ロロの頭に鳴り響いた声に、ロロの突進が止まる。そしてロロは、その突然現れた強大な気配の方へと振り返った。


 その強大な気配は海中にあった。その強大な気配はゆっくりと浮上してくる。


 海面が盛り上がる。その強大な気配は、少しづつその巨大な身体を現し始める。


 海上へと姿を現したその巨大な身体は竜の姿をしていた。

 先程までロロが突撃していた巨大な緑色の竜よりも、更に巨大な真っ赤な竜の姿を。



『何のつもりだジュガイル、ナスカとその小娘の戦いは、貴様が横から手を出せる戦いではなかった筈だが』


 姿を現した竜の名は【灼炎竜】ズライサラーマ。タツキの母にして三大竜と言われた内の一柱。

 その竜の背には、気を失っているナスカを背中に乗せた、傷だらけの黒狼の姿があった。

 傷だらけだが、四肢をしっかりと伸ばして悠然と立つルル、その横には心配そうにナスカを見るラスリルの姿もあった。


「ナスカ様、ご無事で」


 宙に浮くロロの瞳に安堵の色が浮かぶ、それは海面に顔を出している魔獣達も同様だった。



『久しぶりだねズライサラーマ。その小僧がメテスにちょかい出すから悪いのよ。あたいを怒らせる程ね』


 もう一方の緑の竜、その竜の名は【絶風竜】ジュガイル。ズライサラーマと同じく三大竜の一柱である。


『先にちょかいをかけて来たのはその小娘だろう、ナスカはそれに応じただけだ、貴様が手を出して良い理由などない』


『やり過ぎなのよ、その小僧は。メテスはあたいの娘みたいな者なんだ。その娘をボカスカ殴られて黙ってられるか!』


『奇遇ね、ナスカは私の息子同然の存在。その息子が貴様のくだらない理由で横から攻撃されて黙ってられると思うの?』


『ああん、くだらないだとお。あたいの仲間達全員であんたの山を消し飛ばしてやろうか!』


『貴様如きに出来るのか? 私にも仲間はいる。貴様の住む大陸毎消し去ってやっても良いのだぞ!』


『舐めるなよ、先ずはあんたから消し飛ばしてやるよ!』


『身の程知らずが、自分の存在が消え去った後にでも後悔するのだな!』


 ジュガイルが煩わしそうに自分の後ろ脚を見る。


『邪魔な子狸は返してやるよ、受け取りな!』


「あうっ!」


 ジュガイルが後ろ脚に噛み付いたままのポンキチを、右手で掴んで乱暴に引き剥がし、ズライサラーマに向かって投げつける。


 ズライサラーマの右手から噴出した黄色い炎が空中でポンキチの身体を包み込む。

 ポンキチの身体は減速しながら進み、ズライサラーマの右手にフワリと掴まれた。ポンキチは火傷一つ負っていない。それどころか引き剥がされた時にジュガイルの爪によってつけられた傷も治っている。


「ズライ様、ありがとうっす」


『良く頑張りましたよ、ポンキチ。ルルよ、ポンキチとラスリルを連れて下がっていなさい』


「はい、ズライ様」


 ルルが渡されたポンキチの後ろ首を咥えると、ラスリルがルルの肩にぴょんと飛び乗った。

 ルルはナスカと2頭を連れて、ズライサラーマの後方へと空を走る。ルルもロロと同じ様に宙に浮いていた。


『覚悟はいいわね、ズライサラーマ!』


 ジュガイルの周囲に風が渦を巻き始める。やがてその風は暴風となってジュガイルの身体を包み込んでいく。


『覚悟? 貴様如きに覚悟など不要だ、ジュガイル!』


 ズライサラーマの右手に真っ赤に燃える炎が左手には青白い炎が噴き上がる。その炎は次第に勢力を増していき、ズライサラーマの右半身を赤く、左半身を青く染め上げる。


『死ね! ズライサラーマ!』


『死ぬのは貴様だ! ジュガイル!』


 暴風と業火が互いに向かって突撃を開始した!



「待ってください!」



 信じられない程の大声が海面を揺らし、暴風と業火が急停止する。


「げほ、ごほ、ごほ、がはっ」


「だ、大丈夫、メテス」


「ごほっ、うん、大丈夫、ありがとう、ウォルナット」


 声の主は【反逆の勇者】メテスだった。ウォルナットに肩を抱えられたメテスが二柱の竜に近づきながら言葉を続ける。


「待ってください、二人共、二人が戦う必要はないんです」


『だ、大丈夫、メテス。まだ動かない方がいい』


「大丈夫だから、ジュガイル。それにズライサラーマさんの言う通り。今回は貴女が悪いよ、ジュガイル」


『だ、だけどあたいは』


「僕を心配してくれたのは嬉しいけど、僕とあの子、ナスカくんか、僕とナスカくんの戦いは僕の都合によるものだし、ナスカくんがズルイ事をしたわけでもない。そこに竜族の貴女が手を出すのは、そっちの方がズルイ事だよ」


『ジュガイル、貴様よりこの娘の方が、よっぽどわかっているではないか。考え無しの貴様よりずっとな』


『くっ、クソ、で、でもなメテス』


「でも、くそもないよ、ジュガイル。今回は貴女が悪い! げほっ、それとさあ、人化してよジュガイル、話しづらいよ、ごほ」


『ああ、すまん。メテスも怪我してるからな、見上げるのは大変だろう』


 直ぐに人化を始めるジュガイル。それに呼応する様にズライサラーマも人化を始めた。


「改めてごめんなさい、ズライサラーマさん。僕のせいでこんな事態になってしまって」


「ズライで良い。しかしだな小娘よ、大事になってしまった以上、このままではナスカの国の者達が納得しないであろう。どうする気じゃ」


「後日に必ず僕が、ナスカくんの国に謝りに行きます。その時に今回の件の始末をつけたいと思うんだけど、駄目ですか?」


「私が決める事ではないのだが、今はナスカも傷ついている状態だ、それで構わないであろう。ナスカの国の者達へは私から話して納得してもらうしかないな」


「ありがとうズライ。それと、ベダムから脱したプロステート派の神官達だけど、ナスカくんは納得してくれなかったけど、出来れば僕が保護したいんだ」


「ああ、ナスカは知らんと思うが、お前とプロステートの関係は私も知っている。ナスカには私が納得させるので、お前が保護すれば良いだろう」


「ありがとう、ズライ。謝りに行った時に僕からももう一度ナスカくんにお願いするから、それまで一時的に保護させてもらうね」


「そうだな、それが良い。ナスカの所に来た時には、私の所にも顔を出せ、歓迎するぞ」

「ジュガイル、貴様もだ。たまにはエウデモル様の元に顔を出せ」


「くそっ、わかったよ。メテスがあんたの所に行く時に同行してやるよ」


「僕も、必ずズライに会いに行くよ。エウデモルって古竜様にも会ってみたいしね」


 メテスはそう言って笑顔を浮かべた直後に気を失った。メテスがナスカから受けたダメージも相当なものであったのだ。



 ズライサラーマが、ロロやルル達に説明し、ウォルナット達がルタ提督達を連れて去った後、マリ、メソ、タツキの三人もベダム王国まで[亜空間トンネル]を使ってやって来た。


 タツキがナスカに代わり、ベダム王国の後処理をする事に決まり、マリはセントラルチェン市に戻ってイスランの後処理の仕事に戻った。

 メソはルル、ポンキチ、ラスリルと共に[亜空間トンネル]ではなく、ズライサラーマに乗せて貰ってアスリ市に戻り、ナスカの治療に専念する事になった。


 こうして、ラシリア大陸東南部における一連の事件は一応の終結をみた。


 後処理には、まだまだ時間がかかるものの、ラシリア大陸東南部は、ナスカ達アスリ獣国を中心に統治されていく事となったのである。

 長くなりましたが、区切り辛い話だったので終わらせました。

 ズライサラーマとジュガイルですが、当初は戦わせる予定でいました。でもこの二柱で戦うとここらの海域が吹き飛びそうだし、第5獣士隊やルタ提督も巻き込みそうだったので止めました。

 メテスが止めに入るのは予定通りでしたけどね。


 作中では巨大としか書いてませんが、ズライとジュガイルの竜状態での設定上の体高はズライ50メートル、ジュガイル46メートルです。因みにエウデモルは55メートルです。

 体重までは特に決めてませんが、漠然とズライ10万トン、ジュガイル8万トンぐらいを意識してます。

 こいつらが戦ったらヤバそうでしょ。

 






 【作者からのお願いです】


 読者様からの反応を何よりの励みとしています。

 ポイント評価、ブクマ登録、感想、レビュー、誤字報告を頂けますと、創作意欲のより一層の向上に繋がります。

 お手数だとは思いますが、何卒宜しくお願いします。




 連載中[能力はチートだけど・・・]

 この小説とリンクする作品です。

 ↓

 https://ncode.syosetu.com/n8548fz/


 互いに独立した自己完結する作品に仕上げる予定です。

 こちらもよろしくお願いします。

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